故人をミイラにする理由とは
「家族を葬る心の準備ができない中、ミイラである故人と共に過ごすことで、突然の喪失感や悲壮感を癒してくれる。」とトラジャ族のある男性は口にしました。
トラジャ族の生活水準を考えれば、上でご紹介したような大々的な葬儀は、家族が亡くなったからと言ってすぐに行えるわけではありません。
亡くなった家族をミイラにし、家の中で共に生活する期間は、葬儀の資金を貯めるなど故人の人生の一大イベントである葬儀に向けての準備の時間でもあります。この準備期間を通して、遺族たちは、人生最大のイベントを迎える故人を盛大に送り出すための心の準備も整えていくのです。
トラジャ族の先祖に対する想いと死生観
ランブソロが終わった後にも、3年に1度ミイラを墓から掘り起こし、服を着せ替えパレードをしたり、一緒にピクニックをしたりして同じ時間を共有する「マネネ 」という風習も存在します。このようにトラジャ族は、先祖に対する並々ならぬ思いを抱えながら生きているのです。
この考えは、日本のお盆の考え方にも少し似ているのではないでしょうか。先祖が迷わずに帰ってこれるように迎え火を焚き、ナスやキュウリで精霊馬を作り、先祖を送るために送り火をする。お盆は祖先の魂が戻って来て一緒に過ごす特別な期間として、古くから大切にされてきました。しかしながら、このような風習も、現代では見る機会や体験することが少なくなりつつあります。
かつては日本でも「死」を意識する機会が多く存在していました。道路や公園には車に引かれて死んでしまったタヌキや、寿命を全うしたセミの死骸を見る機会がありましたが、開発が進み町から自然が減少し、小さな死も目にすることが少なくなりました。
また、核家族が増え祖父母と離れて暮らすようになったり、介護施設や老人ホームなどの出現によって家族の死や老いでさえも少し遠い存在になってしまったような気がします。死と生は常に表裏一体で、本来私たちは「死」を考えることで「生きる」意味を豊かにしてきたのではないでしょうか。
「ランブソロ」の葬儀は、先祖に感謝の気持ちを伝え、そして先祖がいるからこそ今の自分たちが存在しているんだということを改めて感じさせられる、トラジャ族の人々にとってはとても大切な習慣なのです。
独特の文化を継承し続けるトラジャ族の死生観から、私たちが学ぶことは多くあるのかもしれません。
トラジャ族の人生で最も重要なイベント「ランブソロ」に立ち会えるかも
トラジャ族が住むタナトラジャは、今まで一般人の立ち入りは限定的でしたが、この度、非常に貴重な体験をより多くの方にお届けしたいと、株式会社Wanderismが限定ツアーの募集を開始しました。
Wanderismは「世界には、想像以上の旅がある。」をコンセプトに、個人ではなかなか行くことのできない場所、見ることのできない世界に、誰でも簡単にアクセスできるような世界を実現し、人生を豊かにするきっかけとなることを目指しています。
こちらのツアーは、株式会社Wanderismのコンセプトを表す代表的なもので、少しでも多くの皆さんに貴重な体験をしてほしいという想いから、破格の価格設定で5泊6日のツアーを用意されています。
誰もがいつかは必ず迎えるものなのに、普段の生活ではなかなか感じることのできない「死」について、このツアーを通じて一緒に考えてみませんか?
ツアーお申込みページ: http://indonesia.wendytour.com/package/1299_WDY-SP1.html
Wanderismツイッター: https://twitter.com/Wanderism180
※ツアー開催時期は事前情報を元に決定しておりますが、確実に葬儀に立ち会えることを保証するものではありません。
※ツアーのお問い合わせは直接株式会社Wanderismまでお願いいたします。
写真:綿谷達人