旅は自由で気ままで縛りがなく、控えめに言って最高。でも━━
「旅したらどんなに疲れていてもこれだけはやっておこう」「これは準備しておいた方が旅先で出会いが増えるかも」
とあえてマイルールを作って準備することで、その楽しさはさらに倍増します。
今回は、私がいつも心がけている“マイルール”を少しだけ紹介させてください。
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旅のルール1:日本らしいものを持っていく
フランスに留学していた際によく聞かれたのは「日本のどんなところがおススメ?」「何がおいしいの?」という質問。なるべく詳しく答えようとしましたが、毎回「話すより見せた方が絶対伝わる……現物を持ってこればよかった」と後悔しました。
その経験から、最近では国外へ出かけるとき「日本らしいものを持っていくこと」をマイルールにしています。スーツケースでかさ張らず、軽くてコンパクト。これが選ぶ基準です。
特に喜ばれたのが折り鶴のメッセージカードとフリーズドライのお味噌汁だったのでこれは鉄板お土産として基本持ち歩くことにしています。
日本らしいもの|折り鶴とメッセージカード
折り鶴は飛行機の中やトランジットの待ち時間にサッと用意できるのが便利。もともと私は英語が堪能ではないので、言葉がうまく通じなくとも感謝の気持ちだけは伝えたいと思い初めての国外旅行の時は得に重宝しました。
さらにメッセージカードに「ありがとう(Thank you)」とあえて日本語を添えると、とても良い反応をもらえます。単色の折り紙でも十分ですが、ひと手間加えて金箔入りの和紙や柄付きの折り紙で折ると「宝物にする!」とまで言ってもらえたことも。
小さな折り紙から生まれる会話がきっかけで、じつはお礼のお礼として食事に誘ってもらったりホームパーティーに招かれたり──。そんなことを繰り返しているうちにいつしか「旅先で3人以上には感謝の折り鶴を渡して会話をする」という、自分だけのルールになっていました。
日本らしいもの|お味噌汁(フリーズドライ)
ある日、仲良くなったフランスの友人にすき焼きをふるまったとき、生卵をすすめた瞬間に「Non!」と顔をしかめられたのを今でも覚えています。あれは「失敗したな~(笑)」と今では旅先失敗談の鉄板ネタにしているのですが、当時はカルチャーショックでした。
日本では当たり前のことでも、国が変われば当たり前は存在しなくなる。文化の壁は思った以上に高く、根深いことが多いです。
そこで気づいたのが「安心して楽しんでもらえる日本食」を持っていくこと。その答えがフリーズドライのお味噌汁でした。お湯を注ぐだけで完成し、その場で一緒に味わえる。パーティーで料理が並んでいても、スープなら違和感なく出せるのも強みです。
特にサクラエビや海苔入りなど“日本らしい具材”が入ったものはとても喜ばれるので、今では常備アイテム。招かれる予定がなくても、カバンに忍ばせておくだけで安心感が増します。
食べ物系で失敗したくない人はフリーズドライの常備、ぜひお試しあれ!

旅のルール2:夜はバルやブションなどで地元の人と話す
昼間は観光や散策で動き回りますが、夜はあえて「バル」や「ブション」といった地元の人が集まる場所へ。観光客向けのレストランも楽しいけれど、現地の空気を肌で感じたいならローカルな空間が一番です。
例えばスペインでは、カウンターで立ち飲みしながら隣の人に「おすすめは?」と聞くだけで会話が始まります。指差しでメニューを教えてくれたり、一口味見させてくれたり。気づけば隣同士で乾杯している、そんな自然な流れが大好きです。
フランス・リヨンでは、ブション(郷土料理の居酒屋)で隣の家族から「よかったら一杯どう?」とワインを勧められ、そのまま一緒に乾杯したこともあります。また、料理を頼みすぎて食べきれないときに「良ければどうぞ」と隣に分けると、そこから一気に打ち解けることも。
観光ガイドには載らない小さなヒントや、地元の人だから知っているおすすめスポットを教えてもらえることもあります。何より、旅先で人と人がつながる時間は特別。疲れていても「一杯だけ寄ろう」と決めておくだけで、忘れられない出会いが待っているのがこのルールの魅力です。
中間地点でなのでドイツのGrünkohl mit PinkelとフランスのChoucrouteが合わさった料理をいただきました
旅のルール3:わざと遠回りや寄り道をする
計画通りに観光地を回るのももちろん楽しい。でもあえて「遠回り」や「寄り道」をすることで、想像を超えた発見があります。
以前、とある街で目的地へ向かう途中、敢えて地図通りの大通りを避けて裏路地を歩いてみました。すると、偶然見つけたのは壁一面に描かれたストリートアート。
トンネルの中までびっしりと絵が描かれ、下手な絵はうまい人に上書きされ、進化し続ける生きている美術館のような空間でした。それからはストリートアートが大好きになり中でもイギリスのLeake Street Archesは一押しです。
観光ガイドには載っていないけれど、まさに旅ならではの体験。寄り道がなければ一生知らずに通り過ぎていたかもしれません。
もちろん治安には注意が必要ですが、安全な範囲で少しだけ勇気を出して遠回りすることで、偶然のご褒美に出会えるのがこのルールの面白さです。

・名称:Leake Street Arches(バンクシートンネル)
・住所:Leake St, London SE1 7NN
・地図:
・アクセス:ウォータールー駅から徒歩3分
・公式サイトURL:https://www.leakestreetarches.london
おまけルール:当日中に日記をつける
旅は楽しい時間の連続ですが、数カ月もすると「あの日、何を食べたっけ?」「どの順番で回ったんだっけ?」と曖昧になるもの。せっかくの記憶が霞むのは惜しいので、私は必ず「その日の夜に日記をつける」ことにしています。
日記帳だと荷物になるので、写真を貼れるアプリを活用。ベッドに潜り込み、画面光を漏らさずにサッと書けるのが便利です。SNSに上げるのも楽しいけれど、誰にも見せない“自分だけの記録”を残す時間は格別。
一日の締めくくりに数行書くだけで、記憶の鮮度がぐっと長持ちします。

旅の準備が苦手な方へ
一見、旅の準備は少し面倒に思えるかもしれません。でも、自分なりのマイルールを決めておくと驚くほど楽になり、わくわくは何倍にも膨らみます。
もちろん「旅先で友人を増やす」「お気に入りの食べ物や場所を増やす」など旅の目的にあわせてルールは柔軟に変更してもOK。旅をより豊かにしてくれる存在がマイルールです。
しっかり下調べしても良し、その場その場で出会うもよし。皆さんも次の旅行前に、自分だけのマイルールを作ってみてはいかがでしょうか?
Bon voyage!
All photos by Rena