初めまして、ライターのなつめです。私は青森県の東部、太平洋に面した八戸市で現在「海猫ふれんず」として、八戸圏域のUIJターン促進をはじめとしたまちづくり活動を行なっています。
そんな私が、この記事で参加させてもらうことになったのは、近畿日本ツーリスト主催「グリーン・ツーリズム」青森ツアーです。
今回は半分都会、半分田舎「半都・半邑(はんと・はんゆう)」をうたう、青森県の南部地方が舞台となる県南コースをバスでぐるりと巡ります。
「グリーン・ツーリズム」で田舎暮らしを体験してみましょう!
グリーン・ツーリズムとは、農山漁村地域において自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動のこと。普段は触れることのできない暮らしのあり方を知り、体験することで、これからの暮らしのヒントが得られることも!
新幹線の停車する八戸駅からバスに乗り、県南コースのツアーが始まります。窓の外いっぱいに広がる田畑がうっすらと雪化粧をまとい、馬淵川の穏やかな流れに心が癒されるよう。澄んだ空気の中で名久井岳の端正な姿が浮き彫りとなり、南部地方の冬の景色が車窓を彩ります。
南部地方の気候は夏は冷涼な風“やませ”が吹き、冬は晴天が多く、北東北でありながら降雪量が他の地域に比べて少ないため、ウィンタースポーツではスキーよりもスケートが盛んです。
そんな風土のなかで育まれてきた、南部地方ならではの暮らしの知恵や文化を、見たり、聞いたり、食べてみたり。そして実際にやってみたり!地元の人と交流しながら南部暮らしを“体験”していきます。
【南部町】グリーン・ツーリズムの町でスケート・燻製作り体験
南部町では周囲の山々と馬淵川に育まれた豊かな自然を生かし、昔からりんごやさくらんぼなど多くの果樹栽培が盛んに行われてきました。農業体験ホームステイを通して地域のファンづくりをしている、積極的にグリーン・ツーリズムに挑戦している町でもあります。
まず訪れたのは「バーデパーク」のアイスアリーナ。ここではスケートに挑戦します。スケートに初めて挑戦するとき、最初の目標は氷上を歩くことです。そのとき足の動きに合わせてペンギンのように腕をバタバタと振ると、上手に体重を足に乗せ前に進みやすくなり、いつの間にか滑れるようになっていました!
バタバタバタと、リンクにたくさんのペンギンたちが現れました
・名称:バーデパーク
・住所:青森県三戸郡南部町大字苫米地上根岸73-1
・地図:
・電話番号:0178-84-2850
・定休日:第3木曜日
・公式サイトURL:https://www.badepark.jp
スケートを楽しんだあとは外に出て燻製作り体験をしました。なんと手作りの燻製器を使用して60〜80℃で燻す温燻法にチャレンジしていきます。まずは燻製器作りから。
燻製に使う道具。五徳やスキレット、アルミホイルなどほとんどは百均で買えるそうです。
段ボールの隙間をガムテープで埋めて、金網が入るように切れ込みを作ります。
使用するチップは、南部町で育てられたフルーツなどの木の剪定技を使用したもの。リンゴ・サクランボ・ウメ・ブドウの中からひとつを選んだり、好きなものを好きなだけブレンドしてみたり。みなさんチップを手に取り香りを確認しながら自分のお気に入りを探していきます。
食材を並べ、あとは段ボールの中で燻すだけ。温度が上がりすぎた場合は少し隙間を開けて調節します。上手な燻製をつくるポイントは、温度管理と燻製後はすぐに食べてしまわずに養生させることだそうです。
煮卵、ナッツ、チーズを金網に並べます
香ばしい匂いが鼻をくすぐり、期待で胸がいっぱいに。そのうち煙が上らなくなり、チップが真っ黒に炭化したら燻製の完成です。香りが食材に染み込み、味にも深みがでました。
【八戸市南郷】山の楽校で育まれたものとは?みんなで作る「豆しとぎ」
「青葉湖展望交流施設山の楽校(がっこう)」。廃校となった旧増田小中学校の校舎を利用した体験交流施設です。こちらは、100年もの歴史がある地域住民思い出の地とともに、南郷の文化や暮らしを未来へ残したいという地元の人々の強い思いで生まれました。そば打ち、炭火焼きなど充実した体験メニューで地元の人々と交流しながら、田舎暮らしを体験できます。
教室は青葉湖(世増ダム)の湖底に沈んだ集落の資料館となっている
まずは腹ごしらえ。楽校で栽培したソバの実を使った岩渕楽校長(がっこうちょう)の手打ちそばをいただきます。お椀から白い湯気が立ち上り、思わず小さな歓声が。そばのやさしい甘味と香りにほっこり。白くとろりとした舌触りのそば湯もいただけます。
お腹がいっぱいになったところで、「豆しとぎ」作りスタート!
米を潰し粉にして作るもちを「しとぎ」といいますが、「豆しとぎ」はやませの影響で米の収穫が少なかった南部地方で、豆を入れて作る伝統的な郷土のおやつです。
うるかした(水に浸すという意味の方言)豆を固茹でし、すり潰したあと、塩・米粉・砂糖を加えて混ぜ合わせれば完成というシンプルなレシピ。
「膝を使って楽にやりなさいよ」
腕を使って重い杵を振るとすぐに疲れてしまいます。校長のアドバイスを受け、膝を使って上手にリズムに乗りながら杵を落としていくことを意識しました。最初はひと苦労だった作業もコツを掴んでくると楽しくなってきます。臼で粗く潰した豆にフードプロセッサーで細かく潰した豆を加え、そのほかの材料と一緒に混ぜ合わせていきます。
「何事も経験!自由に分かれてやってみて。誰がやるかは任せるから」
そう言われて最初は戸惑ってしまった私たち。そこで率先してリーダーシップをとってくれたのはツアーに参加していたお母さん方でした。初めての豆しとぎづくりのはずなのに、「下からかき混ぜるといいよ」とアドバイスをくれるお母さん方の頼もしさ。最初はうまくまとまらなかった材料も、だんだんとひとつにまとまっていきます。
地元の人々との交流だけでなく、体験学習を通して参加者同士でも交流し、チームワークが生まれた瞬間でした。たくさんの参加者が集うツアーならではの楽しさを味わうことができたと思います。そうして完成した豆しとぎの荒い豆と細かい豆が混ざり食感が面白い!豆だからこその食感です。シンプルな味付けのため豆自体の素朴な甘味も十分に味わえます。
・名称:青葉湖展望交流施設「山の楽校」
・住所:青森県八戸市南郷大字島守字北ノ畑6-2
・地図:
・電話番号:0178-82-2222
・定休日: 月曜日(月曜が祝日の場合は翌日)、年末年始
・公式サイトURL:https://www.yamanogakkou.com
疲れた体に沁みるおもてなし。南部地方のおいしい食材を楽しむ。
さて、南部町に戻り、今夜の宿である「農林漁業体験実習館チェリウス」へ。こちらはフルーツの収穫体験とそのもぎたてフルーツを使ったスイーツ作りを行う「北のフルーツパーラー」などさまざまな体験実習を行っています。