13年ぶりに長期の旅に出たナオト・インティライミさんが、旅を夢みる若者へおくる日本最大級の旅イベント、Backpack FESTAの仙台会場にゲスト出演することが決定し、感動したのも束の間、時を同じくして半年間に及ぶ旅のドキュメンタリー映画『ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー2』も公開が間近となった。
“太陽”のように明るく、“お祭り”のように楽しいキャラクターと持ち前の音楽センスでデビュー以来、人気・実力ともにその勢いは止まることを知らないナオト・インティライミ。本作は、忙しさに追われ純粋に音楽を楽しむ心を取り戻したいと、彼が原点回帰をするために、世界をめぐった旅の記録だ。アフリカ大陸14ヵ国、ルーマニア、スウェーデン、ドイツほか、約半年間にわたる濃密な旅に密着。ナオトならではの筋書きなしの旅が生み出す、“新たな出会いと音楽”。ミュージシャンと即興セッションや、子供たちとの交流など、言葉も文化も異なる異国でナオトの<人間力>を発揮し、旅の刺激から生きる力を入れていく――。世界の音楽と文化を体感し、現地の人々との触れ合いを追った、奇跡のドキュメンタリー映画が前・後編の2部作でここに誕生。
出演:ナオト・インティライミ 監督・編集:加藤肇
主題歌:「Sunday」&サウンドトラックbyナオト・インティライミ【前編】 2017年11月23日(木・祝) 【後編】2018年1月5日(金)TOHOシネマズ 新宿ほか全国ロードショー
配給:日活 ©2017「ナオト・インティライミ冒険記2」製作委員会 www.naoto-tabiuta2.com
前編は11月23日(木・祝)、後編は2018年1月5日(金)より公開される。二部作となる今回の映画には、どんな奇跡が集まっているのだろう。
監督の加藤さん、プロデューサーの高橋さんにインタビューする機会を設けていただき、映画制作についてお話をうかがえるという、何とも「Catch the moment」な瞬間が私に訪れたのだ。
❐【11/26仙台】ナオト・インティライミの出演が決定!日本最大級の旅イベント「BackpackFESTA」が開催
❐感じた思いを、路上で歌って旅をした。ナオト・インティライミの旅行記が伝えるメッセージ
「自分の音楽の原点に戻りたい」
(左がプロデューサーの高橋さん。右が監督の加藤さん)
1986年、東京都生まれ。東京フィルムセンター映画・俳優専門学校卒業。在学中の2006年、岩井俊二監督の映画「市川崑物語」(’06)に携わったことをきっかけに同監督に師事し、北川悦吏子監督作「ハルフウェイ」(’09)、小林武史監督作「BANDAGE」(’10)のオフライン編集を担当。2011年、フリーランスのディレクター・編集となり、企業VP、ミュージックビデオ、ライブ映像の制作を手がけている。最新作は坂口健太郎や間宮祥太郎などが出演するwebドラマ「FUROZUKIシリーズ」、miwa「夜空。feat.ハジ→」のPVなど
1979年、静岡県生まれ。プロデューサー。映画、PV、ドラマなど幅広く手がけている。劇映画の代表作に『日本で一番悪い奴ら』、『許されざる者』、『BANDAGE』などがある。音楽ドキュメンタリーも数多くプロデュースしている。代表作に『DOCUMENTARY OF AKB48 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?』、『FOOL COOL ROCK! -ONE OK ROCK DOCUMENTARY』『WE ARE Perfume -WOLD TOUR 3rd DOCUMENT』など。『ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー2』でも、前作に続いてプロデュースを務めている。
ーまずは、映画を制作するという企画に至った背景をお伺いしたいです。
高橋:音楽に追われる日々から離れて、長期間海外へ旅に出る。ナオトからそう聞いたのは去年の10月ごろでした。
自分の音楽の原点でもある旅に半年間出ることは決まっていて、それを作品にしてもいいか本人に聞いたところ、カメラがついてくるだけであれな特に問題はない、とのことでした。
でもその時点ではアフリカに行くことは決まっていなかったんです。
ー他の候補地も上がっていたのですね。
加藤:アジア、ヨーロッパも候補に上がっていましたね。特にアジアは最後まで悩んでいました。音楽だけでなく文化や歴史にも触れたいと。
結局渡航先が決まったのは年が明けたぐらいで。そこからビザの手配や予防接種など準備をしてバタバタでした。
高橋:ナオト自身が半年間の時間をどう使っていくのか、音楽を追い求める想い、そしてそこで何を学びたいのか本人なりに時間をかけて考えて、最終的にアフリカになりました。
そして少し暖かくなったらヨーロッパへ移動しようと(笑)
顔を合わせるのは3回目。いきなり半年間の旅へ同行
ーナオトさんとは以前からお知り合いだったんですか?
加藤:いえ。顔を合わせたのは出発の日がやっと3回目で。それでいきなり旅をするって大丈夫かな、と最初はぎこちなかったです。
カメラマンはナオトさんと仲が良かったので、私はアウェーを感じていました(笑)
でも、仲良くなるのに一日もかかりませんでした。ナオトさんがみんなを名前で呼び合おうと言ってくれて初日から結束を固めてくれました。
本当に人との距離の縮め方がうまい。
ー撮影のスタイルはどのようにされていたんですか?
加藤:イメージ映像撮りたいなぁという場所は少しありましたが、基本的にはナオトさんについていけば何かしら事件が起きるだろうという撮影スタイルでしたね。
ー確かに。前作でも次から次へと何か起こっていましたよね。「旅」に関する役割はどうですか?例えば飛行機や宿を手配したり。
加藤:宿の手配は私もやりました。
航空券は、出発日が近づくにつれて割高になるので、これだけは確保しておこうと。
現地の下調べやイベントの情報収集はナオトさんですね。現地に着いてから宿の人に聞いたり、事前にネットで探してきたり。
マダガスカルに行く予定だった時も、南アフリカでカーニバルがあると情報を聞きつけ、日程を変更して飛ぶことになりました。
バオバブの木、見たかったんですけどね(笑)なので、今度は子供をつれて行ってみようと思います。
ー今度はぜひお子さんと一緒に訪れてください…!
ナオトさんの旅人気質、アーティスト精神から学んだこと
(ナオトさんの周りはいつも笑顔が生まれる)
ー映画を見ている中で、ナオトさんの旅人気質なところ、そしてストイックなアーティスト精神が伝わってきました。
加藤:ナオトさんにいつも旅の仕方を習いながら旅をしていました。
例えば、何かを購入するときは絶対に値切り交渉をする。絡まれた時にすぐにお金を出しちゃいけない。カモにされるから。
それに、「これからやってくる日本人にも迷惑がかかるよ」って。もうそれは成田空港から言われてましたね(笑)
ー旅人の鏡…!ナオトさんは人との距離の縮め方がお上手ですよね。私は心配性な性格からどうしても警戒心から入ってしまって…
加藤:そうなんですよ。屈託なく人に話しかけていくところが旅人ならでは。圧倒的なコミュニケーション力は人柄や人間性が出ていると思います。
ーそれから、いつも様々な国の言葉も勉強されてますよね。
加藤:必ず到着する前の移動時間に簡単な挨拶は勉強して覚えていました。
世界一周の時に使っていた、世界中の言葉や通貨が載っている本をまだ使っています。
ー劇中に出てくるアフリカの音楽ってリズムを取るのが難しそうでしたね。でもナオトさんは練習を重ねてマスターする。
高橋:計り知れない努力家ですよね。「ムビラ」というジンバブエで購入した楽器をナオトが凄く気に入っていて。
この楽器は特殊で、一つ一つ音階も違うんで楽器が変わると同じように弾けない。
ジンバブエの滞在中に必死で練習をしている映像が撮影されていたのですが、帰国後、久しぶりに会うと弾けなくなっていて(笑)
でも、先日、映画の完成披露のときにも練習をしている姿を見たのですが、その時には現地の人よりもうまいんじゃないかってぐらいに上達していました。
相当練習して挑んだんだと思います。
ー劇中に出てくる「Sodade」を一生懸命練習する姿からも、計り知れない努力家の部分が伝わってきました。
加藤:音楽に関することには貪欲で。現地の音楽や流行音楽のCDを買い込み、気になる音楽はプレイリストに入れて移動中に全部聞いて、帰国後の音楽につなげる。それも眠ることなく。移動中はずーっとやっていましたね。
こんなこと自分にはできないな、と感じました。
ー音楽もそうですが、ナオトさんが旅中に発する言葉が刺さります!前作の「自分が動かなかったら景色はずーっとそのまま」という言葉にハッとさせられました。
加藤:ナオト語録ですね。
「旅マジック」だったり「思い出や刺激が渋滞している」。
手書きのノートにまとめていました。
ーそのノート見てみたい!笑
ナオトさんが歩けば何かが起きる
(カーボベルデにて)
ーそれにしてもナオトさんの「旅マジック」引き起こし率は半端ないですよね。
高橋:そうなんですよ。だから一瞬たりとも見逃せない。一つ一つの行動が次なる「旅マジック」を引き起こすんです。
カーボベルデでの一件も、まさかあんなことになるとは思っていませんでした。
撮影クルーも帰ろうとしていたところで、あんなことが始まりましたから!
ーあの場面は前編で一番の「Catch the moment」な瞬間でしたね!(何が起こったのかはぜひ本編でお楽しみください!)
加藤:あの時もそうでしたね。マダガスカルへ行った時。
ー確かに。あの繋がりも感動しました。
加藤:偶然が重なってこんなことってあるんだ、と。
バオバブの木を見にいく予定がなくなり、たまたま訪れる予定がなかった場所で撮影をしていたら、村の住民たちが集合してきて。
ー一度別れてからまた再会した時の、楽しそうな子供達の笑い声が忘れられません。(こちらは後編公開をお楽しみに!)
これも旅の醍醐味!?
ー予告編でも映っていましたが、ナオトさんが体調を崩された時は焦りました。
高橋:そうですね。日本で待っている私たちも連絡を受け保険のことや状況を聞いたりとバタバタはしましたが、無事で何よりでした。
本人も、体調を崩すことはそれを含めて旅だと言っていました。
ーなるほど。(笑)監督は現地で何かハプニングに遭遇されましたか?
加藤:体調面では特になかったのですが、パスポートが初日に見つからなくなてしまって…
結局見つかったんですが、空港をナオトと一緒に走りまわりました(笑)
あと、撮影が終わった帰国直前にパスポートを盗まれてしまいました。合計で3回ぐらいパスポートに関するハプニングは起こっていますね。
ーえ!それは焦りますね。撮影が終わっていたのが不幸中の幸いですね。
高橋:日本にいるメンバーはどうすることもできないので、そっちでなんとかしてくれ!という感じでしたね(笑)
ー撮影時間は約1000時間。映画の中に入らなかったエピソードは何かありますか?
加藤:そうですね。ガーナの国境を越える時に、入国審査官だと名乗る人からお金を求められて。私とカメラマンだけだったらきっとお金を払って終わってましたが、ナオトさんは違った。
「せっかくさ、ガーナの人たちはめちゃくちゃ優しかったよって日本のみんなに伝えようとしてたのに、何でそういうことするの?」と20分ぐらい話しこんでいました。
結局お金は払わなくてよくなった。
ーめちゃくちゃ旅人だ。国境のあたりだと賄賂を求められるところも多いですもんね。
「旅歌ダイアリー2」の見所、魅力は?
(ついつい踊りだしたくなるアフリカ音楽)
ーたくさんお話を伺ってきましたが、改めてお二人から今回の映画の見所をお願いします。
高橋:二つあって、まずは「ナオト・インティライミ」というアーティストの凄さ。わずかな言葉だけでも音楽の力で人がこれほどにも感動するんだ、ということが原体験に近い感じで映し出されている。
二つ目は、アフリカの音楽が中心にあるものの、スクリーンには見たことのないアフリカの世界が広がっていて、世界は広いと感じさせてくれて純粋に旅に行きたくなるし、新しいものに触れたくなる作品です。
加藤:ナオトさんの恐ろしいほどのコミュ力が現れている作品です。先ほどもお伝えしましたが、底知れないほどの努力家でマメで。そういう人柄をたくさんの人に伝えたいな、と思っていました。
旅好きの皆さんへメッセージ
ーでは最後に。この記事を読んでいる人は旅が好き、旅に出たいと思っている人が多いです。ぜひメッセージをお願いします!
加藤:映画撮影のことがなければきっとこのアフリカの地を訪れてなかったと思うし、今回の経験は自分にとって糧となりました。旅は人生において、ある意味必要なんだなぁと感じましたね。なので、皆さんもこれからも旅を続けていってほしいと思います。
高橋:萎縮せず、物怖じせず、様々な国に行って欲しい。旅先で得るものは日本で生活している以上のものがあります。ぜひナオトの背中を見て世界に旅立って欲しいですね。
最後に
(後編には友人の香川真司選手も登場する)
13年ぶりに長期の旅に出た旅人ナオト・インティライミさんが映画を通して教えてくれたのは、その国にお邪魔をしているという現地の人への敬意だったり、文化を知ろうとする探究心、行動力。
また、チャンスはふとした瞬間にやって来るもの。その瞬間を見逃さないように普段から準備しておくことが大切何だな、と感じました。
ナオトさんの周りにはいつも人が、笑顔が自然と集まってくる。
その裏には絶え間ない努力はもちろんのこと、音楽、人、そして旅への愛情に溢れていました。
筋書きなしのドキュメンタリーを、ぜひ映画館でお楽しみください!