このサンダルに出会ってから8年ほど、旅のお供はおろか日常生活でも欠かせない相棒だ。おそらくよっぽど寒い時やTPOをわきまえる場面以外では履いている。
それだけ愛用し最も信用しているギョサン。「どうせ便所サンダルでしょ?」と嘲笑う人もごくまれにいるが、その性能をぜひ身をもって一度履いてほしい。
おしゃれなカラーからカッコいいデザインまで、きっとあなたにぴったりなギョサンもあるだろう。
ナミブ砂漠とギョサン
旅をする上で絶対に欠かせない「歩く」ということ。おしゃれや高性能なシューズはもちろん大事。けれども、サンダルも旅中には必ずといっていいほどマストアイテムだ。
もちろんメリットばかりではないので、その辺を踏まえながら私が履き続けるギョサンについて紹介したい。
そもそも「ギョサン」とは?
由来はは東京都の小笠原諸島で「漁業従事者用のサンダル」を略して「ギョサン」と呼ばれている。樹脂製のサンダルで鼻緒(親指と人差し指の付け根)が本体と一体になっているのが特徴。
安価でかつ頑丈で船上や岩場などでは滑らない素材として、海や水場で動き回るような人たちに普及されているのだ。
小笠原では商店の前にギョサンが並ぶ
購入する場所や種類にもよって異なるが、もっとも安くて1,000円以下でメイドインジャパンのサンダルが買える。インターネットの通販はもちろん、釣具店やダイビングショップ、マリンスポーツの盛んな離島などでは商店にも置かれている。
種類も水に浮くタイプや沈むタイプ、シンプルな色からラメ入りやマーブル模様のおしゃれなものなど、ギョサンひとつにしても多種多様なのでぜひ好みの一足を見つけてほしい。
頼りがいのある頑丈な足元
水に浮くタイプだと映えな写真にも
樹脂製の素材のためグリップ力が強く、またかかとの部分も少し高さがあり通常のビーチサンダルとは若干形状が違う。
だがこの形状こそが長い距離を歩いたり、軽めのトレッキングでも十分に活躍する。スニーカーと比べても全然滑らず、足が露出している分、足元に意識がいくのでかえって滑ったりつまずきにくいのだ。
足場が悪い場所や濡れている場所でも、鼻緒と本体が一緒なので足に踏ん張りが効くので、特に冒険好きでどんどん自分の道を開拓したい人にはぴったりだろう。
時々同じギョサンの人と出会うこともある
そして一度買ってしまえばと、長持ちするのも特徴のひとつ。使用場所は頻度によって個人差があるものの、数年は使い続けられる。
メンテナンスも簡単で、汚れた時はブラシや洗剤でゴシゴシと磨けば汚れも簡単に落ちて綺麗に。
この使いやすさを実感している私は、今ではサンダル=ギョサン一択しか考えられない。
使い続けて分かった意外な弱点
履き始めでまだ新しいギョサン
もちろんメリットばかりではないので、何年も履いているからこそ実感した弱点がある。
頑丈な素材の上、履きはじめの頃は特に素材がまだ硬く親指と人差し指の付け根、そしてかかとが痛く感じることだ。こればかりは避けては通れない道。
しかし樹脂製なので熱を加えれば少し柔らかくなるため、ドライヤーの熱を少し当てたり、お湯につけることでその痛みも軽減。自分に合ったギョサンの育て方次第で足にもしっかりと馴染んでくる。
石畳でかつ坂道は特に注意が必要だった
また、足場が悪い場所では大活躍する一方、ヨーロッパなどよくある石畳の道やスーパーマーケットなどの綺麗な道では時折滑りやすい可能性がある。
もちろん新品に近い状態では問題ないが、少し履き慣れてきて足裏が砂などで汚れてきた時に、このような場所を歩く際は注意が必要だ。
自分だけのギョサンを見つけてみて
ぜひあなたにぴったりな一足を
上記のように頑丈で滑りにくくも、履きはじめなどでは少し慣れるまでには時間がかかるギョサン。けれども、時間をかけて自分のギョサンが馴染んできた頃には愛着も湧いてくるはず。
色や種類のバリエーションは本当に豊富なので、あなたの好みに合った一足が見つかるだろう。
旅はもちろん日常でも欠かせない相棒として、私はギョサンをおすすめしたい。
All photos by Suzuki Ei