ライター

早稲田大学院中退後、2017年にカメラに出逢い、2020年より東京を拠点に写真家、ライターとして活動中。 メーカータイアップ、企業案件や広告撮影、雑誌への寄稿・記事の執筆等、活動の幅を広げる。 月の半分ほど国内を中心に旅をしている旅好き。初の著書を2022年3月「日常のフォトグラフィ」(玄光社)に出版。

星空保護区が連携した日本初の試みとなる「同時星空鑑賞イベント」が2024年9月3日(火)に開催され、神津島のイベントに参加してきました。

今回の「同時星空鑑賞イベント」は東京都神津島村と株式会社テレビ朝日が東京宝島 サステナブル・アイランド創造事業のもと構築した、全国の星空好きと繋がる共創型「星空ツナガルコミュニティ」のリアルイベント第一弾として開催されました。

本記事では日本初開催の「同時星空鑑賞イベント」の様子についてご紹介します。

日本の星空保護区3か所で同時開催「同時星空鑑賞イベント」

まず、星空保護区とは、光害の影響のない、暗く美しい夜空を保護・保存するための優れた取り組みを称える国際認定制度です。(国際ダークスカイ協会 2001年より発足)

現在日本で星空保護区として認定されているのは4か所のみで、今回そのうちの3か所である東京都神津島村、岡山県井原市、福井県大野市が初めて連携し「同時星空観賞イベント」を開催しました。

同時開催とはいえど、イベントの内容は各場所によって少しずつ異なります。東京都神津島ではプラネタリウムの体験、岡山県井原市では天文台での星空鑑賞、福井県大野市では星空保護区1周年記念イベントなどが行われました。

「遠く離れた場所にいる方々と同じ時間に、美しい星空を眺めることができたらどれほど素敵な時間を過ごせるのだろうか」

そんな想いのもとに「星空ツナガルコミュニティ」のリアルイベントとして開催された本イベントでは「星空ツナガルコミュニティ」公式Xのスペース機能を使用し、3か所から音声で中継するリアルタイムで配信を行いました。

「そちらの星空はどうですか」などお互いにどんな星空が見えているのかを話すなど、離れた場所にいるコミュニティメンバーや星空保護区同士で交流が生まれました。

そんな「同時星空鑑賞イベント」の各地域の様子についてご紹介します。

東京都神津島村|満天の星空を楽しむプラネタリウム&星空鑑賞会

神津島 プラネタリウム
神津島では星空観賞会に加えて、プラネタリウム・クリエイターの大平貴之さんをお招きし、一夜限りのプラネタリウム体験&トークショーが開催されました。

イベント当日は平日にも関わらず、島民の方々を中心に島内・島外から約50名の方が参加し、会場は早々と満員になったため急遽席を増席。

参加者の年齢層はご家族と一緒に来た小学生のお子様から20代の友人同士、30代〜60代の方々と幅広く、なかには旅行中で島外からおひとりでご参加の方もいらっしゃいました。

神津島 大平さんイベント
常日頃から、満天の星空を観ているはずの島民の方々でも大平さんの星空やプラネタリウムのお話には興味津々。皆さん熱心に大平さんのお話を聞いていました。

神津島 大平さん大平さんによる星やプラネタリウムの解説。島の小学生たちが最前列でリラックスした様子で聞いています。
神津島 大平さんイベント
大平さんのトークショーには神津島の前田 弘村長も参加し、大平さんに質問していらっしゃいました。また、前田村長ご自身の神津島の星空に対する熱い気持ちをお聞きすることができました。

大平さんに質問する前田村長
大平さんの解説後は別部屋に移動し、プラネタリウムの世界へ。

スイッチが入った瞬間に満点の星空が室内一面に広がり、「わーっ!」という歓声が一斉に上がりました。

神津島 プラネタリウム参加者の方々の頭上に広がる美しい世界、まるで宇宙にいるような感覚になりました。
最初は賑やかな雰囲気で「こんなに綺麗なの!」「凄い!」と声が上がっていましたが、徐々にその美しい星空の世界に浸り始め、やがて各々静かに星空を堪能していました。

神津島 プラネタリウムプラネタリウムを調整する大平さん。美しい世界が広がっています。
実際の夜空と同じように少しずつ星空が変わる様子も投影されました。流れるような星の数々に参加者の皆さんは大興奮でした。


違う星が現れると大平さんに「あの星はなんですか?」と興味津々に質問する参加者の方々。大平さんの解説に熱心に耳を傾け、気になることを質問する姿が印象的でした。

雨の中、雲の合間から天の川を鑑賞

神津島 星空
この日、神津島の日中の天気はあいにくの雨。しかしプラネタリウムを鑑賞している間に晴れ間が奇跡的に見え始め、もしかしたら綺麗な星空が見えるかもしれないと参加者の皆さんと屋上へ移動しました。

遠くで雷が光ったり、雨がポツポツと降っており、完全に雲が晴れることはなかったのですが、時折、雲の間から星を見ることができました。そして運良く天の川も!

大平さんいわく「雨が降っているのに天の川が観察できるのは珍しい日」とのこと。光害の少ない星空保護区の神津島という場所かつ運が味方をしてくれたからこその光景でした。

この日は雲の流れがとても早く、時間帯によって雲の隙間から見える星たちが変わり、見える星が変わるたびに「あの星はなんでしょうか」「はくちょう座が見えました」などといった声が上がりました。星空の下で自然に会話が生まれ、参加者同士で交流を楽しんでいる姿が印象的でした。

ちなみに、イベント当日はあいにくの天気でしたが、晴れた日の神津島村で見る天の川はとても美しいです。日本が誇る美しい満天の星空をいつかこの目で見てみたいと思いました。

神津島 星空晴れた日の神津島の星空。満天の星と天の川が綺麗に見える
photo by 神津島観光協会

「同時星空鑑賞イベント」参加者の声

「プラネタリウムを体験するのは初めてでしたが、想像以上の美しさでした」

「雨の日なのに天の川が観賞できるという珍しい体験が心に残りました」

「みんなで星空を観て、良い時間を過ごせました」

「大平さんの解説のおかげで星空をより楽しめました」

などさまざまな声を聞くことができました。

岡山県井原市|天の川チャレンジ!美星天文台で星空を楽しむ

美星天文台photo by美星天文台

神津島観光協会photo by 星空ツナガルコミュニティ
岡山県井原市では美星天文台にてイベントが開催され、10〜20代の学生や社会人、30代〜40代のご家族とそのお子さん、50代〜60代の方々と幅広い年齢層の約70名の方が参加しました。

天文台の観測員の方々による望遠鏡や双眼鏡の使い方の解説に始まり、実際に天の川の観察や撮影などが行われました。普段なかなか触れることのできない望遠鏡や双眼鏡を覗いて星を見ようとたくさんの方がお越しくださりました。

観測員の方々による丁寧な解説のおかげで小さなお子さんも楽しそうに星を観察していて、「見えた!」と声が聞こえた時に観測員の方から笑みが溢れていました。

美星天文台お子さんも含めて多くの方が参加
photo by 星空ツナガルコミュニティ

イベント開始当初は空に雲がかかっていたのですが、参加者の皆さんが諦めずに祈るように空を見上げていたら徐々に雲が晴れ、綺麗な天の川を観ることができました。

美星天文台天の川がモニターで映し出された様子
photo by 星空ツナガルコミュニティ

満点の星空の下「星を見ることができて良かったね」など参加者同士で自然と会話が生まれ、星空観賞を楽しんでいました。

101cm望遠鏡で土星や金星などを観察

美星天文台photo by 星空ツナガルコミュニティ
イベントの開催場所が美星天文台ということもあり、観測員の方々の協力のもと、101cmの望遠鏡で土星や金星を観測することができました。

巨大な望遠鏡を前に、またもや参加者のみなさんは興奮気味。望遠鏡を通じ、肉眼で見ることのできない星の美しさに参加者の方々からは思わず溜め息が。

土星こんな感じで土星が見えます、輪までくっきり
とphoto by美星天文台

その後は4名の観測員の方による星空ガイドも実施され、星空の下、参加者の皆さん同士で和気あいあいと過ごしていました。

普段から美星天文台を利用している方だけでなく、星空を観るために初めて美星天文台へ足を運んだという方も多かったようで、「貴重な体験ができました」「楽しかった」と振り返る参加者の皆さんの姿が印象的でした。

「同時星空鑑賞イベント」参加者の声

美星天文台photo by 星空ツナガルコミュニティ

「地元の星空がこんなに綺麗だったなんて知らなかった」

「家族で星空を見上げるのも良いですね」

「肉眼で天の川を初めて観た」

「土星や金星を観る貴重な体験ができました」

などイベントに参加した方々からさまざまな感想を聞くことができました。

福井県大野市|星空保護区認定1周年を祝う星空観望会

福井県 大野市photo by 星空ツナガルコミュニティ
福井県大野市の南六呂師(みなみろくろし)が星空保護区に認定されてから約1年。

1周年を祝う今回のイベントでは大野市長(石山志保市長)をはじめ、多くの来賓の方に加え、20代の友人同士、30代から60代のご家族やご夫婦、40代から60代の天文クラブの方々など約50名が参加しました。

星空観望会では夏の大三角形や北斗七星などを観察

福井県 大野市photo by 星空ツナガルコミュニティ
星空観望会では天文クラブの方々が用意してくださった望遠鏡や双眼鏡で夏の大三角形や北斗七星、土星や金星を観察しました。

望遠鏡越しの肉眼とは違った星の見え方に「おー!」と思わず声が漏れる方や美しい星の数々を静かに眺める方など参加者の方々がそれぞれの楽しみ方で星を観賞している様子が印象的でした。

その後は「星のソムリエ」である星空案内人の阪谷小学校教諭の岡野先生の解説を聞きながら、ゆっくりと星空を観賞しました。

岡野先生の解説に耳を傾け「あの星は何ですか」などの質問から参加者同士の会話が始まり、交流を深めていました。同じ星空を見上げながら、初対面同士の参加者の方々が楽しそうに会話する姿が素敵でした。

星空保護区1周年記念イベント、街全体での星空の保護活動

星空ツナガルコミュニティphoto by 星空ツナガルコミュニティ
福井県 大野市星空保護区1周年記念イベント 石山市長のご挨拶
photo by 星空ツナガルコミュニティ

大野市南六呂師エリアが星空保護区に認定されて約1年。星空保護区としての環境を守るためには屋外照明に関する厳格な基準を遵守し、実際に保護区に暮らす地域住民の皆さんと一丸になって光害対策に取り組み続ける必要があります。

イベントでは、大野市の石山志保市長から地域の皆さんに日頃の光害対策への協力に対する御礼や綺麗な星空を守るために大野市がこれまで行ってきた活動、今後の取り組みについてのお話がありました。

福井工業大学の中条教授からは星空保護区認定後の光害対策が綺麗な夜空の維持にどう効果的であったかなどのお話を聴くことができました。

大野市がこれからも地域の皆さんと協力して、綺麗な星空を未来に向けて守っていこうという想いが伝わるイベントでした。

「同時星空鑑賞イベント」参加者の声

「地元が星空保護区であることは知っていたけど、実際にちゃんと星を観察するのは初めてだった」

「みんなで星空を見上げることができ、良い時間を過ごせました」

「夏の大三角形や北斗七星が綺麗に見えました」

「解説付きの天体観測は贅沢な時間だった」

などさまざまな声が聞けました。

全国の星好きが集まる「星空ツナガルコミュニティ」

photo by 星空ツナガルコミュニティ
最後に「星空ツナガルコミュニティ」についてご紹介します。

「星空ツナガルコミュニティ」は全国の星好きと繋がることができる共創型コミュニティです。

星空が好きな人たちが集まり、やってみたい「何か」を仲間とともに作ってみる、実現させることを目的とし、「サステナブル・持続可能に続く」ことを目指すコミュニティです。

現在コミュニティメンバーを募集中の「星空ツナガルコミュニティ」。デジタル上だけの交流にとどまらず、地方も含めリアルイベントなども企画・開催予定だそう。

星空が好きで「何か」やってみたいことがある人はぜひ「星空ツナガルコミュニティ」のサイトを覗いてみてください。

星空ツナガルコミュニティ公式HP

星空ツナガルコミュニティに参加する

■イベント詳細情報
・名称:「日本初!星空保護区3か所での同時星空鑑賞会」
・開催日時:2024年9月3日(火)18:30〜20:0
・開催場所:
①東京都神津島村 いきがい健康センター(〒100-0601 東京都神津島村 903)
②岡山県井原市 美星天文台(〒714-1411 岡山県井原市美星町大倉1723-70)
③福井県大野市 ーミルク工房奥越前ー六呂師高原の時計台(福井県大野市南六呂師169)
・運営:星空ツナガルコミュニティ

Thumbnail by Shigeki Naganuma

神津島村取材・写真:相沢亮

井原市、大野市取材:星空ツナガルコミュニティ

ライター

早稲田大学院中退後、2017年にカメラに出逢い、2020年より東京を拠点に写真家、ライターとして活動中。 メーカータイアップ、企業案件や広告撮影、雑誌への寄稿・記事の執筆等、活動の幅を広げる。 月の半分ほど国内を中心に旅をしている旅好き。初の著書を2022年3月「日常のフォトグラフィ」(玄光社)に出版。

RELATED

関連記事