ライター
桃(Momo) フリーライター

書く人・エッセイスト。アメリカ・イギリスでの短期語学留学、ヨーロッパ鉄道周遊ひとり旅など経て、新卒でベンチャーの旅行会社に就職。現在は複数メディアにてフリーのライター兼編集者。趣味は英語で、映画は洋画を中心に年間150本を鑑賞。渡航国数は23ヶ国。

ミゲルが旅する「死者の国」の出入国審査

Disney•Pixar’s Cocoさん(@pixarcoco)がシェアした投稿

デラクルスが祀ってあるお墓からびっくりして外に出ると、普段通り多くの人がお墓にお供え物をしたり、花を飾り付けたりと「死者の日」を楽しんでいます。そしてミゲルは亡くなったはずのミゲルの親族にお墓で出会うのです。ミゲルの親族はオレンジ色のマリーゴールドの橋を渡り、死者の国から一年に一度だけ人間界に遊びに来ていました。

 

「イメルダに会いに行ってご加護をもらわないと」そう親族に言われ、ミゲルもオレンジ色の橋を渡ることに。すると目の前に美しい死者の国が広がっていました。一枚一枚手書きでデザインされた死者の国は、実は上の方が工事中。「死者は増え続ける」ということにかけて、死者の国も建設中にしたという、ピクサーの遊び心が詰まっています。

死者の国に入るのには出入国審査を通る必要があり、この審査をパスしないと橋を渡ることすらできません。人間界ではパスポートが出入国審査に必須ですが、死者の国から人間界へは自分の顔が写っている写真がパスポート代わり。みなさん一度は体験したことのあるようなカメラに顔を向ける写真判定もあります。

出国審査をパスする基準はたった一つ、人間界でその人の写真が祭壇である「アルタール」に飾られているかどうか。どんなビザも強硬手段も、死者の国では通じません。

死者の国における二度目の死と「リメンバー・ミー」


Photo by shutterstock

まだ生きている人間の子が死者の国にくるのはご法度。しかし、ミゲルは「音楽禁止」を解くために、ひいひいおじいちゃんを探しに出かけます。そんな時ミゲルは、お調子者のガイコツ・ヘクターと出会い、死者の国にあるもう一つの死について知ることに。

 

死者の国でのもう一つの死とは、人間界にいる人から「忘れられる」ことです。そう、これまで亡くなったはずの親族になぜミゲルが死者の国で会えるのかというと、ミゲルの家にある祭壇「アルタール」に写真を飾り、心の中でいつも亡くなった家族を思っていたから。

死者の国にいる人が人間の世界の人から「忘れられる」と、どうなってしまうのか。それは、死者の国からもキラキラ消える砂のように、消えて無くなってしまい、もう二度と会えなくなってしまうのです。

「リメンバー・ミー」を歌うデラクルスも劇中で言っていましたが、「リメンバー・ミー」とは家族を繋ぐ大切な歌。「覚えていて」という訳のこの曲の裏には、心で覚えていてくれるだけで、亡くなった人もどこかで(死者の国で)生き続けているというメッセージが込められています。

ヘクターがミゲルの旅を助ける理由


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「君のひいひいおじいちゃんを探す手伝いをする代わりに、この写真を人間界に持って帰って欲しいんだ」ガイコツのヘクターはそうミゲルに頼みます。なぜならヘクターは一人で死んでいったため、人間界にヘクターの写真を持った人が一人もいないからなのです。

 

人間界に写真がないと、出入国審査をパスすることも、マリーゴールドのオレンジ色の橋を渡ることもできず、人間界には行けません。ヘクターは人間界にいる自分を知っている人が、もうすぐ自分を忘れそうなことに気づいていました。

そのため、その人物がヘクターを忘れる前に人間界へ一度行き、もう一度その人物に会いたいと思っていたのです。

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スクリーンいっぱいに広がる死者の国には、湖や滝、山、ビルや路地裏など、人間の世界とあるものは変わりません。劇中に出てくる死者の国を走るモノレールのような、トロッコのようなものから見る景色は間違いなく絶景でしょう。出来ることならぜひ乗車してみたいものです。

衝撃の結末と「リメンバー・ミー」の真相

死者の国を冒険しながら、とうとうひいひいおじいちゃんを見つけたミゲル。そこで衝撃の事実を知ることとなります。偉大なミュージシャンである「デラクルス」はミゲルのひいひいおじいちゃんではなく、ヘクターこそがミゲルのひいひいおじいちゃんだったのです。

 

ミゲルが尊敬していた偉大なデラクルスは、ヘクターを殺した張本人。一緒に音楽を作っていたのにも関わらず、ヘクターが作った「リメンバー・ミー」を独り占めしようと毒殺、一人でソロデビューを果たし、伝説のスターとなったのでした。

「リメンバー・ミー」という曲は、ヘクターが音楽の道に進むため、家族を置いて家を出る前、ミゲルのひいおばあちゃんであるココに捧げた、たった一つの歌。ミゲルの家の祭壇「アルタール」にはひいひいおばあちゃんがヘクターの顔をちぎって飾っていたため、出入国審査をパスすることができず、人間界に来ることができなかったのです。

そして、そのココがもう高齢で、ヘクターを忘れそうになっていたため、ヘクターはココが忘れないうちに、自分が消える前に一度だけでも人間界へ行き、ココの姿を見てみたいと思い、ミゲルに写真を渡すようお願いしていたのです。

忘れなければ心の中で生き続ける


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ミゲルが死者の国からの旅を終え、ヘクターの写真を片手に、ひいおばあちゃんのココへ「リメンバー・ミー」をギターの弾き語りで歌うと、ひいおばあちゃんがヘクターを思い出します。ほどなくしてココが死者の国へ行った時には、ヘクターを含めたミゲルの親族が、ココを出迎えることになるのです。

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「もう会えなくなってしまっても、心の中でずっと生き続けているよ」

メキシコの「死者の日」はお祭りという華やかな雰囲気を残し、悲しさを紛らわせながらも、大切な人がたとえ死んでしまってもずっと覚えていよう、そうすればいつか会えるかもしれないという、とても大切なメッセージを思い出させてくれる、重要な日です。

ぜひメキシコに行った時には、映画『リメンバー・ミー』と「死者の日」を比べ、亡くなった人を思い出す日を送ってみてはいかがですか。

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桃(Momo) フリーライター

書く人・エッセイスト。アメリカ・イギリスでの短期語学留学、ヨーロッパ鉄道周遊ひとり旅など経て、新卒でベンチャーの旅行会社に就職。現在は複数メディアにてフリーのライター兼編集者。趣味は英語で、映画は洋画を中心に年間150本を鑑賞。渡航国数は23ヶ国。

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