その5:山の上から天空のインフィニティ・プール
こちらは山の中腹に存在する天空のインフィニティ・プール「ホムヒル・プール(Homhil pool)」。
山の湧き水が流れ込んで生まれた天然プールで、眼下にはインド洋が横たわり、周囲は龍血樹の群生地という、まさに唯一無二の絶景展望プールです。
その6:白砂漠でアラビアンナイト
ソコトラ島内に点在する広大な白い砂丘。これは石灰石の断崖が長い年月をかけて海風の浸食を受けて生まれたものと考えられています。
こちらは島内最大の「ザヒク砂丘(Zaheq Sand Dune)」。砂丘の上からインド洋に沈みゆく夕日を眺めて、ロマンチックなアラビアンナイトに浸れます。
その7:異世界的な珍百景
龍血樹やボトルツリーの奇観に並ぶ珍百景がこの小さなピラミッド群の「アリヘル・ビーチ(Ariher Beach)」。
この正体は、前述で紹介したソコトラ島固有種の黄色のカニの仕業で、巣穴に潜るために掻き出した砂で生まれた奇跡の光景。ちなみに、このビーチでは、夜は夜光虫による青い光の波も見ることができます。
ソコトラ島で異文化理解!町の様子とイスラムの人々
ソコトラ島の滞在を通じて、異文化理解も深めます。
電気や水道、通信など最低限のインフラは整っているものの、どこか文明が置き去りにされたような素朴で質素なソコトラ島。
通信、電気は不安定で停電もしばしば、スマホは圏外、WiFiも首都ハディボにある数軒の観光客向けホテルのみしか使えず、それはある意味、問答無用のデジタル・デトックスが体験できます。
厳格なムスリムが多い中東イエメン。ここソコトラ島も例にもれず、とくに首都で暮らす成人女性は、眼以外を真っ黒な衣裳のアバヤとニカブですっぽり覆い隠して出歩いています。
厳格なムスリムでは、女性は家族や親族以外の男性との接触も就労も許されず、そのせいか町は驚くほど男性だらけの男社会。女性を見かける機会は少なく、カルチャーショックを受けざるを得ませんでした。
それでも首都から離れた村へ行くと、封建的な印象は薄れ、家事をする女性たちをちらほら見かけたり、頭だけを覆い隠す簡易なヒジャブをまとった女性も見かけました。
ちなみに、この島でもっとも印象的だったことばは、「わたしたちは幸せだ。海に行けば魚は山ほどあるし、食べるものには困らない。だからいさかいもない。何か困ったことがあれば、みんなで助け合う。島全体が家族みたいなもの」ということ。
見た目の貧しさに思わず「ストリートチルドレンみたいな子はいるの?」と問いかけたとき、「そんな言葉、聞いたこともないし意味も分からない」と即行で答えられたこと。
最後に、“幸せとは”ということを考えさせられた、ソコトラ島の滞在でした。
ソコトラ島へ行くには
いかにソコトラ島自体が平和とはいえ、国際法上はイエメンの領土、簡単には渡航はできません。少なくとも日本の場合、外務省情報では海外渡航危険レベル4(退避勧告)の地域。個人での旅行はほぼ不可能で、2015年の内戦ぼっ発以降、日本からのツアーは壊滅状態です。
そのため、現在は欧米系(あるいは現地発)を中心とした海外の旅行会社ツアーに参加するのが一般的です。
「Socotra Tour」で検索すれば数多くヒットしますので、訪問時期や滞在期間、内容、予算などと相談して、自分の都合にあったツアーを選びましょう。
なお、2025年2月現在、ソコトラ島へ就航する飛行機はAir Arabia社のみ、アブダビ発で火曜と金曜日の週2便が利用されています(イエメン本土は経由しません)。そのためツアーは7泊8日もしくは4泊5日が中心です。
したがって、アブダビまでの移動時間も含めると、ソコトラ観光には最低7~10日間は見ておく必要があります(ビザ取得は通常旅行会社が対応してくれます)。
常識を覆す異世界ファンタジーへ、ホンモノの非日常を体験しよう
世界中には、圧倒的なスケールの大自然、秘境、絶景、異文化がたくさん存在します。しかし、筆者が知る限り(少なくとも絶景秘境と言えるジャンルにおいては)、ソコトラ島に勝るスポットはないと考えています。すべてが異次元で異質、常識を覆す異世界ファンタジーの世界が目の前に広がり、圧倒的な何かが心を揺さぶります。
人生観も変えかねない、ホンモノの非日常体験を味わってみたかったら、ぜひソコトラ島を訪れてみませんか。
・名称:ソコトラ島 Socotra Island
・住所:Socotra island, Yemen
・地図:
・在日イエメン共和国大使館公式HP(日本語):https://www.yemen.jp/tourism_j.php
All photos by Mayumi