ライター
土庄 雄平 山岳自転車旅ライター|フォトグラファー

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤めながら、自然や暮らしに一歩踏み込む、情報発信に精を出す。トラベルライターとして寄稿した記事は2,000記事以上。 山岳雑誌『山と渓谷』掲載多数、「夏のYAMAPフォトコンテスト2020」入賞、「Yahoo!ニュース ベストエキスパート2024」地域クリエイター部門グランプリ。山での活動をライフワークとし、学生来、日本全国への自転車旅を継続している。

白山|森林限界の紅葉と雪原の共演


福井県、石川県、岐阜県にまたがる霊峰「白山(標高2,702m)」。通常は福井側の別当出合から登るルートが人気ですが、紅葉の季節に特に人気があるマイナールートは岐阜側の「平瀬道(ひらせどう)」です。

筆者は毎年10月になると、その圧倒的な紅葉の美しさを求めて平瀬道を訪れていますが、2023年には特別な出来事がありました。紅葉が始まった初秋の時期に、初冠雪の瞬間に立ちあうことができたのです。


森林限界のハイマツ帯では、ナナカマドが赤く色づき始め、そのうえに雪が積もるだけでなく、霧氷まで形成されました。高山帯全体が霧氷の原っぱと化し、山における季節の逆転現象を目の当たりにしました。

秋と冬が同時に存在するこの特別な風景に感動し、刹那の野外ギャラリーのごとき登山道を進んだ経験は、忘れられない思い出となりました。

■詳細情報
・名称:白山
・住所:石川県白山市白峰
・地図:
・登山口までのアクセス:荘川ICから平瀬道登山口まで車約50分弱
・所要時間:往復約8時間〜9時間
・オススメの時期:10月上旬〜10月下旬
・YAMAP公式サイト:https://yamap.com/mountains/99

10月中旬:真紅に染まる独立峰を訪ねて


10月中旬を過ぎると、一気に山の紅葉が標高1,500mクラスまで降りてきます。登れる紅葉の名山の数もグッと増え束の間、秋登山のボーナスタイムを迎えます。本格的な山の紅葉は、11月1周目がラストです。

山の選定としては、ブナやミズナラの原生林をもつ山を選ぶと良いでしょう。高山帯とはまた違った、一面オレンジ色に包まれる絵画のような森の風景を楽しむことができます。


この時期になると、数日単位で紅葉最盛期から落葉となるので、どの山の紅葉が見頃なのか、あらかじめYAMAPのリアル紅葉モニターで確認してから登山計画を立てるのが毎年の恒例です。

ジャストタイミングになかなか立ち会えないからこそ、現地で一期一会の絶景に出会えた時の感動は大きいものです。

荒島岳|ブナの原生林が包む郷土峰


大野富士とも称される独立峰「荒島岳(あらしまだけ、標高1,523m)」。福井県で唯一、日本百名山に選ばれた名峰は、山頂から白山や北アルプスの山々、大野平野や日本海までを一望でき、多くの登山愛好家を魅了しています。

とくに人気なのは秋の紅葉の季節。山腹のブナ原生林がオレンジ色に染まり、心癒される山歩きが楽しめます。もちろん中腹の小荒島(こあらしま)の紅葉も見逃せません。


コース前半の見所はブナの原生林。森全体が一気に色づき、まるでオレンジ色のトンネルを歩いているような感動的な光景は忘れられない絶景です。落ち葉をサクサクと踏みしめる音や、森のなかを吹く優しい風も趣があります。

後半に現れる「もちが壁」を越えて、山頂まで至る稜線の終盤を迎えると、眼下の谷にまるで紅葉の屏風のような風景が展開。明暗も相まって、いっそう紅葉の鮮やかさに目を奪われ、大野平野のパノラマも見事です。

■詳細情報
・名称:荒島岳
・住所:福井県大野市仏原
・地図:
・登山口までのアクセス:勝原(かどはら)ICから勝原登山口まで車すぐ
・所要時間:往復約6時間〜7時間
・オススメの時期:10月上旬〜10月中旬
・YAMAP公式サイト:https://yamap.com/mountains/61

籾糠山|世界遺産の裏山の絶景フィールド


世界文化遺産として知られる五箇山の合掌造り集落の裏山に当たる場所で、筆舌に尽くし難いほど美しい紅葉登山を楽しめるのはご存知でしょうか?その山は「籾糠山(もみぬかやま、標高1,744m)」です。

岐阜県を代表する酷道(酷い状態の国道を揶揄したもの)である天生峠(あもうとうげ)から入山することができ、カツラ門や天生湿原といった紅葉の名所を育みます。


そんな籾糠山のなかでも随一と言っても良いのが、道中の紅葉の素晴らしさです。赤・オレンジ・黄色とさまざまな色彩が重なり、ひたすらに紅葉のトンネルを進む時間は非日常。圧倒されるような鮮やかな風景が続いていきます。

山頂にたどり着くと、そんな原生林の紅葉を見下ろすような大パノラマが展開!金剛堂山(こんごうどうさん、標高1,650m)など岐阜県と富山県の境界をなす山の姿も壮大です。

■詳細情報
・名称:籾糠山
・住所:岐阜県大野郡白川村荻町
・地図:
・登山口までのアクセス:白川郷ICから天生峠まで車約25分
・所要時間:往復約4時間〜5時間
・オススメの時期:10月中旬〜10月下旬
・YAMAP公式サイト:https://yamap.com/mountains/19471

一瞬の輝きを追いかける紅葉登山


毎年、一期一会の絶景に出会える秋の山々。その紅葉のピークはまさに一瞬の輝きです。その瞬間を逃さず楽しむために、タイムリーに登山計画を練ることが大事になってきます。

また、当日の天候を把握する能力も紅葉登山において欠かせません。この時期は秋雨のシーズンでもあり、同じエリアでも訪れるタイミングによって雲がかかる山とかからない山が異なります。登山の際の天気予報は、「てんくら(てんきとくらす)」が山ごとの詳細な天気予報を確認できるので非常に便利です。

きっと飽くなき冒険心を満たしてくれる大冒険が待っているので、ぜひこの秋、紅葉登山にチャレンジしてみてください。

All photos by Yuhei Tonosho

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土庄 雄平 山岳自転車旅ライター|フォトグラファー

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤めながら、自然や暮らしに一歩踏み込む、情報発信に精を出す。トラベルライターとして寄稿した記事は2,000記事以上。 山岳雑誌『山と渓谷』掲載多数、「夏のYAMAPフォトコンテスト2020」入賞、「Yahoo!ニュース ベストエキスパート2024」地域クリエイター部門グランプリ。山での活動をライフワークとし、学生来、日本全国への自転車旅を継続している。

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