「恋する咲ログ」で世界一周ブログランキング1位を獲得。今や「世界イケメンハンター」として、地球の歩き方Webにてコラムを執筆、講演やラジオ・TV出演などでも活躍する著者の1年8ヵ月の世界一周の旅をまとめたのが、今回紹介する「恋する世界一周(イカロス出版、著:窪咲子)」です。
旅に憧れ、働いて貯めた280万円で世界一周の旅に飛び出した23歳の女の子の世界の、旅の魅力盛りだくさんの一冊です。
「旅女」の先駆けともいえる、著者の女一人世界一周の記録
ブログ「恋する咲ログ」が世界一周ブログランキング1位を獲得、帰国後はメディアへの露出も多い著者。先日は、TBS系列「マツコの知らない世界」に出演するなどと大活躍ですが、本著は著者の世界一周の軌跡を綴った旅行記であり、これから旅に出かける若い女性向けのガイドブック的一冊です。
本著の特徴は、なんといってもその写真の多さ。世界の美しい風景、美味しそうな食べ物、可愛らしい雑貨がこれでもかというくらい紹介されており、旅のワクワク感が否が応でも盛り上がってきます。
冒頭で世界のお祭り、習い事、マーケット、美容が一堂に
本著で面白いなと思ったのが、冒頭で紹介されている世界のお祭りや習い事、マーケット、美容、マクドナルドの紹介です。
お祭りやマーケット、美容は単純に「へぇ、そうなんだ」という新たな発見だったり、旅女に興味のある情報なのでしょうが、あるテーマで世界を斬ることで、その土地土地の個性が見えてきます。
なかでも、「世界のマクドナルド」は、その国のオリジナリティや宗教などがハンバーガーを通じて垣間見られます。日本の「テリヤキバーガー」や「月見バーガー」を外国人が珍しそうに食べている逆のイメージですね。
著者の面白エピソードが旅への想いを掻き立てる
色とりどりの写真が豊富な本著ですが、著者の面白エピソードもたくさん紹介されています。私が印象に残ったのは、ラオスでの恐怖のVIPバスの話とドバイでの豪華な誕生日の話です。
私自身、タイに3年半住んでいて著者同様ラオス・ビエンチャン行きのバスでえらい目に遭った経験があるので「あぁ〜、ある。ある。」「VIPなのにぜんぜんVIPじゃないよねぇ」と共感。懐かしく思い出しました。
一方、ドバイはいつか行ってみたい場所ということもあり、その豪華さに羨ましく読みました。23歳の女の子ならではの感性で綴られたエピソードから、著者が旅で楽しんでいる様子が浮かんできます。
美味しい、かわいいだけじゃない。アウシュビッツで見た戦争の悲劇
美味しい、かわいい情報が盛りだくさんの本著ですが、本著ではポーランドの章で「アウシュビッツで何が起きたのか……」という、著者がアウシュビッツを見て感じた様子が5ページに渡り綴られています。
海外を旅すると、世界には戦争の足跡があり、貧困があり、宗教とその対立が数多くあることを実感します。
時には、そういったものに真正面から向かい、自分なりに考えてみるのも大事なことです。こうした経験も、旅から得られる大きな財産ですよね。
これから旅立つ女性必見の巻末「女子旅アドバイス」
本著の巻末には「女子旅アドバイス」という、著者自身が世界を回って感じた旅のノウハウや注意点、楽しむポイントが紹介されています。
「どこでも安定の中華料理」や「ユニクロ最強説」といった鉄板ネタから寒さや日焼け対策、お洒落アイテムなど女の子に役立つ情報が盛りだくさん。旅先が複数で長期間の旅をするうえで参考になるモノばかりです。
個人的に意外だったのが「オリジナル名刺」。
旅先で出会った人との連絡交換にブログやSNSのアドレスを名刺にしているそうです。海外では街中にコピーや印刷の業者もたくさんありますし、日本らしいデザインの名刺は現地ウケするのも納得です。
まとめ
海外生活の経験はあっても、1年8ヵ月の期間にわたり世界を巡る旅というのは、自分にとって実感のわかない旅のスタイルでした。
「世界一周」「女一人旅」「1年8ヵ月」……確かにこれだけ見ると、「大変そう」「私にはムリ」と躊躇してしまう人もいるかもしれません。
しかし、本著を読み終えた感想は「著者はとても軽やかに、楽しそうに世界を巡っている」というものでした。旅先の至る所で写真に写る現地の人、子どもたちの笑顔が、旅したいという気持ちを掻き立てる一冊です。