沖縄県最北端に位置する伊平屋島(いへやじま)と、そこから橋で渡ることができる野甫島(のほじま)は、「伊平屋・野甫ブルー」と呼ばれる美しい海が広がる離島です。
ビーチから泳いですぐにサンゴ礁が連なる姿が見られるなど、じつはほかの離島が羨むほどの隠れた「サンゴの楽園」でもあります。
沖縄生まれ・沖縄育ちの私・MANARiNも、その美しい自然に心を奪われたひとり。伊平屋島・野甫島には何回も通っていますが、そのたびに、あまりの美しい自然を前にすると、「この美しい島のためにできることは何だろう?」と考えてしまいます。
「私の癒しの場所が、いつまでも癒しの場所であるために」。そんなサステナブルな視点を織り交ぜつつ、島の魅力を紹介します。
伊平屋島&野甫島までのアクセス情報
まずは、伊平屋島までのアクセスについて。
伊平屋島までは、沖縄本島北部・今帰仁村(なきじんそん)にある運天(うんてん)港から、船でアクセスが可能です。
運天港へは、那覇空港から車で約2時間。1日2便の往復フェリーが運航しており、移動時間は約80分間です。
伊平屋島から野甫島へのアクセスは、野甫大橋を渡りましょう。島内での移動はレンタカーやレンタルバイクがおすすめです。
眺めて、触れて、波の音を聞いて。美しい海の魅力を体いっぱいに感じる
伊平屋島と野甫島の最大の魅力は、なんといっても美しい海。とくに、野甫大橋の上からの景色は私のお気に入りです。鮮やかなブルーの海を見るだけで心が浄化されるような、そんな癒しの効果があると思います。
海の美しさをたたえる野甫港の景色です。これまで数々の離島を旅してきましたが、漁港でこのレベルの海の美しさが見られるのは、ただただ驚き……!
野甫港からは、先ほど渡ってきた野甫大橋が一望できます。心地よい海風を感じながら、心行くまで景色に癒されましょう。
海の底が見えるほどのクリアな海なので、運が良ければ泳いでいるウミガメの姿も見られます。取材当日は、砂地で藻を食べているウミガメを見ることができました。
泳ぐだけでサンゴ礁の群生に出会える島。ぜひ泳いで
伊平屋島と野甫島の海は、眺めるだけではもったいない!ぜひ海に入ってほしいです。
ほかの離島では、シュノーケルやダイビングをするためには、まずは船でポイントまで移動して、そこからスタートする流れが主流です。が、伊平屋島と野甫島ではビーチから泳ぐだけで、美しいサンゴ礁の群生に出会えます。
スキンダイビングで海の中に潜ることで、サンゴ礁やそこに息づくたくさんの生き物たちの姿をより近くで見ることができます。また、海に潜ると「パチッ、パチッ」と音が。これはサンゴが呼吸をしている音で、サンゴ自体が元気な証拠です。
那覇からアクセスできる慶良間(けらま)諸島などの有名スポットとは違い、あまり人が訪れない島だからこそ、美しいサンゴが数多く残っています。
とはいえ、マスツーリズム(個人旅行の一般化)の普及により、伊平屋島と野甫島にも以前より多くの観光客が訪れるようになりました。また近年は、InstagramなどのSNSを通じて、伊平屋島と野甫島の存在を知り、シュノーケルやスキンダイビングをする人も増えました。
観光客が増え、経済効果がある一方で、ビーチからすぐ近くのサンゴ礁は、人間に踏み荒らされてしまうなどの理由によって、その数を減らしています。
また、今回シュノーケルをして気付きましたが、伊平屋島・野甫島でもサンゴ礁の白化が目立つようになりました。白くなったサンゴは、栄養を受け取ることができなくなり、死滅してしまいます。この原因は、温暖化等による海水温の上昇と考えられています。
私たちができることは、たとえば……。海に入るときは、環境にやさしい日焼け止めを使用する。サンゴ礁近くで遊泳する際は、立ち泳ぎしない、サンゴを踏まないなどの、サンゴが傷つかない行動を意識するなど。こういったことに気を付けるだけでも、この美しい海をすこしでも守ることができます。
また、ペットボトルを使わずにマイボトルを使うなど、簡単なことからでもいいので、普段の生活で自然に配慮した小さな活動を続けることも大事なこと。伊平屋島と野甫島は、その美しさゆえ、美しさを守るための行動にも、意識的になれる場所です。
・場所:「いへや愛ランドよねざき」近く、西側の海にて
海以外にも、おすすめの観光スポットがたくさんある島
「伊平屋・野甫ブルー」には特別な美しさがありますが、伊平屋島には海以外にも、魅力あるスポットがいくつもあります。
たとえば、国の特別天然記念物に指定されている「念頭平松」もそのひとつ。樹齢およそ300年以上といわれ、そのスケールの大きさを感じることができます。
念頭平松の近くにある東屋には、島と松の歩みや歴史を写真で振り返ることができます。当時の島の状況や雰囲気が写真で学べるスポットです。
島の最北端・クバ山近くにある「クマヤ洞窟」は、天の岩戸伝説が残る神秘的な場所。入口は岩で塞がれたように狭くなっていますが、そこを抜けると開けた空間があり、岩の狭間から漏れる陽の光によって幻想的な景色が広がります。
・名称:念頭平松
・住所:沖縄県島尻郡伊平屋村田名
・名称:クマヤ洞窟
・住所:沖縄県島尻郡伊平屋村田名、クバ山近く
伊平屋島は、じつは沖縄では珍しい「米どころ」
じつは、伊平屋島は沖縄では珍しい稲作が盛んな地域。「腰岳展望台」からは、伊平屋島最古の「田名(だな)集落」や「前泊(まえどまり)集落」の田んぼの風景を一望できます。
景観が美しい時期は、稲刈り時期の7月と11月末ごろ。沖縄は、なんと年に2回お米が収穫できるのです。取材時は10月だったので、ちょうど二期作目の稲を見ることができました。
伊平屋島産のお米「ちゅらひかり」はお土産に購入するのもいいですね。沖縄の地酒・泡盛の原材料となるタイ米(長粒米)も栽培し、沖縄県産のタイ米(長粒米)を100%使用した泡盛作りにも挑戦しているそうです。
なお、伊平屋島産のお米は、島内の飲食店でも使用されています。今回宿泊した「ホテルにしえ」の朝食では、令和4年度の新米をいただくことができました。お米はツヤツヤでふっくら。ほかほかご飯を頬張るとお米の甘味を口いっぱいに感じることができ、朝からとても幸せな気持ちになります。島の恵みに感謝です。
島の素材で「サステナブル」なお土産作り体験
伊平屋島の民具作りのアトリエ「種水土花(しゅみどか)」では、伊平屋島内に生えている「クバ」や「アダン」、「月桃」などの植物の葉っぱを使用したクラフト体験が楽しめます。
今回は、クバと月桃の縄で作る「貝殻 or シーグラスのガーランドづくり」を体験することに。数ある貝殻やシーグラスの中から自分の好きなものを選び、編んでいきます。貝殻やシーグラスは、島内のビーチで拾ったものを使っているそうです。
ある程度、形が出来上がっている状態から編んでいくため、所要時間は30分ほど。子どもから大人まで気軽に楽しめます。
種水土花の代表・是枝麻紗美さんと楽しくお喋りをしながら
是枝さんは、東京でスタイリストとして働いていましたが、7年以上前に伊平屋島に移住し、クバやアダンなどで民具作りを始めたそう。誰に教わるでもなく、伝統的なクバ籠を解体して一から作り直すなど、独学で作り方を学んでいきました。
人工的な素材を一切使用せず、すべて島の素材だけで作り上げる作品に「サステナブルですね」と話すと、「その言葉はあとから来たもの。私や先人たちは昔から当たり前のようにやってきたことで、サステナブルとはあまり感じていません。時代がやっと追いついてきたのかな」と誇らしげに語ってくれたのが印象的でした。
体験後、私だけのガーランドが完成しました。編み込みの作業自体は簡単でしたが、貝殻やシーグラス、クバの色から月桃の縄の長さなどのディテールまでこだわって選べるのが醍醐味です。そして何より可愛い!
可愛らしい島唐辛子を発見。種水土花では、この唐辛子を使った一味唐辛子のお土産も販売しています。
その名も「てるしの一味」。知る人ぞ知る、島の大人気商品です。すべての工程を手作りで行うため、販売数は限られますが、一度販売をするとすぐに完売するほどの人気ぶり。1人で数十個を購入する強者もいるのだとか。島のホットなお土産です。
伊平屋・野甫ブルーに会いに行こう
旅には人生の学びが詰まっていますが、サステナブルな視点を意識して旅をすると、より多くの学びが得られます。今回の離島巡りの旅でも、多くの気付きがありました。また一回り大きく、そして島と自然にやさしくなれた気分です。旅先での体験で満足するだけでなくテーマを持つことで、新しい目線や気付きを持つのもいいですよね。
All Photo By Inoue Kou
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