あなたはどんな旅のスタイルが好きですか?
どこに行くのか、誰と行くのか、何をするのか、1日だけの短い旅なのかそれとも数ヶ月や年単位にも及ぶ長旅なのか。グルメ旅や、ひとり旅、女子旅と言った旅のスタイルは旅の数だけ存在し、自分自身のオリジナルでもあります。
私はオーストラリアでのワーキングホリデーで、新しい旅のスタイルに出会いました。
きっかけはオーストラリアの友人からの一言。旅のスタイルが変わるだけで、見えてくるものがガラリと変わり、みるみると旅の魅力はまっていきました。
そして、この旅のスタイルこそが「本当の自分に合った旅のスタイル」だったのです。
日本とオーストラリアの旅のスタイルの違い
日本では「弾丸旅行」や「週末旅」と言った短い滞在日数でサクッと旅行することがよくありますよね。社会人になると有給休暇を使っての旅行だったり、休みをつなぎ合わせて旅行に行くことがごく普通になっています。
限られた滞在日数で「1日観光プラン」を作り、1日中朝から晩まで分刻みにスケジュールを組みにいろんな場所に訪れる。という旅のスタイルが当たり前だと思っていました。
一方で、オーストラリアにワーキングホリデーで滞在していた私が「これから2泊3日で旅行に行く予定だよ」と言ったら、オーストラリア人の友人が「えっ?たったの2泊しかしないの?ゆっくりできないじゃん!」と、とても驚いたような顔をして言いました。
オーストラリアの「詰め込みすぎない旅」
しかし、オーストラリアでは全く違う旅行スタイルがあることを、友人が教えてくれました。
彼らはワークライフバランスをとても大切にしており、休暇も仕事と同じくらい大切だと考えられています。短くても1週間、一般的には1ヶ月ぐらいのまとまった休みを取り旅行に行きます。旅先での過ごし方も日本とは対照的で、予定を詰め込みすぎずに現地で暮らすようにのんびり旅することを楽しんでいます。
1日中ビーチで日光浴をしながら本を読んだり、スーパーで買い物をしてご飯を作ってホテルで過ごしたり。何も予定を立てずにその土地の空気を楽しみます。
「旅行なんだから、ゆっくりとその土地を楽しまないとね」と笑顔で言ってくれました。
その言葉を聞いた時に、ハッとさせられました。
思い返せば今までの旅行は時間に追われて旅をしていました。弾丸旅行も楽しいけれど、予定を詰め込みすぎて旅疲れしている自分に気づいたのです。本来リフレッシュするために行った旅行なのに、観光プランのスケジュールに追われて結局急ぎ足で次から次の場所へと。いろんな場所へ行けたけどよく楽しめなかった。と思うこともありました。
だけどワーキングホリデーで一カ所に長く暮らすように旅してから友人の教えてくれた旅のスタイルよ良さに気づく事ができました。
オーストラリアでの日々を思い返してみると、仕事終わりにみんなでビーチに行き夕陽が沈んだ後の空がオレンジやピンクに色が様変わりしながら夜になる様子を眺めたり。
図書館が主催している英会話クラスに参加していろんな国から移住してきた方々と一緒に英語を勉強し、その国の郷土料理をご馳走していただいたり。
朝カフェでコーヒーを飲んでいたら、隣に座っていた可愛い犬が近づいてきて飼い主さんと仲良くなったり。
職場のすぐ近くの木に突然現れた野生のコアラをみんなで見に行ったり。
これらの経験を通して、旅は必ずしも観光地巡りだけではない。予定を詰め込まずに、普段の生活と同じように場所を変えて、その土地に溶け込むことで初めて見える旅のスタイルもあるのだと知りました。
そこに住んでいる地元の方々から教えてもらう風習や受け継がれてきた文化だったり。地域特有のお祭りに参加したり。地元の方が愛してやまないローカルフードだったり。これこそが本当のその土地の姿であり魅力だと気づくことができました。
現地に溶け込む旅へ
それからの私の旅のスタイルはガラリと変わりました。1年間トルコに住んでみたり、旅行するときはできる限り急がずに長く滞在するようになりました。
過ごした方も、観光名所だけを制覇するよりかは、ローカルの市場で買い物をしたり。宿の周辺を散歩したり、その土地の人々と会話することを大切にしています。スケジュールいっぱいにするのではなくわざと予定を組まずその日の気分で行動してみたり。
今までの私の旅のスタイルは短い時間の中で「いかに効率よく観光できるか」を最優先して旅のプランを考えていました。今は「予定を作らない時間」を取り入れるようになりました。
友人が教えてくれた「予定を詰め込まずに、何もしない時間や、ただその場所に溶け込む旅。」それは私にとっても新しい旅のスタイルになりました。
All photos by Yuko Kawahara