世界最大の領土を持つロシアは160以上の民族が住む多民族国家です。広大な国土には、首都モスクワの聖ワシリー寺院、世界で最も高い透明度を誇るバイカル湖、大陸を横断するシベリア鉄道など、魅力的な場所が多数存在します。
そこで今回はロシアにある世界遺産全26件をご紹介します。
・首都:モスクワ
・言語:ロシア語
・通貨レート:1 ロシア・ルーブル = 1.5 円
・物価:水500mlで約25ロシア・ルーブル。ビール約50ロシア・ルーブル。ビストロで150~200ロシア・ルーブル。安宿ドミトリで400~500ロシア・ルーブル。
・治安:「十分注意してください。」世界治安危険度ランキング : 156 位 / 163カ国 ロシアの外務省危険情報
・フライト時間:10.5時間(直通:成田~モスクワ)
・時差:–5時間(モスクワ)
・チップの有無:不要。気持ちでチップ。
・英語:大都市や外国人の多いホテルや店では大体通じる。
・ビザ:観光ビザ必要(30日の滞在可能)。渡航前にロシアビザセンターで取得。ロシア側旅行会社発行の旅行確認書・全工程、交通機関、宿泊証明書などの予約確認書(バウチャー)コピーが必要。パスポート残存期間は出国時6カ月以上。余白見開き2ページ以上。
・電圧とコンセント:220VでC型
*編集部追記(2024/03/13)
2015年に公開した記事に新たに加筆しました。
サンクト・ペテルブルグ歴史地区と関連建造物群
ロシア第二の都市で、かつては帝政ロシアの首都が置かれていた街です。ロマノフ朝の初代皇帝であったピョートル大帝が築き、それ以降歴代のロシア皇帝が建てた歴史的建造物が多数残されています。
アレクサンドル・ネフスキー大修道院、エカテリーナ宮殿、エルミタージュ美術館など、見所は尽きません。1990年に世界文化遺産に登録されました。
ノヴゴロドの文化財とその周辺地区
9世紀にノヴゴロド公国の都として築かれた、ロシア最古と言われている都市です。13世紀以降に交易で発展し、市内には中世に建てられた建築物が数多く残ります。
市街の見所は11世紀に建てられた聖ソフィア聖堂や、14世紀に建てられたスパソ・プレオブラジェーニエ聖堂などです。1992年に世界文化遺産に登録されました。
コミ原生林
ウラル山脈の北西一帯に広がる針葉樹林で、ヨーロッパ最大の原生林でもあります。ペコラ=イリチ自然保護区とユグド=ヴァ国立公園の敷地内にあり、トドマツ、カラマツ、モミなどが生え、ヘラジカやオオヤマネコなどの希少種を含む様々な動物が生息しています。
1995年に、ロシアでは最初の世界自然遺産として登録されました。
カザン・クレムリンの歴史遺産群と建築物群
15世紀から16世紀にかけてカザン・ハン国の首都として栄えた町カザンは、城塞の上に新たな城塞が築かれた城塞都市です。現在の形は、カザン・ハン国がモスクワ公国に破壊された後に新たに城塞が造営されたものです。
町にあるロシア正教会のブラゴヴェシェンスキー大聖堂が、町の中では最古の建物とされ、その他の建物もそれぞれの時代からの遺構として大切に保存されています。
ノヴォデヴィチ女子修道院群
リトアニアから領土を奪回したことを記念して建てられた修道院で、モスクワにある正教会の修道院の中で最も知られている女子修道院のうちの一つです。15の建物から成り、なかでも1524年から1525年にかけて建設されたスモレンスキー聖堂はモスクワ・バロック建築の傑作と言われています。
2004年に世界文化遺産に登録されました。
キジ島の木造教会
ロシアの木造建築の最高傑作と言われる教会が、オネガ湖に浮かぶキジ島に建っています。夏に用いられたプレオブラジェンスカヤ教会と、冬に用いられたポクロフスカヤ教会は、釘を全く使わない建築技術が使用されています。
ロシア最古のラザロ復活聖堂など、島には貴重な建築物が数多く残され、これらの木造教会は1990年に世界文化遺産に登録されました。
セルギエフ・ポサドのトロイツェ・セルギー大修道院の建造物群
ロシア正教の最も重要な聖地のひとつであり、多くの巡礼者が足を運ぶ修道院。周辺だけでなく、修道院の防壁の中にも食堂付属セルギエフ聖堂、スモレンスカヤ聖堂、トロイツキー聖堂、ウスペンスキー聖堂や五重の鐘楼といった歴史的建築物が並んでいます。
1340年頃に修道士によって建てられた小さな木造教会が起源と言われており、長い歴史を持っています。
アルタイのゴールデン・マウンテン
アルタイ山脈を中心にテレツク湖やウコク高原へ広がる一帯が世界自然遺産として登録されています。高山特有の気候だけでなくステップ地帯もあり、多種多様な植生が広がります。
ユキヒョウやアルタイ・アルガリ、イヌワシ、カタジロワシなどの絶滅危惧種も生息しており、動物達にとって貴重な生息地として保護されています。
デルベントのシタデル、古代都市、要塞建築物群
デルベントはササン朝ペルシアが483年に防衛拠点として築いた都市です。数々の勢力争いが繰り広げられ、二重の城壁の間に建設された町は難攻不落と言われていました。
最終的にはトルコ系遊牧民の突厥において滅ぼされてしまいますが、8世紀に建てられたモスクや19世紀のアルメニア教会などが残っています。2003年に世界文化遺産に登録されました。
レナ石柱自然公園
レナ川の土手沿いに広がる自然公園で、いくつもの岩の柱を見ることができます。大きなものは300メートルにも達する石柱が森のように立ち並ぶ姿は壮観です。
時にはマイナス60℃にも達する大陸性気候によって生み出された自然景観で、この一帯ではカンブリア紀の化石も多数発見されています。2012年に世界自然遺産として登録されました。
クルシュー砂州(ロシア側)
ロシアとリトアニアで共同登録されている世界遺産、クルシュー砂州は全長98キロにも及び、バルト海とクルシュー・ラグーンを隔てている砂州です。
海水と淡水を隔てる砂州は、わずかな土地であるにもかかわらず場所によって針葉樹や白樺の林、ツンドラ、草原、沼地などとその姿を次々と変えていきます。2000年に世界文化遺産に登録されました。
ソロヴェツキー諸島の文化と歴史遺産群
6つの島から成るソロヴェツキー諸島は、観光客を集める立派な修道院が建つ一方、強制収容所が設置されていた悲劇の歴史も持ち合わせています。幾度となく戦争が繰り広げられてきた場所にも限らず、石造りの修道院は修道士達に守れられながら傷を負わずに今なおたち続け、その歴史が大きく評価されて世界遺産に登録されました。
バイカル湖
photo by Sergey Gabdurakhmanov
世界で最も高い透明度を誇るバイカル湖は、それだけでなく水深、貯水量ともに世界一とされています。かつては海であったのが湖になり、海水から淡水へんと変化したことで固有種を含む多種多様な生物が生息しており、「シベリアの真珠」や「生物進化の博物館」との異名を持ちます。
また、ロシア革命の際に逃げた白軍25万人が凍死した場所という悲しい過去も持っています。