時代と共に変わりつつあるベドウィンの生活
アブドルの家から車で15分くらい走った小高い山頂で、ぼくらはキャンプをしました。
最初のころはみんなノリノリな感じでしたが、日も沈むころになるとしっぽりした雰囲気になり、アブドルが現代のベドウィンが置かれている状況について、その複雑な心境を語ってくれました。
かつては共に生きるパートナーであったラクダやロバが「観光客用のペット」になっていること、
遊牧生活では生計を立てるのが難しいという実情、などなど。
たしかにぼくが初めて彼らベドウィンと会った時、マイホームを持っていたり、ペトラ遺跡でガイドしていたり、海外留学を目指していたり、遊牧以外のことをたくさんしていて、ぼくがイメージする「遊牧民」とのギャップを感じましたが、誰よりも彼ら自身が、そのギャップに悩んでいたんです。
その中でも特に印象に残っている話が、「ぼくら遊牧民が原始的な存在だと勘違いしている人がたくさんいるのが残念」と言ってたこと。
たしかにアブドルが「Facebook交換しよ!」と言ってきたときに、一瞬「Facebookやってるん⁉︎ てかスマホ持ってるやん!」と思った自分がいました。
世界中だれでもスマホを持っていてもおかしくない時代に生きていながら、心のどこかで「遊牧民や古くからの部族は現代の生活からは離れている」という考えを持っていたのかもしれません。
多分この考えは「日本ではいまだに侍がいる」と思うくらい見当違いなことなんでしょう。
それでも彼らの生活を覗いてみると、古き良き伝統も垣間見えるので、うまく文明を取り入れながら自分たちの伝統を大切にしていることがよく分かりました。
ぼくら日本人も彼らから学ぶことがたくさんありそうですね!
遊牧民が教えてくれたこと
All photo by Taiki Sakaguchi
「良い意味で世界は同じになってきた」今回ベドウィンの人たちの生活におじゃまして、そう感じました。
iPhoneを持っているからSNSで繋がれる
アブドル一家とは現在もメッセンジャーでトークしています!(なぜかアブドルの彼女とも)
海外留学や就職などグローバルな視点を持っているから共通の話題がたくさんある
日本に留学する予定のアブドルに、日本の大学生活や若者言葉(卍、あげぽよ…ect)、休日の過ごし方を教えました。
ネット普及によって各世界の文化が想像以上に浸透し合っている
ヨルダン地域のベドウィンの間では、「ドラゴンボール」と「ドラえもん」が人気という意外な発見もありました。
日本から遠くはなれた地にまで、日本のポップカルチャーが浸透していました。
チェーン店等により、“世界の味”をどこでも食べられるようになっていた
ベドウィンの彼らもマックやケンタッキーは行くそうです。メニューはハラルを取り入れたオリジナル仕様です。
…と、このように遊牧民といえどもぼくたちと何ら変わらない部分がたくさんあったんです。
世界中どこでも同じようになることは、良いことばかりではないかもしれませんが、少なくともぼくが出会ったベドウィンの彼らは、便利なものはしっかり取り入れながらも自分たちの伝統や文化を大切にしていました。
こうしたところは教科書やネット、テレビを見るだけでは分からないし、自分自身で「気づいて学ぶ」ことに大きな意味があると思います!
これから旅に出るみなさんも、ぜひこうした世界の広さと深さ、何よりその意外性を見つけ、普段とはちがう視点の旅も楽しんでみてください!!