こんにちは、絶景ハンターのまゆみです。
与論島といえば、干潮時にだけ現れる幻の砂浜「百合ヶ浜」がもっとも有名ですが、琉球文化の影響を色濃く受けた独自の文化や生活スタイル、食、方言に至るまで実に個性的で興味深いものがあります。
そんな中でも今回は、知る人ぞ知る穴場の絶景スポットであり、かつてはユニークな旧正月行事開催の場として知られた「ハミゴー」に着目してみました。
独自の文化が息づく「与論島」
奄美群島の一つであり、鹿児島県最南端に位置する与論島。
行政区分こそ所管は鹿児島県ですが、与論島から沖縄本島北端の辺戸岬(へどみさき)まではわずか23キロメートル。晴れた日には沖縄本土が見渡せるほど近しい位置関係にあることから、薩摩(鹿児島)というよりむしろ琉球(沖縄)の影響が色濃い文化や風習を持っています。
毎年旧暦3月・8月・10月の各15日、「嶋中安穏・五穀豊穣」を祈って神前に奉納される、国指定重要無形民俗文化財の伝統芸能「与論十五夜踊り」、酒を酌み交わして客人をもてなす伝統儀礼「与論献奉(よろんけんぽう)」など、与論にはさまざまな独自の文化が息づいています。
その中のひとつ、今に語り継がれる旧正月の恒例行事が「ハミゴーアシビ」。島中の若い男女が集い、歌い踊って遊興にふける、平たく言えば「合コンパーティー」です。その会場が「ハミゴー」という洞窟でした。
実はハミゴーは、ものすごい場所にあるのです。それでは、与論島の秘境ともいえる穴場スポットをご紹介していきます。
与論島の秘境「ハミゴー」とは
ハミゴーがあるのは与論島南部。前浜海岸から西へおよそ1キロメートル、高台に建つサザンクロスセンターからおよそ2キロメートル下った南の沿岸部に位置しています。
沿岸部といっても、ビーチではなく切り立った断崖絶壁。長い年月をかけて波風に穿たれた横穴の海蝕洞窟です。
洞窟内部はホールのように広く、当時は何百人もの人数を収容できたとか。
かつてこの洞窟で島中の若い独身男女が三線・太鼓を持ち寄って、3日間飲めや歌えや踊り明かし、青春を謳歌した場所とは思えないほど、現在は波音と静寂に包まれていました。
洞窟からの眺望はこのとおり絶景!サンセットはまた格別といわれています。
崖下を不意にのぞきこむと2階建てほどの高さがあり、足がすくむ場面も。くれぐれもご注意ください。
崖下の岩場にはたくさんの大きな蟹がはり付いていました。人の気配に敏感なので、サーッと逃げられないように観察しましょう。
ハミゴーへの行き方
それでは、いよいよハミゴーへの行き方をご紹介します。
通常のガイドブックにはまず紹介されていないハミゴー。Google Mapにも登録されていないため、本記事末の詳細情報にあるマップを頼りに訪れてみてください。舗装された細い一本道を進むと、ガードレールに突き当たります。
行き止まりかな?と横を見ると、突き当りの左手ガードレールが壊れています。そこがまさしく入口です。
草木が鬱蒼と生い茂るジャングルのような森。
とはいえ、踏み跡もしっかりあって、まず迷うことはありません。入口から洞窟までの所要時間はわずか10分弱です。
ただし、足場は悪く、雨の後はぬかるんで特に滑りやすくなっているため、サンダルでの訪問は控えましょう。加えて、蚊が多いので虫除けは必須です。
斜面を下りきると、最後の難関である洞穴が立ちふさがります。
この穴がまた、とにかく狭くて小さい!人ひとりようやく入れるほどのサイズで、体格が大きめの方にはちょっと厳しいかもしれません。
また、一応ロープが張られていますが、穴の中は真っ暗。ヘッドライトやスマートフォンのライトを利用して足元を照らしつつ慎重に進みましょう。
無事に穴を通過できれば、そこはもうハミゴーの天然ホールです。
ハミゴーの周辺で見られる風景
明治時代に疫病の蔓延などで禁止されるまでは、風葬で弔う風習があった与論島。その名残がハミゴー周辺の岩窟にも見られます。
要するに、ハミゴーは若者たちの遊び場である一方、神聖な場でもあるということ。現地では祖先の霊を敬い、神様に敬意を払って楽しみましょう。
こちらは与論島に生息する「オカヤドカリ」。国の天然記念物にも指定された体長10センチメートルはあろう巨大ヤドカリで、草むらでゴソゴソよく動いています。
びっくりさせると頭を引っ込めてしまうので、見つけたらそっと眺めてみてくださいね。
魅力いっぱいの島、「与論島」へ
幻の砂浜「百合ヶ浜」だけではなく、島独自のユニークな文化、風景、そしてフレンドリーな島の人々に島ネコもたくさんお出迎え。
そんな魅力いっぱいの与論島、心を解きほぐす旅へ、ぜひ出かけてみませんか?
・名称:ハミゴー
・住所:鹿児島県大島郡与論町麦屋
・地図:
・アクセス:与論港から車で13分。与論島の観光案内所のある茶花海岸からは車で11分。
All photos by かわいまゆみ