ライター

1995年秋田県生まれ・千葉県育ち。日本47都道府県、世界40ヵ国を訪問。新卒で不動産会社に就職し、新卒採用と営業を経験。退職後はワーキングホリデービザでデンマークに1年2ヶ月、ベルリンに6ヶ月滞在し、現在はヘルシンキ在住。"旅するスパイスカレー屋"を世界中で不定期開催しています。

リスボンのMiradouro da Graça(グラサ展望台)にて
photo by Yurie Shiba

大学の卒業旅行でポルトを訪れた時に、私はポルトガルのとりこになった。

温暖な気候で治安が良く、物価もヨーロッパの中では安い。ヨーロッパらしい美しい街並みは歩くだけでも楽しく、ポルトガル名物である装飾タイル「アズレージョ」や魚モチーフの雑貨はどれも可愛らしい。食べ物が日本人の味覚に合っていることも大事なポイントだ。

「お母さんを連れてきたい街だね」。一緒に旅をした友人3人とそんな話をした。

あれから5年、ポルトガルにすっかり魅了された私たちは、同じメンバーで今度は首都リスボンを訪れた。

ジャカランダの咲く季節にリスボンへ

世界三大花木のひとつ、ジャカランダ
photo by Kana Okuyama

5月上旬のリスボンは、満開のジャカランダが街を鮮やかな紫色に染め上げる季節。青い空とカラフルな建物を背景に咲き誇るその姿は、まるで絵画のように美しく、思わず目を奪われる。

日本では、その紫色の花が紫雲が空にたなびいているように見える様子から「紫雲木(しうんぼく)」と呼ばれることもあるが、原産は中南米で日本では冬を越せないため、街路樹として見かけることはほとんどない珍しい花だ。

ポルトガルには、大航海時代にブラジルから持ち帰られたことで広まったと言われている。

見かけるたびに思わず足を止めて写真を撮りたくなる
photo by Yurie Shiba

ジャカランダの開花は「初夏の便り」と呼ばれ、日本の春の訪れを告げる桜と重なる。

リスボンの街角ではジャカランダの木の下に花びらが降り積もり、紫のじゅうたんのような幻想的な光景が美しい。

満開の木の隣で、すでに花を落としはじめた木が並ぶ様子もまた、日本の桜に通じる儚さが感じられる。

まるで桜並木のよう
photo by Kana Okuyama

多くの日本人が桜にまつわる思い出や感情を大切にするように、きっとポルトガルの人々にとっても、ジャカランダは初夏の思い出を呼び起こす特別な花なのだろう。

ジャカランダの木がつくる影も美しい
photo by Kana Okuyama

坂の街リスボンを歩いて巡る魅力

ターコイズブルーの建物と新緑の鮮やかさが目をひく
photo by Yurie Shiba

カラフルな建物や、アズレージョで彩られた建物などが立ち並ぶ街並みは目に美しく、歩くだけで楽しい街だ。

リスボンは急な坂道が多いことで有名だが、坂道だけでなく階段もいたるところにあることは訪れて初めて気がついた。

碁盤の目状にきっちりと区画整理された街とは対照的に、細い小道や階段が縦横無尽に街を横切る。

細い道が入り組んだエリアの多いリスボン。冒険心がくすぐられる。
photo by Yurie Shiba

方向感覚に自信のある私でも、地図なしで思うように進むのは難しかった。しかし回り道をするたびに思いがけない素敵なお店や景色と出会い、旅ならではの高揚感と共にふらふらと足を進めるのがたまらなく楽しかった。

あの道を進むとおしゃれなお店に出会える気がする! この階段を登ったら景色の良い広場に辿り着きそうかも! と、自分たちの直感を頼りにわくわくする小道を選ぶという旅の醍醐味を味わえる。

階段を登りきったところで振り返ると、鮮やかな景色が疲れを癒してくれる
photo by Yurie Shiba

どの路地にも唯一無二の景色があり見逃せない
photo by Kana Okuyama

ワイングラス片手に語らうロマンチックな憩いの公園

Jardim Fialho de Almeida(フィアリョ デ アルメイダ庭園)にて
photo by Kana Okuyama

コペンハーゲンで一緒に暮らしていたルームメイトに、リスボンでおすすめのイラン料理レストランを教えてもらった。

ドイツ出身でベジタリアンの彼女が、数々のベジタリアンレストランを試した中で「雰囲気も味も抜群だった」と絶賛していたので期待を込めて行ってみることに。

ポルトガルに来る前はイタリアで1週間弱過ごしていたこともあり、パスタやピザ以外の胃に優しい食べ物が恋しくなっていた。そんな時にイラン料理は魅力的な選択肢だった。

観光エリアからは少し離れたエリアにあり、彼女に教えてもらわなければ、きっと自分では見つけられなかっただろう。

お店に向かう途中のカラフルな街並み
photo by Yurie Shiba

お店に到着する直前に、ひときわ賑わうスポットを発見。近づいてみると小さくて雰囲気のある「Black Sheep Lisboa」というワインバーだった。

さすがはワイン大国。地元民が集まるお店では、水よりも安い値段でワインが売られていることもあるそう。

このワインバーでは、小規模の独立生産者に特化してワインを仕入れており、こだわりのストーリーが詰まったワインを味わえる。

さらにこの店のワインはグラスに注いでもらい、公園で自由に楽しめるようだった。初夏の気持ちいい夕暮れに、ワイングラスを片手にくつろぐ——なんて最高な過ごし方だろう。

中央の噴水の周りに人々が集う
photo by Yurie Shiba

公園では、恋人や友人と語らう人、待ち合わせをする人、犬の散歩をする人。ひとりひとりの時間がゆるやかに流れている。リスボンに暮らすローカルの生活が垣間見えた瞬間だった。

次にリスボンを訪れる際には、必ずこのワインバーでワインを注文して、この公園で楽しみたい。

■詳細情報
・名称:Black Sheep Lisboa(ブラックシープ リスボン)
・住所:Praça das Flores 62, 1200-192 Lisboa
・地図:
・営業時間:【火〜木・日】18:00-0:00 【金・土】18:00-1:00
・定休日:月曜日
・電話番号:+351 938 946 762
・料金:5-10€/人
・公式サイトURL:http://blacksheeplisboa.com/
・公式SNS https://www.instagram.com/blacksheeplisboa/

目的のイラン料理レストランへ到着すると、店内はすでににぎわっていた。順番が来るまで先ほどの素敵な公園で待つことに。

からっとした空気が気持ちよく、思わず両腕を広げてヨーロッパの夏の空気を抱きしめたくなる。

車通りも少なく静かなエリア。20:00でもこの明るさ
photo by Yurie Shiba

順番が来て石畳の歩道に設置されたテラス席に案内される。夏のヨーロッパでは、テラス席は特等席だ。

真っ赤なビーツを使ったフムス、焼きナスの発酵ヨーグルト添えなど、伝統的なイラン料理にモダンなアレンジが加えられた料理は絶品だった。

特製ソースにマリネされた鶏肉料理
photo by Kana Okuyama

そして、その味をさらに引き立てたのは、周囲に広がるロマンチックな雰囲気。陽が落ちるにつれて、周辺の飲食店や住宅にあたたかな明かりが灯り、人々の顔をやさしく照らしていた。

21:00でもまだ空にほんのり明るさが残る
photo by Yurie Shiba

■詳細情報
・名称:Cafeh Tehran(カフェ テヘラン)
・住所:Praça das Flores 40, 1200-192 Lisboa
・地図:
・営業時間:12:00-23:30
・定休日:火曜日
・電話番号:+351 21 073 6530
・料金:15-20€/人
・公式SNS:https://www.instagram.com/tehrancafeh/
ライター

1995年秋田県生まれ・千葉県育ち。日本47都道府県、世界40ヵ国を訪問。新卒で不動産会社に就職し、新卒採用と営業を経験。退職後はワーキングホリデービザでデンマークに1年2ヶ月、ベルリンに6ヶ月滞在し、現在はヘルシンキ在住。"旅するスパイスカレー屋"を世界中で不定期開催しています。

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