日本人として一度は登ってみたい富士山。
2023年の春、今年の夏こそ長年の夢である富士山に登ろうと計画を立ててみた。
せっかくなら、とびきりの思い出となるようなワクワクする旅を。
富士山に登った感動を誰かと味わいたい!
富士山でおにぎりを食べるの憧れる!
心に浮かぶワクワクを形にしようと登山企画「富士山でおにぎり」は誕生した。
ワクワクを詰め込んだ「富士山でおにぎり」企画
大好きな旅仲間に、富士山に登っておにぎり食べよう!と声を掛けると
「一度は富士山登ってみたかった!」「楽しそうな企画!」
……とたくさんの人が興味を持ってくれた。
最終的に8人の参加者が確定し、私は企画の詳細を詰めていった。参加してくれるみんなには、最後までこの企画を楽しんで欲しい。
参加者全員で安全に登頂成功できる確率を少しでも高められるように、工夫を凝らしながら準備を進めた。
プライベートガイドを手配したり、参加者を誘って近くの山で練習してみたり、登山経験が豊富な友人に旅のしおりを添削してもらったり、思いつく限りの事前準備をした。
「みんなで安全に登頂成功」できますように。
仕事中もふと頭をよぎるほど、富士山のことを考え続けた初夏だった。
みんなで登頂成功を目指して!日本最高峰への挑戦
いよいよ、待ちに待った登山の日。
私は、イベントの企画者として「みんなで安全に登頂成功」できることを心から願う気持ちでいっぱいだった。
残念ながら、体調不良で参加者の一人が急遽キャンセルすることになってしまったが、その他は全員、今回選んだ登山道「吉田ルート」のスタート地点「富士スバルライン五合目」に集合。
ガイドと合流し、ついに私たちの富士山登山がはじまった。
私は、ずっと富士山はグレーだと思い込んでいたが、五合目から山頂に向かって眺める富士山は真っ赤な姿をしていた。
今日の登山に向けて、富士山についてたくさん調べてきたつもりだったのに、いきなり知らないことに遭遇して、準備が甘かったのではないかと不安に。
でも、ガイドもいるしきっと大丈夫。登山道に入ってからは、引っ張る立場をガイドにバトンパスして、私も一参加者として富士山登山に挑んだ。
みんなで登頂成功するためには、私がリタイアするわけにはいかない。
「富士山で~、おにぎり!おにぎり!」
とみんなで掛け声をしながら、楽しく登山道を歩いた。
夏なのに涼しくて、植物も生えていなくて、空は広くて、まるで異世界。みんなで景色を眺めて、ときには写真を撮りながら、富士山を堪能。
七合目では念願のおにぎりタイム。みんなで持参したおにぎりを頬張った。
非日常が広がる不思議な空間で作る仲間との思い出。一瞬一瞬が楽しくて、このまま誰もリタイアすることなく山頂へ行きたいと何度も願った。
残酷にも高山病の影は少しづつ歩み寄り、ひとりまたひとりと頭痛を訴えた。
それでも、なんとかみんなで1日目の宿に到着。宿で高山病にならないように窓を開けて酸素を取り入れながら、眠りについた。
絶景よりも心に残る、みんなの表情
2日目の早朝、本八合目(標高3,400m)にある宿の前から、日の出を眺めた。
眼下に広がる雲海。それが、少しずつ日の光によって色を変える景色は、これまで見たことがないほど美しい景色だった。
人が住めないような場所には、こんな絶景が広がっているのかと感動。住環境を抜け出して、絶景を見に行く旅の楽しさを感じた。
日が登ったところで、いよいよ日本最高峰へ挑戦。
高山病にならないよう息を整えながら、山頂を目指した。
このペースだとみんなで登頂成功できそう!……そんな思いが芽生えてきた頃、突然登山道に悲鳴が響き渡った。なんと、落石事故があったのだ。
誰も登山者が巻き込まれることはなかったものの、誰かが命にかかわる怪我をしてもおかしくない状態。自然の脅威を感じ、企画者として危険な場所にみんなを連れてきた責任を感じた。
最後まで、安全に企画を遂行しなきゃ。落石事故を機に、改めてそう思った。
その後は、比較的順調に物事が進み、ついにみんなで富士山頂に辿り着いた。
じつは、私は富士山頂から眺めた景色はまったく思い出せない。きっと、みんなで登頂成功できた喜びと安堵の気持ちでいっぱいだったのだと思う。
私が今回の富士山登山のなかで、1番印象に残っているのは下山後みんなで麓から富士山頂を眺めたときのこと。
「さっきまで、あそこにいたのか!」
とやり切った気持ちで自信に満ち溢れる参加者の表情をみたとき、企画して良かったと心から思った。みんなの嬉しそうな表情がまぶしくて、その表情を見れば私も幸せな気持ちになれた。
今も忘れない、ひと夏の思い出
私のパソコンのデスクトップ背景は、今もみんなで富士山に登ったときの写真を採用している。
雲より高い異世界で、みんなで思い思いのポーズを撮った写真。
この写真を見るたびに、大好きな旅仲間と紡いだひと夏の思い出がよみがえり、幸せな気持ちになれる。
「富士山でおにぎり」は、私の宝物。
All photos by ゆいかな