ライター

福島県出身で1990年生まれ。70カ国以上を旅するほどの旅好き。コロナ禍では国内を巡り、世界遺産検定マイスターに合格しNPO法人世界遺産アカデミー認定講師に就任。IT系広告代理店で広告運用コンサルタントとして働きながら、小笠原諸島のアンバサダーとしての活動も行う。

2025年のGWは最長で11連休を取ることができるため、旅行に行かれる人も多いのではないでしょうか?

毎月のように国内外を飛び回っている私のため、まわりからも

「今年の連休はどこ行くのー?」

とよく聞かれるのですが、じつは私今年”も”GWは旅をしない予定です。

GWだけに留まらず、お盆やシルバーウィーク、年末年始等の大型連休に旅に行くことはほぼなく、基本実家に帰省してゆっくりしているか、日帰りでも行けるような近場の観光地に訪れることが多いです。

なぜなのでしょうか?

そんなお話しと、そんななかでも都内からサクッと行けるおすすめの世界遺産をご紹介できればと思います。

バリキャリトラベラーが大型連休に旅をしない理由

私は普段広告代理店で働く普通の会社員です。そのため会社の規定に縛られたうえで趣味の旅を謳歌しています。

私の地元福島県にある、日光街道の宿場町「大内宿」
予定を立てやすいため、大体の会社員は大型連休に合わせて旅をする人が多いと思いますが、私は下記2点の理由から、大型連休に合わせて旅することはほぼありません。

・繁忙期は旅費が高い
・どこも混雑している

福島県会津若松市にある鶴ヶ城は歴史と美が融合した、会津の象徴的な城。

繁忙期は旅費が高い

例えばこちらのソウル3日間のツアー。中身は全く同じですが、GW期間中の5/3出発と、一週間後ろ倒しした5/10出発だと値段が倍近く変わってきます。


後者は有給を1日取得する必要はありますが、値段がこんなにも違うのであれば、私は無理に大型連休時に行かなくてもいいなと思うタイプなのです。同じ金額を支払うのであれば、安いタイミングを見計らって、2回旅に行って2倍楽しむことを選びます。

どこも混雑している

とくに国内に関してですが、空港や観光地等、大型連休時はかなり混雑しています。通常以上に待ち時間がかかる等はザラですし、TV等で中継している光景を見ても、あのタイミングで行く必要はないかなと、思ってしまうのです。

せっかく普段行かない土地に訪れるので、様々な場所をじっくり堪能したいものですよね?

連休で楽しむのは近場!

大型連休時の旅は、休みの日が予め確定しているため予定が立てやすい、有給を取る必要がないというメリットもあると思いますが、私は先ほど述べた理由により、大型連休時に旅をすることを控えています。


とはいえ、日帰りでも行けるような近場であれば、連休時に行くことがあるので、都内からサクッと訪れることができる近場の世界遺産をご紹介できればと思っています。

都心に世界遺産が?!|国立西洋美術館

都心に世界遺産があるのを皆さんご存知でしたか?それは上野公園内にある国立西洋美術館です。


「え、なんで?!普通の建物じゃない?」

と思われる方が多いと思いますが、まさにそれが世界遺産になっている理由なんです。

国立西洋美術館は、フランスで主に活躍したル・コルビュジエの作品で、彼は「近代建築の5原則」を提唱した人物。これが世界中で広まり、私たちの生活に根付いている(=見慣れている)ことが評価されて世界遺産登録されました。


国立西洋美術館でも、近代建築の5原則(ピロティ・屋上庭園・自由な間取り・水平連続窓・自由な立面)を見ることができます。壁がなく柱だけで建物を支えている構造のピロティは、外観を見るだけですぐに分かるかと思います。※国立西洋美術館では水平連続窓以外が実現されています。

素晴らしい西洋絵画等の美術コレクションを堪能するのはもちろんですが、建物全体にも注視しながら見学すると、とてもおもしろいですよ。

世界遺産情報
正式名称:ル・コルビュジエの建築作品:近代建築運動への顕著な貢献
登録年:2016年
登録理由:近代建築の発展に革命的な影響を与え、20世紀の建築における新しい価値観や技術を象徴しているため

公式サイト:https://www.nmwa.go.jp/jp/

時を超えて、神々が息づく聖なる場所|日光

列車を使えば、都内から約2時間で訪れることができる栃木県日光市には、約260年間続いた江戸時代を創った徳川家康の霊廟、東照宮がある場所です。


東照宮にある陽明門は、日本でもっとも美しい門として知られ、1日見ても見飽きないとも言われているので別名、「日暮の門」とも言われているのだとか。

また、柱の1本だけ彫刻の模様が逆になっている「逆柱」があるので、それをぜひ探してみてください。「建物は完成と同時に崩壊がはじまる」という伝承に基づき、わざと未完にすることで災いを避けるという意味が込められているようですよ。

東照宮の回廊にある眠り猫は、牡丹の花の下で眠っている様子が描かれており、裏側には、2羽の「雀」の彫刻があります。

“猫が起きていれば雀は食べられてしまいますが、猫が眠っていれば雀と共存できる”という平和への願いが込められているようで、 戦乱がなかった徳川幕府(江戸幕府)の世をあらわしているような彫刻で面白いですよね。

輪王寺は日光の歴史を感じる、神聖な仏教寺院。
上記のような彫刻作品もとても見応えがありますが、神道や仏教の特質を表し、周囲の自然環境と一体となって作り上げられた景観はとても素晴らしいので、ぜひまわりの自然にも注目して観光することをおすすめします。

世界遺産情報
正式名称:日光の社寺
登録年:1999年
登録理由:日光東照宮を中心とする寺社群が、宗教的・文化的な価値を持つと同時に、優れた建築技術と美術の集大成を示しているため

公式サイト:https://www.toshogu.jp/

明治の歴史が紡ぐ、未来への糸|富岡製糸場

列車だと約2時間、車だと1時間半ほどで行けるのが、群馬県富岡市にある富岡製糸場。


19世紀後半から20世紀にかけて起こった世界的な技術革新の歴史を物語る産業遺産で、フランスから伝えられた西欧の技術と日本の技術が融合した和洋折衷の建造物群です。

短辺と長辺を組み合わせた「フランス積み」のレンガ組みや、柱の少ない製糸場の内部はほぼ完璧な状況で残っており、当時を彷彿させるような場所なのです。 


生糸の品質向上と大量生産を実現したこの地は、日本の絹産業の近代化を大きく牽引した場所です。そんな日本の近代化を促進させた遺産が群馬県にあるので、ぜひ訪れてみてください。

世界遺産情報
正式名称:富岡製糸場と絹産業遺産群
登録年:2014年
登録理由:日本の近代化の象徴として、明治時代の産業革命における重要な役割を果たしたため

公式サイト:https://www.tomioka-silk.jp/

“あえて”選ぶ、近場の旅先へ

すでにさしかかっている、大型連休。

私は逆に旅に行かないタイプではありますが、このタイミングじゃないと行けないという方もたくさんいると思います。

旅先での経験は、かけがえのないものになることには変わりないので、ご自身にあった行き先やスケジュールを立てていただき、充実した時間を過ごしていただけるのを願っています。

また、都心からでも日帰りで行けるような素晴らしい世界遺産が複数あります。歴史や背景、必見ポイントを少しでも知っているだけで楽しさは倍増するので、事前情報をインプットしたうえで訪れてみてください。

All photos by Tamami Mizunoya

ライター

福島県出身で1990年生まれ。70カ国以上を旅するほどの旅好き。コロナ禍では国内を巡り、世界遺産検定マイスターに合格しNPO法人世界遺産アカデミー認定講師に就任。IT系広告代理店で広告運用コンサルタントとして働きながら、小笠原諸島のアンバサダーとしての活動も行う。

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