“旅は、自由だ”
「ひとり旅」、「女子旅」、「グルメ旅」、「カメラ旅」。
「旅」という言葉には、人やものがよく一緒になるように、さまざまな旅のスタイルと楽しみ方があります。近ごろワーケーションという働き方や「暮らすように旅をする」という旅のスタイルなど、旅のかたちも多様化してきました。
わたしは瀬戸内生まれ、関東在住。生まれてから学生時代まで愛媛県で過ごし、就職を機に千葉県へやってきました。
住む場所やライフステージが変わるたびに、「旅の楽しみ方」も自然に変化してきたように思います。
変わりゆく旅のかたち
幼少期の旅:夏休みの家旅行
1年に1度、夏休みに家族旅行へ出かけるのが我が家の恒例行事でした。幼い頃のわたしにとっては超ビッグイベント。
出発前のワクワクやドキドキ、初めて訪れる遊園地や水族館、大きくて綺麗なホテル。そのすべてに胸が躍ったことをよく覚えています。
家族と行ったことのない場所で初めての経験をすることがとても新鮮で、楽しい時間があっという間にすぎていきました。
「いろんな場所に行ってみたい」という好奇心は、この頃の旅の思い出が育んでくれたのかもしれません。
学生時代の旅:全力疾走のひとり旅
大学生になると、自由に旅ができる「ひとり旅」に夢中になりました。
モットーは「とにかく行きたいところに行きまくる!」。
航空券を手配し、ガイドブックを読み込み、地図やSNSで最新情報を集め、分刻みで旅のしおりを作成するほどの入念な準備。
旅先では効率重視で歩き回り、食べたいものは全部食べ尽くす。まさに全力疾走の旅でした。今思えば、地方出身のわたしにとって、東京や札幌のような大都市に行くだけでも大冒険。「遠くから来たのだから楽しまなければ!」という使命感が、計画的で効率的な旅のスタイルをつくっていたのだと思います。
社会人の旅:日常のすぐ隣にある気まま旅
就職を機に関東へ引っ越してきたばかりのわたしにとっては、どこを訪れても初めての場所ばかり。隣の知らない駅で降りるだけで、旅が始まります。
地図を見ずに当てもなく歩いたり、少し気になったお店にふらりと入ってみたり。まるで宝探しのような感覚でした。
日常の延長にある偶然の出会いにときめく、そんな旅の楽しみ方を知りました。
どんな旅も、わたしの旅になる。
幼少期は家族と行けることが喜びで、学生時代は計画と効率を追い求め、社会人になって日常の隣に見つけたわたしの旅。
そのときの暮らしや心境によって、旅の楽しみ方は自然と変化してきました。
旅に正解はありません。
計画してもよし、計画からズレてもよし。そもそも計画しなくてもよし。その懐の深さこそが、旅の魅力だと思います。
だからこそ、これからもわたしは変わりゆく自分とともに、いろんな旅を楽しんでいきたいです。
そしてみなさんもぜひ、自分だけの旅のスタイルを見つけてみてください。
All photos by Yano Akari