奈良県は室生の地にある「室生山上公園芸術の森」は、静かな山あいに抱かれるように広がる、自然とアートが溶け合う不思議な空間。
都会の喧騒から離れて息抜きをしたい人、写真映えの景色を求める人、アートに触れたい人へおすすめしたい場所です。
見出し
宇陀市室生にある室生山上公園芸術の森
室生の風景 Photo by Keiko
奈良県宇陀市にある「室生」というエリアは、周りを山々に囲まれ、田園風景が広がる田舎町。
そんな日本の原風景が広がるような場所にあり、最近SNSを通じて徐々に知名度を上げているのが「室生山上公園芸術の森」です。
「室生山上公園芸術の森」Photo by Keiko
最寄り駅である室生口大野駅を降りると、交通系ICカードが利用できる改札口と、整備されたスロープ道とは対照的に、四方を山に囲まれ、周囲にコンビニなどない静かな雰囲気、まさに「田舎」な光景が広がります。
都市の喧騒から離れた静かな環境の中に「室生山上公園芸術の森」はあり、広大な敷地に彫刻作品が点在する芸術空間となっており、訪れる人々は自然の美しさと現代アートの融合を体感できます。
室生山上公園芸術の森は2人の芸術家が携わった場所
第3の島 Photo by Keiko
室生山上公園芸術の森の魅力を語るうえで欠かせないのが、この場所の設計・制作に携わった2人の芸術家、井上武吉氏とダニ・カラヴァン氏。
衰退しつつある郷里のために「森の回廊計画」を構想した井上武吉氏。室生に自身の彫刻作品を配置し、美術館巡りのような感覚で、室生の村巡りをしてもらおうというものでした。
これに村の行政が賛同したことで始まったプロジェクトでしたが、完成を見ることなく1997年に彼は亡くなってしまいます。
第1の島 Photo by Keiko
武吉のコンセプトを理解し、志を受け継ぐアーティストとして白羽の矢が立ったのが、イスラエル出身の彫刻「ダニ・カラヴァン」。
デザインや設計、監修を彼が担当し、2006年10月、地域とアートが融合する「室生山上公園芸術の森」が完成したのです。
海を超えて2人の芸術家が携わったこの施設には、今や国内のみならず、アートに興味のある国外からの観光客も訪れます。
現に私自身も、日本へ観光に来たカナダ人カップルからの撮影依頼があり訪れましたが、彼ら曰く「周辺の観光地よりも混雑していない環境でアートと自然に触れられると、以前に日本を訪れた知人から教えてもらったんだ。」とのこと。
口コミやSNSを通じて、海を超えて知名度が上がっている場所なのだと感じました。
アートに触れられる室生山上公園は写真映えスポット
らせんの竹林 Photo by Keiko
村の行政、村出身の井上武吉氏、井上氏と旧知の親友であるダニ・カラヴァン氏、三者の想いが形となった室生山上公園芸術の森は、「人間と自然が共存する美術館」となっています。
公園というよりも美術館のような施設で、「芸術の森(ArtForest)」の側面を強く感じる場所です。
といっても美術館のようにアートを鑑賞するだけでなく、実際に作品に入り込み、作品と共に撮影できるため、写真映えスポットとしても徐々に人気が上昇しています。
室生山上公園芸術の森の見所
らせんの水路 Photo by Keiko
室生山上公園芸術の森といえば「らせんの水路」。この写真を見てこの施設を知る人も多いと思います。
渦巻き状に水の流れる浅い水路で、キンモクセイの木をスタート地点に、葉っぱを流しそのスピードを競うなどして遊ぶこともできる場所です。
大人気の撮影スポットで、渦の中心に立ってみたり、渦に向かって歩いているところを撮ってみたり、たくさんの人がここで写真撮影を楽しんでいます。
Photo by Keiko
昔の太陽信仰に深く関わりがあると言われる、北緯34度32分の「太陽の道」を視覚化した「太陽の塔・ゲート」も見所のひとつ。
塔のてっぺんまで登ることもできます。上から見ると、道が東の森から姿を現し、塔をまたいで西の森に消えていくような作りになっているのが分かります。
第2の島 Photo by Keiko
カラヴァン氏の作品のなかで繰り返し使われるフォルムでもあるピラミッドの島である「第2の島」は、休憩や瞑想をしたり目の前にある「第1の島」に集まる鳥の観察をする施設。
写真を撮るなら、ピラミッドを正面から撮るのも良いですし、割れ目を額縁に見立ててそこに被写体を置いたり、池の水に映る虚像を写したりと、様々な楽しみ方ができます。
Photo by Keiko
敷地内には散策路も整備されており、作品を鑑賞しながら自然散策も楽しめる贅沢な空間が広がっています。
室生の自然に囲まれて、鳥の囀りをBGMにアート作品を見ながらの散歩は、贅沢なひと時。写真撮影に満足したら、ぜひスマホをしまって敷地内を散歩してみてください。
室生山上公園芸術の森とともに寄りたい場所
室生山上公園芸術の森だけでも十分楽しめますが、周辺の観光スポットにもぜひ足を運びたいところ。
photo by pixta
まずおすすめなのが「室生寺」。
女人禁制だった高野山に対し、女性の参詣が許されていたことから『女人高野』として知られています。
檜皮葺き屋根の本堂や、屋外にあるものでは日本最小の五重塔など、歴史ある建築と自然が融合した空間が魅力です。
・名称:室生寺
・住所:奈良県宇陀市室生78
・地図:
・アクセス:室生寺前行きバス終点下車 徒歩5分
・営業時間:8:30~17:00 (12/1~3/31は9:00~16:00)
・電話番号:0745-93-2003
・料金:大人600円 / 子供400円
・公式サイトURL:室生寺 公式サイト
photo by pixta
また、道の駅「宇陀路室生」では、地元の新鮮な野菜や特産品が購入できるほか、地元グルメも楽しめ、旅の小さな楽しみにぴったりです。
また、ここには室生山上公園の発案者である井上武吉氏の遺作、「my sky hole 地上への冥想 室生」と名付けられた作品もありますので、ぜひ芸術の森と合わせて訪れてみてくださいね。
・名称:道の駅「宇陀路室生」
・住所:奈良県宇陀市室生三本松3176-1
・地図:
・アクセス:近鉄大阪線「三本松駅」から徒歩5分
・営業時間:みやげ物売場 9:00~18:00
・定休日:レストランのみ水曜日
・電話番号:0745-97-2200
・公式サイトURL:道の駅「宇陀路室生」公式サイト
観光で村おこしを
Photo by Keiko
室生山上公園芸術の森の整備には、観光による地域活性化の狙いも込められています。
過疎化が進む場所において、芸術という切り口で人々を呼び込む取り組みは全国的にも注目を集めており、ここ室生山上公園芸術の森の他、香川の直島や新潟の越後妻有など、全国で広がりを見せています。
芸術の力が人を呼び、交流を生み、未来へと繋がっていく
室生山上公園芸術の森は、そんな希望の象徴ともいえる場所なのではないでしょうか。
Photo by Keiko
静かな山の上に広がる、ちょっと不思議で心に残るアート空間。
室生山上公園芸術の森は、自然に癒やされたい人にも、写真を楽しみたい人にも、そして新しい感性に触れたい人にもぴったりの場所です。
次の旅の目的地に、加えてみては。
・名称:室生山上公園芸術の森
・住所:奈良県宇陀市室生181
・地図:
・アクセス:室生口大野駅から室生寺行きバス「室生寺」から徒歩20分
・営業時間:4月~10月:10時~17時 3,11,12月:10時~16時
・定休日:火曜日 及び 12月29日~2月末日
・電話番号:0745-93-4730
・料金:大人410円
・公式サイトURL:https://www.uda-kankou.jp/navigation/1312