愛知県に離島があることをご存じですか?
名古屋から電車と船を乗り継いで約1時間半。三河湾に浮かぶ「篠島(しのじま)」は、わたしにとって何度も訪れたくなる大切な場所です。
漁師町ならではの活気と離島ならではの穏やかさ。そのどちらも持ちあわせた篠島には、不思議な居心地のよさを感じています。
歴史、食、そして訪れる人それぞれの楽しみ方。知れば知るほど奥が深い、篠島の魅力を紐といていきます。
篠島という場所
篠島は、愛知県知多半島の先端から南へフェリーで約10〜20分の場所にある離島です。
愛知県には佐久島、日間賀島とあわせて3つの有人島がありますが、そのなかでも昔ながらの漁師町の風景が残る島といえます。

島の大きさは周囲約8km。コンビニはありませんが、個人商店やカフェ、飲食店などもあります。
徒歩でゆっくり回りながら島の空気を感じることもできますし、レンタサイクルで島風に吹かれながらめぐることもできます。

港近くのレンタサイクル
日帰りでも楽しめますが、島内には素敵な民宿や旅館も充実しており、日本百景にも選ばれた松島の夕日を眺めながら、ゆったりと過ごすことで、より深く島の魅力を感じることができるはずです。
伊勢神宮とのつながりが息づく島
篠島には、実は伊勢神宮との深いつながりがあります。1200年以上もの間、伊勢神宮の神事に欠かせない「干鯛(おんべ鯛)」を献上し続けているのがこの篠島。

港でお出迎えするのは鯛のモニュメント
さらに20年に一度行われる伊勢神宮の「式年遷宮」の際には、伊勢神宮の社殿を譲り受け、島の神社を建て替える伝統が今も大切に守られています。
島に凛とした空気が漂っているのは、こうした特別な歴史が、島の人たちの日常に当たり前のように溶け込んでいるからかもしれません。
一年を通して旬を味わう、豊かな海の恵み
漁師町である篠島の楽しみのひとつは、やはり新鮮な海の幸です。
なかでも有名なのが「しらす」で、じつは漁港単位のしらす漁獲量が全国でもトップクラスを誇るほど。水揚げしてすぐに加工されるしらすは驚くほどふっくらとしていて、その鮮度と旨みを目当てに島を訪れる人も少なくありません。

しらす丼(DIEUX TERRACE篠島)
また、冬には「ふぐ」や「牡蠣」が旬を迎えます。全国で取引される天然とらふぐの約3割がここ篠島近海で水揚げされ、その新鮮さは格別です。
近年では牡蠣の養殖にも力を入れており、大ぶりで濃厚な味を楽しむことができます。

愛知県では初の取り組みとなった篠島の牡蠣養殖場
こうした旬の味覚を、漁師町ならではの納得感のある価格とボリュームで満喫できるのは篠島だからこそ。
春夏秋冬、いつ訪れてもその時期に一番おいしい海の恵みに出会えること。そんな豊かな食文化が、多くの人を惹きつける理由のひとつになっています。
自分にあった過ごし方が見つかる、島の余白
篠島には、誰もが知るような有名な観光スポットがあるわけではありません。
ですが、波の音を聞きながら砂浜を歩いたり、海辺で本を読んだり、ただぼーっと海を眺めたり。
そんな「何もしない時間」や「余白」を楽しむことで、日々の忙しさからふっと解放される瞬間がとても心地よく感じます。

東側に位置するサンサンビーチには美しい砂浜が800mあまり続く
一方、ご家族やグループでアクティブに過ごすことも可能です。
2020年にオープンした「DIEUX TERRACE篠島」では、キャンプやBBQ、バギー体験やバドミントンなど、さまざまなアクティビティを楽しむことができます。

穏やかに過ごしたい人も、ワイワイ過ごしたい人も。
どんな時間やどんな自分もありのまま受け入れてくれるような気がして、それがこの島に惹かれる理由のひとつなのだと思います。
変わらない日常と、歴史が重なる場所
歴史、食、そして自由な過ごし方。
篠島をめぐっていると、1200年前から続く神秘的な祈りの文化と、島の方たちの日常やあたたかさが、ごく自然に隣りあわせにあることに気づかされます。
港で見かける活気あふれる姿や、伝統を大切に守りつないでいく暮らし。そのどちらもが島の日常としてそこにあるからこそ、訪れるたびにどこか懐かしく、そして力をもらえる気がするのかもしれません。

時代とともに変化をしながらも、時代の流れに左右されない魅力が残る篠島。
忙しい日常から少し離れたくなったとき、いつでも優しく迎え入れてくれる気がして、これからも大切にしていきたい場所となっています。

みなさんも、一度訪れてみてはいかがでしょうか?
All photos by yuri