「予定調和な旅でいいのかい?」僕は旅を始めて1週間でルートを変えた

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過去の自分を初めて責めた。 だけど、だからこそ、この先の旅を無駄にしないように、 精一杯歩こうと思った。

 

ぼったくりなはずのインド人の涙

それからも、たくさんの出逢いが僕を前へ歩かせてくれた。

 

8ヵ国目、インド。

とある宿でカレーを食べて食中毒になった時、 偶然宿のロビーにいたリキシャのおっちゃんが 病院まで運んでくれた。

朦朧とした意識の中、何も食べずに点滴を打ち続けて3日間。 体力が回復して、おっちゃんにお礼のお金を払おうとすると、

 

おっちゃん「いらん」

僕「(…少ないってことなのかな?)いくら欲しいの?」

おっちゃん「金は受け取らない」

僕「なんで?」

おっちゃん「インド人が君に迷惑をかけた。 だから俺は、同じインド人として君のために動いたまでだ」

 

おっちゃんの目には、うっすら涙が溢れていた。

「せっかくタージ・マハルを楽しみに来てくれたのに、 苦しい思いをさせて申し訳ない」

 

一つひとつの出逢いが僕を変えていく

インド人といえば、ウソをつく、ぼったくるのオンパレード。

でも、そんな差別と偏見は一気にどこかに吹き飛んだ。

「いくら欲しいんだ?」

おっちゃんを疑って、そんなことを言った自分の小ささを本当に情けなく思った。

 

一つひとつの出逢いが、 僕をひきこもりの大学生から旅人に変えていく。一人ひとりがくれる言葉が、少しずつ、僕の人生をいい方向に導いてくれた。

 

僕の人生を変えた奇跡の絶景

そして何より僕の人生を変えたのは、 南米はボリビアにある、ウユニ塩湖の絶景だった。

 

ウユニ塩湖は、標高 3,700m のアンデス山脈の上にある、 真っ白な塩の大地と果てしなく青い空が広がる世界。

塩の大地に雨が降ると、薄く張った水面に、 青い空も白い雲も輝く太陽も、完璧に、鏡張りに反射する。

「人が唯一空の上を歩ける場所」

「死ぬ前に行ける天国」

「世界一の奇跡」

なんて、旅人の間でささやかれている絶景だ。

実は、ウユニ塩湖は僕が世界一周に出る前に、 「唯一ここだけは行く!」と決めていた場所だった。

ひきこもった部屋の中で、YouTube に映し出された絶景は、 すさんでいた僕の心さえも簡単に掴んだのを覚えている。

 

バスで約40 時間、高山病と闘いながら、僕はチリの首都サンチャゴから、夢見た絶景へと向かった。

40時間後、僕はついに夢見ていた場所に立った。

ただ、そこには奇跡の絶景は存在していなかった。雨がまったく降っていなかったのだ。

だから、塩の大地は空を映し出してはくれなかった。

 

無情にも、帰国日は2週間後に迫っている。

明日にはここを離れなければ、僕は日本に帰れない。

暗く閉ざされたひきこもりの世界から、 僕を連れ出してくれたウユニ塩湖の絶景。

(300 日かけて世界一周してきたのに、 それを見ずに、このまま旅を終えるなんて…)

 

帰国を1ヵ月延ばそう

諦めきれない。僕は一つの決断をした。

(帰国を1ヵ月延ばそう。 金も底を尽き始めているけど、ウユニだけは譲れない)

2週間、ボリビアの首都ラパスで雨が降るのを待った。

 

ある日、ウユニ方面から戻ってきた旅人が言った。

「今、ウユニ鏡張りだよ!」

すぐに、ウユニ行きのバスへ乗り込んだ。数時間後、ウユニの町に着き、すぐにバンに乗り換える。気が気でなかった。

水が干上がっていたらどうしよう。 これ以上、帰国日は延ばせない…。

 

そんなことを考えていると、バンが急停車した。乗っていた全員が我先にと降りていく。

 

「うわっ・・・・・・」

 

息を飲んだ。

辺り一面に鏡張りの世界が広がっている。遮るものが何もない。

360 度、白と青しか存在しない世界。

瞬きする暇もないくらい、雲の形は刻一刻と変わっていく。

 

人生で初めて、夕日なんかに涙した

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次第に真っ青だった世界は、黄色くなり、ピンクになり、 地平線の彼方の夕日が、世界を赤一色に染め上げていく。

 

涙が止まらない。

人生で初めて、夕日なんかに涙した。

数ヵ月前まで、灰色の天井を見上げてばかりいた僕が、 地球の裏側で、赤い夕日を見て涙している。

ひきこもりの住人から、世界一周の旅人になって、 自分の足で、自分の意志で、歩いてここまでこれたんだ。

 

それでもまだ、指をくわえて待ってるの?

もしも今、あの頃の自分に出会えるなら僕はこう言うと思う。

息を飲むような絶景を誰かが UP した動画から見つけても、それじゃ、心は震えない。それじゃ、涙は流せない。

 

「それでもまだ、指をくわえて待ってるの?」

 

世界一周の旅は、自分との戦いだった。

ドラッグまみれの旅行者たち、兵役と闘う韓国人青年の苦悩、 サハラ砂漠で見上げた星空、 サンフランシスコの海岸で日本の反対側から見た太平洋。

「いつか自由に外の世界を旅してみたい」

そう語っていた、パレスチナの壁の中で生きる子どもの眼差し。

 

自分は何者で、何がしたくて、どんな人生を歩みたいのか。 考える時間はいくらでもあって、 考えさせる刺激なんて、次から次へと襲ってきて。

 

(ひきこもって、現実なんてシャットアウト!)

 

そんなことできるわけなくて、イヤでも考えざるを得なかった。 自分と向き合うことから逃げずに、本気で悩んだ。

 

そのおかげで、日本に帰ってからの僕が少し楽しみになった。

成田空港に降り立った時は、まだまだ 31 ヵ国目の 日本という国にやってきたという感覚だった。

 

「おかえり!」「ただいま!」

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入国手続きを済ませ、10ヵ月前に押されたものと 同じ形のスタンプを押され、何だか不思議な感覚。

到着ゲートに着いた。 いつもなら、ここから市街地行きのバスか電車を探すのに、 その時はいつもと違ってある人たちを探していた。

手を振っている人たちが目に留まる。見覚えのある顔だ。

「おかえり!」

 

その一言を聞いた瞬間、緊張の糸がぷつっと切れた。

バックパックを降ろすと、その重さとともに、 今まで自分にのしかかっていたものが、すーっと消えた。

「ただいま!」

僕は、帰ってきたんだ。

 

それは、ひきこもりの僕でもできた旅

世界一周。

この4文字の言葉は、夢物語のように聞こえるけれど、 それは、ひきこもりの僕にだってできた旅。

やりたいと思ったことは絶対実現できるって、分かった。 得られた自信は間違いなく、僕の人生に活きている。

 

大学にさえろくに行かなかった僕が、社会人となった今でも、 休みを使って定期的に旅のイベントを開催したり、ヒッチハイクで九州を旅したりと、365日をフルに使って、ワクワクする生活を送っている。

 

はじめの一歩さえ踏み出せば、 過去の自分なんて関係ない

(変われたんだ。部屋の天井を見上げながら、 死ぬまでの時間をただひたすら消費するだけだった人間が、

ただ一度の人生を後悔なく、 やりたいことをやって、精一杯生きようとする人間に)

 

310日の旅は、僕の新しい人生の始まりだった。

はじめの一歩さえ自分の足で踏み出せば、 過去の自分なんて関係ない。

出逢う景色や人や出来事が、勝手に背中を押してくれる。

世界一周なんて、誰でもできる。

 

ただ、310 日間かけて世界を歩いたという事実は、 きっとこの先何年経っても、 一度きりの人生を後悔なく生きる力になっていくんだと思う。

 

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TABIPPO.NET編集部
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若者が旅する文化を創る!
全員が世界一周を経験したメンバーが学⽣時代に作った組織がTABIPPOです。設立して4年半、2014年4⽉に株式会社になりました。とにかく旅が好きで、たくさんの人に旅を広めたいと思っ…

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