ライター

高橋歩さんの「BELIEVE YOUR トリハダ」という言葉に影響を受け、自身も人の心を動かせる仕事をしたいと決心。サックスとジャズへの愛が止められず、メンフィスとニューオーリンズを訪れたことから旅に目覚める。好きなものはお酒といちご。

ニュージーランドの4月は秋が近づいていて、ちょうど過ごしやすい時期。わたしは1年ほど前から、留学のため首都・ウエリントンで暮らしている。日本人は知らない人も多いけれど、ウエリントンは「ロンリー・プラネット」で「世界でもっともクールな首都」と絶賛されている話題の街なのだ。

今日は学校もバイトもおやすみ。朝からデートの約束をしているので、いつもより少し早起きをしてメイクもばっちりだ。

付き合っているニュージーランド人の彼は、3歳年上の大学院生。大学で出会って、初対面から意気投合したわたしたちは1ヶ月も経たずに付き合い始めた。

今日は彼との半年記念日。待ち合わせのカフェに向かう途中、「もう着いたよ」との旨のメッセージが届く。デートの待ち合わせは、何度してもその度にドキドキしちゃう。

お店に入ると、黒いスキニーパンツにデニムシャツを着た彼が席に座って待っていた。光に当たると茶色に見える髪、覗き込むとグレーの瞳を持つ彼は、シンプルなファッションがとてもよく似合う。

足元には、わたしが誕生日にあげたスニーカーを合わせている。

(※この記事は13245465786520%妄想で書いておりますので、あらかじめご了承ください)

待ち合わせは地元で愛されるカフェで


photo by Abe saxophone

わたしたちが待ち合わせをしたのは、地元のウエリントニアンに愛されている「フライト・コーヒー&ザ・ハンガー」。

コーヒー焙煎所兼カフェで、主流のエスプレッソのほかにもエアプレスやフィルターなど、さまざまな方法でコーヒー豆の味わいを楽しむことができる。

世界中から豆を買い付けていて、エシカルをコンセプトに品質の良いコーヒーを提供しているそう。生産者とは直接取引をしていて、より良い豆を取り入れようとしているらしい。


photo by Abe saxophone

彼がなにやらレジで注文すると、3種類のフラットホワイトがテーブルに運ばれてきた。1つの豆で入れ方によってどのように味が変わるのか、味わうことができる。

あまりコーヒーに詳しくないわたしに、コーヒー好きの彼が一生懸命説明してくれる。難しいことはわからないけれど、飲んでびっくり! これが全て同じ豆だなんて信じられない。


photo by Abe saxophone

彼のアツいコーヒー話は止まらない。次に運ばれてきたのは、左からダブルエスプレッソ、フラットホワイト、水出しコーヒー。日本の水出しコーヒーとは少し異なり、ここでは24時間かけて作っているんだって。

「オーガニックやフェアトレードは品質が悪いと思われていることもあるみたいだけど、ここのカフェは質の高さを売りにしているんだよ」と彼が説明してくれた。


photo by Abe saxophone

お店ではスタッフの方が、目の前でコーヒーを作ってくれる様子も見ることができる。あ、ちょっと。今お姉さんに見とれてたでしょ?


photo by Abe saxophone

オーナーのRonakさんによれば、こちらのお店は「天気がよくない日」に来るのがベストだとか。「雨が降っていてどこにも出かけられないなぁ……なんて時に、コーヒーを飲みに来る。そしてお店から外の雨を眺めるなんて趣があるよね」なんて話をしてくれた。

ウエリントンで生まれ育った彼によると、「都市のオークランドは見所が郊外に散らばっているけど、ウエリントンは街がコンパクトだから、休日にはみんな街に集まってくる。文化や流行がキャッチしやすく発展しているのも、ウエリントンの特徴だし良いところだよね」とのこと。

そう話す彼の横顔を見ると、嬉しそうに口角が上がっていた。自分の街をこうやって楽しそうに話す姿も、好きなところの1つ。

■詳細情報
・名称:Flight Coffee and The Hangar
・住所:119 Dixon St, Te Aro, Wellington 6011 ニュージーランド
・電話番号:+64 4-830 0909
・公式サイトURL:https://www.wellingtonnz.com/discover/eat-and-drink/flight-coffee-hangar/

可愛らしい映画館でゆっくり


photo by Abe saxophone

ウエリントンは、映画の街としても知られている。日本で映画を観る場所といえばTOH◯ シネマズやユナイ◯ッドシネマなどが有名だけど、ミラマーにある映画館は一味違う。

だって、この外観を見て。こんなキュートな映画館、なかなかないよね。中もさぞかしキュートなんだろうな……


photo by Abe saxophone

と思ったら、いきなり顔があるもんだからびっくりしちゃった。「ひゃっ!」って思わず声をあげたわたしの隣で、彼が「驚きすぎだよ〜」って笑ってる。

顔が飛び出していたら、誰だって驚くでしょ。ちょっと拗ねているわたしの手を、彼が引っ張って奥へと案内してくれた。


photo by Abe saxophone

「わお……」

ちょうど上映が終わったお部屋に入らせてもらうと、見たこともないようなおしゃれな空間が広がっていた。こんな映画館、日本では見たことない。

ちょっとレトロだけど古びた印象もなく、細かいところにも装飾が施されていてとにかく可愛い。彼がわたしを追い越して、シートに腰掛けた。「はい、問題です!」普段は大人っぽい彼も、わたしと二人きりの時は少し子どもみたいに振る舞う。まあ、そんなところも可愛いのだけど。

「さて、赤く輝くこのシートはどこの国のものでしょう?」


photo by Abe saxophone

見る限り、このシートは皮かなぁ。「高級なレザーといえば、イタリアくらいしか思い浮かばないけど違うよね?」諦め半分で答えると、彼がびっくりしてこっちを見ていた。どうやら見事的中したみたいだ。

「うん、当たり」一発でわたしに当てられたのが悔しいのか、少し落ち込んでるようにも見える。ごめんごめんと心の中で謝りながら、彼の表情がコロコロ変わるのが面白くて少しニヤニヤしてしまった。


photo by Abe saxophone

日本にもこんな素敵な映画館があったらいいのになぁ……なんて思っていたら、上からカーテンが降りてきた。映画館というよりむしろ、劇場みたいな光景にびっくり! 興奮しているわたしを横目に、彼が満足そうにしているのもわかった。

どうやら裏のスタッフの人にカーテンを下ろすよう、わざわざ頼んでくれたらしい。少しでもわたしを楽しませようとしてくれる気持ちが嬉しくて、彼の手をぎゅっと強く握った。

「ん?どうした?」

「ううん、なんでもないよ」


photo by Abe saxophone

彼に手を引かれて2階に上がって、目にしたのはなんとオスカー像。まさか本物がここに飾られているなんて思わなかったわたしは、夢中で携帯のカメラで撮影を始める。

後から見せてもらったのだけど、わたしが必死に写真を撮っている場面を、彼も同じく携帯で撮影していたみたい。「だってめちゃくちゃ真剣に撮っているから、おもしろくって」と言いながら、わたしの写真を見せてきた。

彼はいつも、わたしの何気ない表情や仕草も写真に撮ってくれる。最近はわたしも彼のことをよく撮影するので、カメラフォルダはお互いの写真でいっぱい。ふとした時に見返すと、「こんな顔してたんだ」「この時嬉しかったんだよなぁ」なんて当時を鮮明に思い出せるから、わたしたちはこの習慣を大事にしている。

「もうそろそろ映画が始まるね、いこっか」

わたしたちは約2時間の映画を、おしゃれな映画館で楽しんだ。

映画館のカフェでプラッターランチ


photo by Abe saxophone

映画を観終わると、1時を少し過ぎた頃。お腹も空いていたので、映画館内の「ココ・アット・ロキシー」でプラッターランチをいただくことにした。


photo by Abe saxophone

メニューは決まっているので、選ぶのはドリンクのみ。「面白いの選ぶから、期待してて」そう言って笑う彼は、何か企んでいるような顔をしている。

面白いドリンクっていったいなんだろう。そう思いながら、少し待つと衝撃的なドリンクが運ばれてきた。


photo by Abe saxophone

「えっ、なにこれ!?!? ぶくぶく泡が出てるんだけど……」テーブルに運ばれてきたのは、フラスコのようなグラスからぶくぶくと泡が溢れているドリンク。

「インスタジェニックじゃない?」と笑顔で写真を撮る彼。多分、インスタジェニックの意味を勘違いしているみたいだけど……そんな勘違いも可愛いから許してあげる。

彼がこのドリンクの正体をお店の人に尋ねると、スタッフの方も「待ってました」と言わんばかりに細かく説明してくれた。彼とは馬があったみたいで、話がどんどん広がって気づいたらめちゃくちゃ仲良くなっている。

わたしは、どちらかというと他人との距離を縮めるのに時間がかかるタイプ。だからこうやって、初対面の人ともすぐ打ち明けられて仲良くできるところ、実は尊敬している。


photo by misaki naka

トリュフのソースをつけて食べる、フェタのフライや……


photo by misaki naka

ラム肉のローストも、ホロホロでとにかく絶品。美味しさのあまりついつい食べ過ぎてしまって「苦しい……」とつぶやくわたしを見て、彼が「すぐ移動しないから、ゆっくり休んでいいよ」と言ってくれた。

わたしからお願いせずとも、気持ちを汲み取って優しく接してくれる彼。こういうさりげない優しさに、いつも助けられている。

■詳細情報
・名称:Roxy Cinema
・住所:5 Park Rd, Miramar, Wellington 6022 ニュージーランド
・電話番号:+64 4-388 5555
・公式サイトURL:https://www.roxycinema.co.nz/
ライター

高橋歩さんの「BELIEVE YOUR トリハダ」という言葉に影響を受け、自身も人の心を動かせる仕事をしたいと決心。サックスとジャズへの愛が止められず、メンフィスとニューオーリンズを訪れたことから旅に目覚める。好きなものはお酒といちご。

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