編集部

こんにちは、旅を広める会社である株式会社TABIPPOが運営をしている「旅」の総合WEBメディアです。世界一周のひとり旅を経験した旅好きなメンバーが、世界中を旅する魅力を伝えたいという想いで設立しました。旅人たちが実際に旅した体験をベースに1つずつ記事を配信して、これからの時代の多様な旅を提案します。

モバイルボヘミアンという言葉を知っていますか?旅人の最終進化系と称される本田直之さんと四角大輔さんが書籍「モバイルボヘミアン 旅するように働き、生きるには」で定義した新しい生き方です。

この記事では、本書籍の内容を抜粋して連載しています。

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モバイルボヘミアンとは、「仕事」のためだけに生きるのではなく、「好きなこと」をライフスタイルの中心に据えながら、旅するように働き、暮らす、自由な生き方のこと。
 
会社員だった2人はどうやって、場所にも、時間にも、会社にも、だれにも縛られない自由なライフスタイルを手にしたのか。
 
10年近く、まるで兄弟のように深い交流を続けてきた、『レバレッジシリーズ』や『ノマドライフ』著者・本田直之と、『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』著者・四角大輔の2人が、20代の頃から20年以上の歳月をかけ、実験し続けてきた「生き方」と「考え方」をまとめた、まさに集大成となる一冊。

 

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モバイルボヘミアン

 

ワークスタイルではなく ライフスタイルを基準に住む場所を選ぶ / 四角大輔

ここからは、ぼくとナオさんそれぞれの実際のライフスタイルを事例にあげつつ、モバイルボヘミアンの生き方をより詳しく紹介していきたい。

モバイルボヘミアンの特徴は、大きく分けると左記の3つだ。

・ワークスタイルではなく、ライフスタイルを基準に住む場所を選ぶ。
・旅するように生きる
・仕事とプライベートの垣根をなくす

30歳までに心の故郷を見つけられた人はしあわせだ。

 

これは、ぼくが尊敬する、ある作家の言葉だ。

心の故郷とは、自分が生きるうえで拠りどころになる場所のこと。自分の生まれ育った 土地や、実際の故郷でもないし、働くためだけに住んでいる街でもない。

自分自身を取り戻すことができ、もっとも安心して暮らせる場所のこと。ぼくはそういった場所(=心の故郷)を「ホームプレイス」と呼んでいる。
ぼくたちが実際にどのように生活しているかを紹介するためには、まずこのホームプレ イスという場所の説明から入らないといけない。

 

ぼくはニュージーランドの原生林に囲まれた湖のほとり、ナオさんはハワイの美しい海岸線のビーチ沿いをホームプレイスにしている。ぼくたちは国境を越えて旅しながら生きているが、結局、年の半分という長い期間をそこで過ごしている。

これは、ワークスタイルよりライフスタイルを優先して生きると決めた結果でもある。

 

住む場所を決める基準はなにか? と聞かれれば、ほとんどの人が「仕事」と即答するだろう。「暮らすところ=職場に通いやすい場所」というのが常識だったから。もっと言 うと、人類は、狩猟から農耕生活へ移行して以来ずっと、「暮らすところ=食うために便利な土地=人生の大半を過ごすところ」という基準で住む場所を選んできた。

逆にこれまで、職場に縛られずに暮らすことができる人は、本物の遊牧民やジプシー、もしくは引退した富豪や、小説家や芸術家といった天才たちだけだった。

 

しかし、今はモバイルテクノロジーを使いこなすことさえできれば、都会、地方いずれ にいても、さらには移動しながらでも仕事ができるようになった。であれば、住む場所を 決める基準はもはや「仕事」ではない、ということになる。

住む場所を仕事中心ではなく、「自分のやりたいことを中心」に決めることができれば、 必然的にすべての時間を、そして人生を、「自分のもの」にしていくことができる。

 

「自分は〇〇な生活がしたい」、「〇〇を中心に人生をデザインしたい」といった、あな たの本当の心の声に従って生きることが、まるで「アーティストのように生きる」ことが、 可能な世の中になってきているのだ。

ナオさんにとっての「〇〇」は、「海とサーフィン」。そして彼は、トライアスリートで もあり、美食家だ。寒いところは苦手で、新鮮な食材を提供する飲食店やスーパーマーケットがないとダメ。

 

そうなってくると自ずと住む場所の条件は、トレーニングに適した環境で、いい波があ る海に隣接していること。不自由なく食事を楽しむことが可能な、ある程度以上の規模の街、ということになる。

年中温暖で美しい海がある場所は世界中にたくさんあるが、そういった街のほとんどは小さく、リゾート地に限定され、レストランや食料品店は観光客向けとなり、品数も少なければとても高価。日常生活を送るにはかなり不便で、ナオさんが理想とするライフスタ イルを送るのは難しい。

 

その点、ハワイのオワフ島南側のビーチ沿いは、観光客も来るが、そもそも大多数のローカルの人たちにとっての「日常的に暮らす街」だ。リーズナブルで上質な飲食店と食 料品店が多数あり、日々の生活には困らない。

言うまでもなく、海は美しく、気候も環境も条件を完全にクリアしている。

 

かたやぼくは、子どものころから「水辺と魚釣り」がなによりも好き。「湖でのフライフィッシング」に深く傾倒し、米国の自然派作家ヘンリー・デイヴィッド・ソローの著書 『森の生活』を読んだのは大学生のころ。それ以来、彼のように「いつか人里離れた湖の ほとりでナチュラルライフを送りたい」という夢を抱くようになった。

 

前述のとおり、ぼくの自宅はニュージーランドの、ある湖畔の森の中にある。

多様な植物を育てられる四季があり、菜園や果樹園に適した土壌は自給自足ベースの暮らしが可能で、湖では鮭のように大きなニジマスが釣れる。

 

ぼくは移住前に15回この国に通い、この理想とする土地を見つけることができた。 では、10年以上暮らした東京はというと「ビジネスの拠点」であり、モバイルボヘミア ンに欠かせない「移動のための拠点」となっている。

アジアや欧州、北米へのアクセスがいい羽田・成田空港をハブにすることで、日本国内はもちろん世界中で、移動効率よく旅をしながら暮らし、働くことができるのだ。
ここで、2人のホームプレイスの共通点を見てみよう。

 

・東京(成田・羽田空港)を「移動と仕事の拠点」として活用
・ インターネットが通じている
・ 多くの人が訪れたいと思ってくれる場所であること
ぼくだけでなくナオさんも、ほかの大陸へ旅するには少々不便な「島(国)」に暮らし ているため、世界へ飛び立つにはとても便利な位置にある東京(成田・羽田空港)を「移動と仕事の拠点」として活用している。それぞれ長く住んで熟知している東京を、世界旅 のハブにしつつ、ビジネスの拠点にできるメリットはかなり大きい。

 

ほかに共通しているポイントとして、仕事の拠点(東京)より生活費が安い、治安がいい、自然豊か、水際、住民がフレンドリー、英語圏、紛争やテロのリスクがないことなどがあるが、長く住むようになって、もう1つの重要な点に気づいた。

 

それは、ぼくたちが暮らしているニュージーランドもハワイも、多くの人が訪れたいと思ってくれる特殊な場所だということだ。

人生において、結局、人との出会いがもっとも重要な「起点」となる。

 

新たな情報や刺激を得られたり、新たな世界への導きとなったり、仕事につながったり する。つまり、人の集まる場所でないとなにも始まらない、とも言えるのだ。

人を惹きつける強烈な個性のある場所だからこそ、東京ではなかなかゆっくり話せないようなキーパーソンが旅行がてら会いに来てくれることがよくある。東京にいるときより も、ニュージーランドやハワイといった「離れ小島」にいた方がおもしろい人とゆっくり 語り合えるなんて、移住する前は想像もしなかったことだ。

 

ちなみに、日本でクリエイティブな人が集まりやすい街はどこか、という観点で見ると、 福岡市が筆頭にあげられるだろう。

そこでしか食べられない美味しい食材や料理があり、独自のカルチャーもあって、人々がとてもフレンドリー。さらに、利便性も文化度も東京に負けないくらい高いのに、物価 や居住コストも非常に安く、治安もいい。加えて、山や海が近く、自然が豊かときている。

 

複数のLCCが飛んでいるうえに、空港から市内へのアクセスもほかの街と比べると格段にいい、という大きな強みもある。

福岡以外にも、熊本、宮崎、徳島、島根、沖縄などにホームプレイスとなり得る街が、 ここ5~6年の間に日本国内に続々と誕生している。それはナオさんの著作『脱・東京』 に詳しいのでここでは割愛するが、ぜひ一度読まれることをおすすめする。

 

ここまで、ぼくとナオさんを例にとってホームプレイスの解説をしてきた。

誤解してもらいたくないのが、これらの条件は、あくまでぼくとナオさんにとっての理想であって、万人にあてはまるわけではない、ということ。

 

100人いれば100種類の個性があるように、100とおりのホームプレイスが存在する。ぜひ、あなたにとっての理想のホームプレイス=心の故郷を見つけてもらいたい。

「ホームプレイスありきのモバイルボヘミアン」の次のフェーズとして、そういった生活拠点を持たずに、スーツケースだけで世界中のホテルからホテルに移動し続けるようなスタイルもある。あの高城剛さんの生き方がそれにあたる。

 

拠点なしで移動生活を送ることは、モバイルボヘミアンとしては究極の形かもしれない。だが高城さんも過去、バルセロナを拠点にしていた時期があったように、現時点のぼ くにとっては、F1レースにおける、走行中に磨耗したタイヤを交換したり、不具合が起 きた箇所を修理するための「ピットイン」のようなホームプレイスを持ったうえで、世界 中を自由に飛びまわる、というスタイルがしっくり来ている。

 

心穏やかになれて、自分らしくいられる場所で長く暮らすことで、必然的に、肉体や頭脳が整い、メンタルを安定させることができる。すると自然に、モチベーションや集中力 が持続するようになる。それに比例して創造性とパフォーマンスが向上し、仕事の生産性 と質が高まり、収入にも直結するようになるからだ。

東京か大阪かロンドンか。そういった大都市に住まないと「仕事がない、食っていけない」という今までの思い込みを、少しの間だけそっと横において、胸に手をあてながら考えてほしい。

 

あなたが本当にやりたいことはなにか? それを中心にして生きていくために最適な場所はどこなのか。

今の会社近くの便利な生活環境を捨てることの不安やリスクが頭をよぎるかもしれな い。

でも、その「恐怖感は本物?そのリスクは絶対?ただの思い込みじゃない?」と自分の心に真剣に問いかけてみてもらいたい。

 

次にぜひ、地球儀やGoogle Earthを駆使して、あなただけのホームプレイスを探すバー チャルトリップをしてみてほしい。きっと、驚くほどのワクワクが体の中心からわいてき て、あなたの背中を押すことになるはずだ。そしてあなたは、旅に出たくなるだろう。

[Reminder] 「なにを中心に生きたいのか」それが実現できる場所で暮らし、自分の時間と自分自身を取り戻す

編集部

こんにちは、旅を広める会社である株式会社TABIPPOが運営をしている「旅」の総合WEBメディアです。世界一周のひとり旅を経験した旅好きなメンバーが、世界中を旅する魅力を伝えたいという想いで設立しました。旅人たちが実際に旅した体験をベースに1つずつ記事を配信して、これからの時代の多様な旅を提案します。

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