「魔法を使ってつくられた宮殿」グラナダのアルハンブラ
約800年間イスラム王朝が治めてきた、スペイン南部のアンダルシア地方。特にグラナダは、スペイン最後のイスラム王朝「ナスル朝」の首都として栄えたため、今でもイスラムの影響が色濃く残る街です。
1984年に「グラナダのアルハンブラ、ヘネラリーフェ、アルバイシン地区」として、世界遺産にも登録されました。
中でも「アルハンブラ宮殿」はイスラム建築の最高峰として知られ、イスラム建築好きの私のバケットリストにも長い間入っていた場所です。
とても広い敷地内ですが、なんといっても見どころは「ナスル朝宮殿」。
この柱廊が立ち並ぶ、息を呑むほど美しい光景は、見たことがある方も多いでしょう。
これが見られるのもここナスル朝宮殿です。「ここを見られただけでも来た甲斐があった!」と大感動したのを覚えています。
いたるところにこれでもか!と細かい細工、装飾が施されていて、「本当にすごい」のひと言。
「王様は魔法を使って宮殿を完成させたんだ!」と、当時の人々を感嘆させたという伝説も残っているというのも納得の美しさなのでした。
ちなみに、アルハンブラ宮殿内にあるホテル滞在できるのはご存じでしょうか?
15世紀に建てられた修道院跡を利用した「パラドール・デ・グラナダ」という名門ホテルが、なんと敷地内にあるのです。宿泊者しか入れないエリアもあるので、のんびりと散策しながら当時の王族気分を味わってみるものいいですね。
・名称:アルハンブラ(Alhambra)
・住所:C. Real de la Alhambra, s/n, Centro, 18009 Granada, Spanien
・地図:
・アクセス:グラナダ中心部から徒歩20分。またはグラナダ中心部のイサベル・ラ・カトリカ広場前から、C30番かC32番のアルハンブラバス乗車
・営業時間:8:30~20:00
・料金:19ユーロ~(訪問箇所、時間帯によって異なる)
・公式サイトURL:https://www.alhambra-patronato.es/en
世界で3番目に大きい大聖堂「セビリア大聖堂」
バチカンのサンピエトロ大聖堂、ロンドンのセントポール大聖堂に次ぐ大きさの「セビリア大聖堂(セビーリャ、セヴィージャという表記もあり)」。1987年「セビリアの大聖堂、アルカサルとインディアス古文書館」として世界遺産に登録されました。
個人的にセビリアはスペインで一番好きな街なので、スペイン旅行をお考えの方にはとにもかくにもセビリアを心から推したいです。
そしてこの大聖堂は、まさにそんなセビリアの中心地にあります。もともとイスラム教のモスク跡だったため、いくつかイスラム建築の名残が見られるのもおもしろい。
街のシンボルでもある「ヒラルダの塔」もモスクのミナレットを再利用しています。よく見るとアラベスク模様が残っているんですよ。
イスラム建築の特徴である中庭には、オレンジの木がたくさん植えられていて、とってもいい香りがしていました。
ここから上に眺める大聖堂とヒラルダの塔が、個人的に大好きな風景です。
ちなみに内部には、クリストファー・コロンブスのお墓も。
また聖書の場面を1000体以上もの彫刻で表現したゴールドに輝く祭壇があるなど、内部にもみどころがたくさんあります。ぜひ時間をとってのんびり見物してみてくださいね。
・名称:セビリア大聖堂(Catedral de Sevilla)
・住所:Av. de la Constitución, s/n, Casco Antiguo, 41004 Sevilla, Spanien
・地図:
・営業時間:月~土曜は10:45~17:00、日曜は14:30~18:30
・料金:大人12ユーロ~
・公式サイトURL:https://catedraldesevilla.entradasdemuseos.com/
ロマンティックな古都トレド
1986年世界遺産に登録された「古都トレド」。スペインの首都マドリードから電車で30分とアクセス抜群で、日帰り旅にもぴったりのロケーションです。
「もし、1日しかスペインにいられないのなら、迷わずトレドへ行け」という格言のあるトレド。
まるで中世にタイムスリップしたかのような、ロマンティックな街並みが本当に素敵です。
どの路地も、小道も、絵葉書のような美しさ。こういう街は、行き先を決めずにブラブラ散策するのが一番。自分だけのとっておきの風景を探してみてくださいね。
時間に余裕がある方は、少し足を延ばして街全体を見渡せるビューポイントまで行きましょう♪
「ミラドール・デル・バジェ展望台」からの景色は、本当にため息もの。トレドは、「大都市よりも、ヨーロッパのかわいくて古い街並みが好き」という方に、心からおすすめしたい街なのです。
コルドバ歴史地区
スペイン南部アンダルシア地方にあるコルドバ。シマシマ模様のアーチが有名な「メスキータ」や、真っ白な壁とカラフルな花のコントラストが美しいユダヤ人街など、見どころがギュッと詰まった街です。
イスラム教・キリスト教・ユダヤ教それぞれの影響がミックスされた街並みは、1984年に「コルドバ歴史地区」として世界遺産に登録されました。
まずはこちらの「メスキータ」。スペイン語で「モスク」という意味ですが、れっきとしたキリスト教の大聖堂です。
長い歴史の中で、イスラム・キリスト教勢力の支配図が何度も変わったコルドバらしい、いわば“歴史の証人”なのです。
足を踏み入れた瞬間、目に飛び込んでくるのがこの「円柱の森」。1300本もの柱が365個のアーチを支えている姿は、まさに圧巻!
中を歩いて行くほどに、イスラム教とキリスト教の建築が見事に融合されていることに気づきます。
長い年月が流れた今も、このように2つの文化・宗教が融合された姿が残っていること。そしてそれが世界遺産として後世に残されていくことに、感銘を受けるのです。
・名称:メスキータ(Mezquita-Catedral de Córdoba)
・住所:C. Cardenal Herrero, 1, Centro, 14003 Córdoba, Spanien
・地図:
・アクセス:コルドバ駅前「RENFE-Est.Buses OESTE」から路線バス3番に乗車し、「San Fernando」駅下車。そこから徒歩10分ほど
・営業時間:10:00~18:00
・電話番号:+34957470512
・料金:大人13ユーロ
・公式サイトURL:https://mezquita-catedraldecordoba.es/en/
コルドバ歴史地区には、ユダヤ人街があります。中でも有名なのが「花の小怪」という路地。
真っ白な壁がカラフルな花の植木鉢で飾られていて、小さいエリアながらずっと滞在したくなるような雰囲気でした。
コルドバでは毎年5月にパティオ祭りなるものが開催され、家々のパティオの美しさを競うコンテストが行われるそう。
この時期はたくさんの家のパティオが一般に開放され、タパスがサービスされたり、フラメンコショーが行われたり。ぜひコルドバにはこの時期に訪れてみたいものですね。
世界遺産から歴史とカルチャーを感じよう
さまざまな基準をクリアして登録された世界遺産の数々。その地域の歴史やカルチャーを肌で感じられるのも大きな魅力ですよね。
今度の休暇には、世界遺産を目的とした旅に出てみるのはいかがでしょうか。
All photos by Yu Villegas