TABIPPO社員
池田 竜旺 社員 / セールスディレクター

1997年、和歌山県生まれ。20歳の時に旅にハマり、海外や地方で感じた差別格差の問題に興味を持つ。学生時代は地域とのつながりをテーマに全国でのイベント開催や本の出版、トークイベントのゲストなどを行う。現在は株式会社TABIPPOでセールスディレクターを担当。ビール、BBQ、星空が好き。

みなさんこんにちは、TABIPPOの竜旺です!

学生時代、世界一周の資金を貯めるべく最短日数で稼げる方法を調べるなかで「富士山での山小屋バイト」の存在を知り、それから7年間、富士登山ができる夏の間だけ勤務していました。

真ん中の赤い服が、僕いつかは登ってみたい。と思いながらも、準備の億劫さや危険度、そして手軽に登れないのではないか……などと友人たちからも実際に相談や質問をいただくなかで、案外僕の経験は役に立つのではないか?と思い、記事にしてみることにしました。

みなさんの「いつかは富士登山」の夢を少しでもあと押しできればと思い、基本的な情報から登る際の注意点など、あくまで”僕なり”にお伝えできればと考えております。

ぜひ登山の際にはお読みくださいね!

富士山ってどんなところ?

富士山の標高は3,776m。山梨県と静岡県のはざまに位置していて、じつは活火山のひとつでもあります。

そんな富士山の麓に暮らす人々は「富士山にかかる雲の形」で天気や気温をある程度予測する……なんてことができるくらい、地元の方々にとっては重要な存在のひとつ。

「山頂を覆う笠雲の、ひとつ笠は雨の兆し」「頂の上空にある、はなれ笠は日和の兆し」など、富士山山麓には、富士山と雲に関係したことわざも多いんです。

その壮大さと頻繁に繰り返された荒々しい噴火によって、古来より人々の畏敬を集め「信仰の対象」とされる富士山ですが、じつは新宿から富士山の麓に位置する駅まではバスでおよそ2.5時間で着いてしまう身近なスポット。

富士山に存在する全4つの登山道のうち、もっとも登山客が多く、一般的なルートとして知られている「吉田ルート」へもこちらの駅前にあるバス停から向かうことができます。

さらに7月〜9月の決まったシーズンになると、新宿〜富士山の5合目(ちょうど中間地点くらいの高さ)までの直通バスも運行されており、8月のお盆シーズンには5合目の休憩所にはサンダルに半袖短パン、なんて格好の観光客もたくさん訪れるようになるんです。

しかしじつは、この軽装登山が近年、問題にもなりつつあります。実際に富士山の山小屋で勤務経験のある僕が思う、必要な準備を以下で紹介していきますね。

富士登山の際に必要な準備

日本一の山、富士山。昨今では毎年15〜20万人程度がシーズン中の2ヶ月間には登るのですが、初心者の方の富士登山成功率は50%とも言われており、2人に1人は登れなかった計算になります。

とはいえ、それ相応の準備さえ行うことができれば登山成功の確率をグンと高めることができることも事実。

そんな、登山するうえでの準備について、実際に登山を想定しながらご紹介させていただければと思います。

登山前に準備しておきたいもの・こと

富士山の最大の特徴として、登山といいながらも多くの登山者たちによって整備されてきた平坦な道がほとんど、ということがあります。

岩場も道中にはもちろん存在しますが、手を使わなければ……となるほどのものはほとんどないなと感じます。

・防寒着兼用の雨具:富士登山において体温調節は命取り。比較的着脱しやすいようにジップ式のものをおすすめしています。防寒着や着替えは想定の+1日分は最低でも余分に持っておくと良いです。

・ライト:山頂でご来光を拝むには、どうしても夜間の登山が必要になります。そういった時に備えてライトは必須になります。

・山小屋の予約:詳しくは後ほどお伝えしますが、登山の際にはぜひ山小屋の予約をお願いします。

登山前に必要になる準備は以上です!

これだけ?ってなる方もいるかと思いますが、個人的にはこれで十分だなと感じます。

富士登山に向けてステッキや登山靴などを買い揃える方もいるんですが、それなら履き慣れた靴で登っていただく方が断然安心かなと思います。

登山時に準備しておきたいもの

登山前の準備が終わればいよいよ登山スタート!バスでも登ってこれた5合目とは違って、ここからはいよいよ登山スタートになります。

5合目〜6合目まではゆるやかな道が、6合目からはつづら折りのクネクネとした道が続きます。7合目からはようやく岩場が顔を出すのですが、それまでは砂利ばかり。

足を取られないように、落石には十分に注意して、ゆっくりと歩みを進めます。

登山時に必要になってくるものは基本的には下記2点。

・小銭:富士山の道中に点在するトイレを利用する際に必要になります。100円玉で1000円分ほど準備しておけばいざという時に便利ですよ。

・飲み物&軽食:言わずもがなですが、富士山での価格設定はどうしても少しだけ高めです。山小屋プライスだと思っていただきたいのですが、事前に飲み物などは多めに準備していただくのがいいかなと思います。

登る前にやはりどうしても聞かれるのは、高山病などについて。

こればかりは対策が限られていて、どうしても「なりやすい人」は存在します。

しかし、5合目あたりで高地順応のための1時間の休憩や、こまめな水分補給、友人との会話など意識するだけで高山病のリスクを抑えられることも事実です。

きっとかけがえのない経験になるはず。最高の景色を堪能しながら、ゆっくりと登って行ってくださいね。

その他、あると便利なもの

・軍手や手袋:登山中の怪我防止、頂上では防寒にとあれば大活躍間違いなしのひとつ。使い捨ての軍手で問題ないので必要な方は持っておくといいでしょう。

・ウェットティッシュ:水道のない山のうえでは水は大変貴重です、水がなくて……なんてことにならないように携帯用のウェットティッシュがあれば便利です。

・耳栓:山小屋に宿泊した際にあるのが「周りがうるさくて寝れない」といった意見。100円ショップのもので十分なので用意しておくのがおすすめです。

※持ち物やマナーなど登山前に必要な詳細情報は公式ページよりご確認ください

僕が思う、富士山の魅力

大学時代に富士山に初めて登って、それから夏のシーズンだけ山小屋で働くようになって7年。

なんだかんだと時間が過ぎてきてしまいましたが、それだけ働いていたことでしか気づけなかった魅力が富士山にはとても多くありました。

そんな富士山の魅力について3つご紹介したいと思います!

富士山の醍醐味とは?

富士山の登山ルートは4つ存在していて、それぞれ富士宮、御殿場、須走、吉田と名前がついています。

今回ご紹介したのはもっとも一般的な吉田ルートのみでしたが、その他にもそれぞれのルートごとに登山口が異なり、自分の体力や見たい景色などによって選択できます。

登山にかかる所要時間の目安は、おおよそ5時間〜7時間30分程度。ぜひ一度検討してみてくださいね。

そのほかにも富士登山では箱根連山、駿河湾などを見渡す雄大な眺め、富士山頂の火口をぐるりと巡るお鉢巡り、御殿場ルートの柔らかい砂地を一気に下山する大砂走り、富士山南東の山腹にある宝永山の噴火口の絶景が見られる宝永山遊歩道など、富士山でしか味わえない体験が非常に多いことは魅力のひとつです。

※登山ルートの詳細情報は公式ページよりご確認ください

日本一の眺望

富士山の頂上までたどり着くと、南アルプスや伊豆半島、河口湖に奥多摩の山々を見渡すことができ、他の場所では決して味わうことのできない日本一の眺望が広がります。

朝、富士山を囲む雲海から昇るご来光は、日頃の疲れを吹き飛ばすほどの感動を与えてくれます。

朝夕には富士山の巨大な影が雲海に落とされる「影富士」、満月前後にはごくわずかな確率で満月で照らされた「影富士」など、富士山からでしか見ることのできない眺望も個人的におすすめしたいですね。

富士山の大自然

標高が高まるにつれて徐々に草木の姿が見えなくなり、富士山の五合目に相当する標高約2,500m付近が富士山の森林限界とされています。

登りはじめて徐々に草木がなくなっていくさまは何年、何度登ろうとも僕に非日常を与えてくれます。

山梨県では絶滅危惧種にも登録されているムラサキモメンヅル、富士山の固有種フジハタザオなど富士山でしか見ることのできない自然に触れることも譲れない魅力のひとつではないかなと感じます。

登る際にはぜひ山小屋の予約をして安全な登山を

圧倒的な大自然や、登山中の眺望、山頂から見るご来光など、魅力の溢れる富士山ですが、もちろん高山病や体調不良などの心配や落石などによる危険も伴います。

なかでも注意していただきたいのが、夜間に行う日帰り登山です。現在では、山小屋宿泊者のみ夜間の登山が許可されています。

Photo by 富士登山オフィシャルサイト
金銭的な都合や日程など、山小屋を使用せずに登るしかないなどの理由ももちろん納得できるのですが、真っ暗闇の中をライトだけを頼りに登ることの危険度ほど高いものはありません。

夜間で周囲が見えないこともあり落石にはいつも以上に気付きづらく、道幅も十分に判断できない。一気に登ってしまうことで高山病のリスクも高く、何かが起きた時には対応できない……なんてこともよく起こります。

富士山に登る際は山小屋を予約して、安心で安全な登山をしていただきたいなと思っております。

2024年の登山シーズンは終了してしまいましたが、いつかの夏、富士山の山小屋にてお会いできることを楽しみにしております。

富士登山オフィシャルサイトもチェック!

Photos by Ryuo

TABIPPO社員
池田 竜旺 社員 / セールスディレクター

1997年、和歌山県生まれ。20歳の時に旅にハマり、海外や地方で感じた差別格差の問題に興味を持つ。学生時代は地域とのつながりをテーマに全国でのイベント開催や本の出版、トークイベントのゲストなどを行う。現在は株式会社TABIPPOでセールスディレクターを担当。ビール、BBQ、星空が好き。

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