会社を辞めて7年半!9万5千キロを自転車で世界一周した

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旅のスタイルには、いろいろありますが自転車で世界一周。みなさんはどう思いますか?

今回紹介する一冊は、7年半かけて自転車で世界一周を成し遂げた笑いと涙の紀行エッセイ。「行かずに死ねるか!ー世界9万5000km自転車ひとり旅 (幻冬舎文庫、著:石田ゆうすけ)」です。

世界一周を夢見る人も、自転車好きな人も、私同様「無理、無理。自転車で世界一周なんて」という人も、ぜひ読んでみてください。旅のスタイルを超越した「旅の魅力」を感じさせる一冊です。

 

 

自転車だから味わえる旅の魅力

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photo by pixabay.com

「若者が海外に行かなくなった」と言われて久しいですが、本著には世界を旅する日本人が大勢登場します。「バックパッカー」はよく耳にしますが、自転車で旅する人を「チャリダー」と呼ぶんですね。

著者の自転車旅行はアメリカ大陸のアラスカからスタートしますが、「第一章 アメリカ大陸」編では、特に後に登場・再会する、そして著者の旅に大きな影響を与えるチャリダー仲間との出会いが印象的です。

 

一方、拳銃強盗のエピソードが山場となる「第二章 南米」、現地の人々との交流・触れ合いが淡く切ない「第三章 ヨーロッパ」、「第四章 アフリカ」では大自然や地球の息吹。

「第5章 中東〜アジア」では終わってしまう旅に対する思いや名残惜しさがあります。たくさんのエピソードが笑いと涙と感動の7年半を追体験させてくれます。

 

旅を通して変わっていく生への執着と感謝の思い

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photo by pixabay.com

世界一周ともなると勢いも必要でしょう。タイトルにもあるように「行かずに死ねるか!」という思いや著者自身も述べている「開き直り」もあると思います。

しかし、著者の心境は、拳銃で脅され身ぐるみを剥がされた事件や貧しいながらも誇りや優しさ、笑顔を失わない人々、地球や美しい景色から感じるエネルギー、そして中でも大きな影響を与えた、チャリダー仲間で兄的存在だったセイジさんの死。

 

こうした経験を通じて「もういいや」という開き直り的な気持ちから「生きている」という実感を感じるようになります。

旅を通じて人生観や死生観といった価値観が変わったという話はよく聞きますし、旅をしたことのある人なら多かれ少なかれ実感するものですが、自転車で線を描く旅は、点と点とを繋ぐ一般的な旅よりも濃密なものなのかもしれません。

 

個人的おすすめはヨーロッパ編からアフリカ編

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photo by pixabay.com

これは人によってさまざまだと思いますが、私が特に心に残っているのがヨーロッパからアフリカのエピソードです。

前述したように、ヨーロッパで現地で出会った人々、15歳の少女タイシアやキノコ売りのじいさん、エイコさんらとのエピソードはどれも淡く切ないものばかり。

セイジさんの死に触れたのもここヨーロッパだったこともあり、著者自身の心境の変化もあったのかもしれません。

 

一方、アフリカでは仲間との再会やチャリ軍団「ドライペニーズ」の結成、喜望峰までの面白青春エピソードにすっかり魅了されました。「いい大人が何やってんだか」と思いつつも、実に楽しそうな仲間たちとの旅が羨ましく感じられます。

 

遺跡や美しい景色の描写も本著の魅力

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photo by pixabay.com

自転車での世界一周には「(自分なりに)一番スゴイものを見たい」という思いがあったことは、本著のなかでも触れられていますが、著者は旅先で出会った美しい景色をスケッチしています。

そのせいか、本著の風景描写はとても臨場感があり、美しい景色とその感動が伝わってきます。

 

アラスカで見たオーロラやカヌーで下るユーコン川、ティカルの神殿、アフリカの青い森、エジプトのピラミッド、アンコールワット……。

テレビや雑誌で紹介されている場所は、実際に行って観ると「あれ?」という場所も少なくない。著者もマチュピチュ遺跡やピラミッドには少々がっかりしたようですが、やはり「百聞は一見にしかず」なんですね。

 

旅を通じて感じる「生きている」ことの喜び

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photo by pixabay.com

最終章「第5章 中東〜アジア」では、全体として何かもの悲しい、旅が終わってしまうことの寂しさのようなものが描かれていますが、もう一つ「生きている」ことへの喜びとこれまでの旅で受けた優しさへの感謝と今後についての著者の考えを垣間見ることができます。

特に最後のエピソード「生きている実感」では、これまでの旅を振り返り、これまで出会った人々、そして亡くなったセイジさんに想いを馳せ、眼前に広がる景色を前に「生きているのだ」と実感します。

エピローグで著者は旅で得た「財産」と表現し、受け取る側から与えていく側になりたいと綴っています。

 

まとめ

正直、本著を読むまでは「自転車で世界一周かぁ、自分とはあまり関係ないな」と思っていましたが、大きな間違いでした。

スタイルや手段、目的地が違っても「旅」が持っている魅力、味わえる感動、ふれあう人々の笑顔は同じです。逆に自転車だからこそ見えてくる景色、感動がギュッと詰まった一冊です。

 

一つひとつのエピソードが短いので、旅好きの人にとってはそれを自身なりに埋めて想像するのも本著の隠れた魅力の一つでしょう。

まさしく「食べず嫌い」ならぬ「読まず嫌い」本。欺されたと思って一度読んでみてください。自転車から見える景色同様、旅の別の一面、新たな魅力を発見できるかもしれません。

 

 

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1976年、栃木県生まれ。大学卒業後、紙・Web媒体の制作会社にて採用パンフレットやCSRレポートといったコーポレートコミュニケーションツールの編集、ディレクション、プランニングを行う。2012年…

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