こんにちは!
私は現在大学を休学して、専門である美術について学校の外で学ぼうと、修行中です。
私は小さいころからたくさんの家族旅行をしてきました。そんな私にとっては旅はもう生活の一部です。
旅のことを見つめなおす良い期間だと思い、TABIPPOの第二編集部“TABIPPO CARAVAN”に参加してみることにしました。
今回が初投稿!旅の哲学みたいなものが好きなので、気楽にアウトプットして楽しく書いていこうと思います。
直近では留学を終えるという大きなイベントがあったので、留学先だったオーストラリアでのことを執筆してみようと思います。
通りすがりの老夫婦がスケッチを褒めてくれた話
私は交換留学で、オーストラリアの大学に通って授業を受けていました。日本の大学では座学系の美術をやっていた分、留学先では違う角度から美術を学んでみたく、美術の作品制作を専攻しました。
じつは日本の一般的な総合大学では美術制作の学部や授業が少ないのです。そのためオーストラリアの留学先で美術制作を学べるのは私にとって貴重な経験であり、とても楽しい経験となりました。
授業が始まって間もない頃、木炭を使ったドローイングがありました。私は木炭を使ったドローイングの経験があまりなく、その扱いにかなり苦戦していました……。そこで描く数を増やそうと、近所の公園にスケッチをしに行きました。
木漏れ日がきれいな土曜日の昼に
興味ありげに私の手元を覗いていく人もちらほらいたりして、「彼らは何を思って見ているんだろうな~」とぼんやり考えながら制作を進めていました。
そのなかで、通りかかったある老夫婦が、声をかけてくれたのです。
「この景色を描こうと思ったんだね!素敵だよ。彼(夫)がとてもこの絵を気に入ったみたいなのよ。」
という言葉をおそらくかけてくれました。全てを聞き取ることができず、突然のことに驚いたのもあり、言えたのは「ありがとう」だけでした。
しばらく笑顔で話しかけてくれた後、彼らは去っていきました。
老夫婦からかけてもらったこの言葉は、意味や解釈を加えず、そのままの状態で覚えておくように意識している記憶の一つです。このときの気持ちを思い出すと、いつでも感謝の念がふわりと浮かびます。
「それいいね」と素直に伝えてくれることの温かさ。
目の前で応援の言葉をもらえることの感動。
何よりありがたかったのが「自分が居たいと思った場所で自分の好きなことをしていいんだ」という感覚を得られたことでした。
そのときに描いていた木炭スケッチ
誰かに話して「その出来事って〇〇だね」という言葉を聞くのは違うし、「素敵な出来事」として簡単にファイリングするのも怖いなと思うほどに、私にとっては心に残った出来事でした。
当時、私はこれから先も美術に真剣に関わると決めていいものかと悩んでいたので、老夫婦からの言葉は文字通り「ありがたい」ことでした。
旅をしていると、このまま自分のなかに大切にアーカイブしておきたいようなことに結構出会うなと、私は感じています。
そういうものに落ち着いて向き合うためにも、旅先ではロングステイしたい派です。