みなさん、旅を楽しんでいますか?
旅の楽しみ方は十人十色です。
朝はノープランで散歩しながら非日常の風景を楽しみ、昼はご当地麺をすすり、そのあとはカフェでコーヒー片手にまったりと至福の時間を満喫します。
「理想的な旅のスタイルだな」と思った方は、偶然にも僕の好きな旅のスタイルと同じですね。
ラーメンが好きすぎて47都道府県を巡り、今は世界中のご当地麺を食べるべく、無期限の世界一周に出ています。
麺と旅にジャックされた僕の頭の中を、少しのぞいていきませんか?
見出し
アメリカ留学で気づいた「ラーメン愛」
僕が麺を心から好きだと気づいたのは、19歳のアメリカ留学中でした。
渡米から3か月ほど経ったある日、日本人の友人が「アメリカの米つらいな。日本米を買いにいこうや!」と誘ってくれました。
しかしそのときの僕は、日本米でもタイ米でも同じくらいおいしく感じていて、日本食を3か月口にしていなくても特に問題はありませんでした。
——ただし、ある日本を代表する料理だけは別でした。
数日後、僕は大都市シカゴを観光していました。
クラウド・ゲート(通称:ビーン)やトランプタワー、湖に映えるシカゴの街並みを巡り、とにかく分厚いシカゴピザを頬張りました。
7年たった今でも、昨日のことのように思い出せる最高の場所でした。
でも、この旅で何より忘れられないのは、ラーメンに感動して自然と涙がこぼれたことです。
食事に感動して泣いたのは、これまでの人生でただ一度だけです。
そもそも、人生で泣いた回数自体が数えるほどしかなく、泣くこと自体がとても珍しいです。
なぜあの一杯にそこまで心を揺さぶられたのかを考えると、
ラーメンを3か月間食べないという初めての経験から、いわば“ホームシック”ならぬ“ラーメンシック”の状態になっていたのだと思います。
今あらためて考えると、味だけでいえば日本で食べたラーメンのほうが間違いなくおいしいと感じます。
ただ、日本ではおいしいラーメンを食べられることが当たり前だったので、涙を流したことはありませんでした。
それでも、3か月間好きなラーメンを食べられないという状況が重なると、スープをひと口飲んだ瞬間に自然と涙がこぼれました。
この出来事をきっかけに、僕の中でラーメンは特別な存在になったのだと認識しました。
47都道府県を制覇!ご当地ラーメンからうどん・そばまで麺三昧旅
帰国後、ラーメン愛が止まらず、ご当地ラーメンを目当てに旅を重ねていたら、気づけば47都道府県を巡っていました。
日本全国を旅して気づいたことは、ひとことにご当地ラーメンといっても、地域によってはラーメン以外の麺料理が主役になる土地もあるということです。
当時の僕はラーメン愛が強すぎて、「麺料理でラーメンよりおいしいものはない」と思い込んでいました。
その偏った考えを壊してくれたのが、沖縄旅行で食べた沖縄そばです。
沖縄料理が苦手という方もいらっしゃいますが、現地の人におすすめを聞いてみてください。本当に安くておいしい沖縄料理に出会えます。
涼しい海風と畳の香りに包まれたのんびりとした空間で食べる沖縄そばは最高でした。それから、沖縄に行って食べたいのはラーメンではなく沖縄そばになったんです。
この経験からご当地ラーメンだけでなく、ご当地麺料理を食べるようになりました。
長崎ではチャンポンの野菜の多さに驚き、香川の讃岐うどんの強いコシの虜になりました。
秋田の稲庭うどんは少し細いと感じたり、山梨の吉田うどんはあまりの噛みごたえに「麺をゆで忘れてますよ」と言ってしまいました。
岩手の盛岡冷麺は、全国の焼肉店で驚くほど再現されていると感じました。
同じ岩手のわんこそば体験は、そばを食べるにとどまらず、一種のアトラクション感覚で楽しかったです。
お椀にそばを入れる「よーい、よい」という掛け声が、後半になるにつれて恐怖に変わっていく感覚も忘れられません。
こうして旅をすれば、必ず麺のエピソードがくっついてくるようになりました。ラーメンだけでなく、麺料理そのものが大好きになっていたんです。
そして、この麺料理好きは旅だけでなく、私生活にも影響を及ぼしました。
社会人になってからの3年間、毎昼卵かけうどんを飽きることなく食べ、炊飯器の出番は週に1回程度なので棚に保管されていました。
気づけば、すっかり麺狂いになっていました。
韓国・台湾・タイでも麺!海外旅行で欠かさないご当地麺
どの国に行っても、気づけばまず麺を探してしまいます。
麺を食べたあとは、カフェでコーヒーを飲みながらまったり時間を楽しみます。
これが僕の好きな旅のスタイルとして確立されつつあります。
3泊4日で旅行するなら、必ず1日は「麺からカフェ」の日が欲しいです。
これまでの海外旅行では、韓国ではビビン麺や冷麺、台湾では牛肉麺、タイではクイッティアオ、フィリピンではラーメンを食べてきました。
異国の麺料理を食べたときに、ひと口目では初めての味に舌と脳の理解が追いつきません。
この未知との遭遇のような感覚がとても好きで、新しい料理を見るとつい食べたくなってしまいます。なので本当においしいかどうか分かるのは、ふた口目からです。
フィリピンだけラーメンを選んだのは、ご当地麺にありつけなかったからです。
ご当地麺を食べるのが理想ですが、ありつけない場合は、その国ならではのアレンジが加えられた日本の麺料理を、日本との違いを発見しながら楽しんで食べます。
これは麺に限らずですが、同じモノでも、文化の違いによって、見方やとらえ方が異なります。これが非常に興味深くておもしろいです。
つまり、異文化を体験し、理解していくことがとても好きです。そして、相手が大好きな麺類ならば、好奇心はなおさら止まりません。だから僕は、海外でご当地麺を食べています。
世界各地のご当地麺を求めて世界一周へ
ラーメン好きが高じて日本全国を回り、次は世界を旅しながら大好きな麺をすすります。
好きを追い求めた先に何があるかは分からないですが、明るい未来につながっていると信じて旅をします。
旅は未知との出会いを近づけてくれるので、まだ見ぬ麺類を食べるのが今から楽しみです。
All photos by Takanori Muneishi