これまで15か国以上を旅してきた、と言うと「どこがおすすめ?」と聞かれることがある。
どの場所も思い出深いので決めるのは難しいのだが、せっかく質問してもらったのだから相手が想像していないような場所を答えよう、と思って挙げるのがハンガリーの首都・ブダペストだ。
国会議事堂や王宮などの歴史的建造物は見ごたえがあり、「ドナウの真珠」と呼ばれるドナウ川沿いの夜景は涙が出そうなほど美しかった。
おまけに温泉もあるし、名産であるフォアグラも安く食べることができる。観光地としてあまり知名度が高くないのか、パリなど他のヨーロッパの都市と比較すると観光客が少なく、ゆっくりと見て回れるのも嬉しいポイントだ。
こんなに魅力的な街なのにもかかわらず、私が調べた範囲ではガイドブックでブダペストを扱っているものは多くなかった。今回は、そんな「隠れた名所」である(と私が勝手に思っている)ブダペストの魅力をご紹介したい。
見出し
ブダペストってどんな街?
ブダペストはハンガリーの首都で人口は167万人ほど。街の真ん中をドナウ川が流れ、左岸には王宮があるブダ地区、右岸は繁華街や中央市場があるペスト地区とに分かれている。
残念ながら日本からの直行便はない。お隣の国、オーストリアの首都ウィーンからは飛行機で約45分、鉄道でも3時間弱で行くことができるので、ウィーンとあわせて観光するのもおすすめ。ちなみに私はチェコ→オーストリア→ハンガリーの順に3か国を周遊した。
ブダペストのおすすめスポット
ドナウ川の夜景
ブダペストを訪れたら絶対に見てほしいのがドナウ川沿いの夜景だ。ブダ王宮や国会議事堂など歴史ある建物がオレンジ色に統一された光で照らされた姿は、東京のような大都会の夜景とはまったく違う控えめな美しさがある。これまで旅行に行く度に夜景スポットを訪れてきたが、もしかしたらブダペストが一番感動したかもしれない。
ライトアップされた国会議事堂
クルーズ船も運行しており、私はこれを利用してマイナス2度の寒空の下1時間デッキに出たままひたすら美しい景色を味わっていた。寒すぎて耳がちぎれそうだったけれど、その寒さと感動のおかげで忘れられない思い出になっている。
ガイドブックでは「ウィーンから日帰りで行ける場所」として紹介されることも多いブダペストだが、ぜひとも一泊以上してあの夜景を見てもらいたい。
■クルーズ情報(日本語版)はこちら
【ブダ地区】王宮の丘周辺
ブダ地区の見どころはブダ王宮と周囲に点在するマーチャーシュ教会、漁夫の砦などの建造物が点在する「王宮の丘」だ。高台にあるので見晴らしがよく、ドナウ川とペスト地区の風景を見下ろすことができる。
ブダ王宮
緑色の丸い屋根がかわいらしいブダ王宮。中には美術館と博物館があり、ハンガリーの歴史や文化、美術を知ることができる。お土産ショップも併設されていて、ここでしか買えないグッズがたくさんある。
13世紀にハンガリー王のベーラ4世によって建造されたのが始まりで、二度の世界大戦で壊滅的な被害を受けたが1950年代に修復されて現在の姿になったのだそう。
・名称:ブダ王宮(ブダ城)
・住所:Budapest, Szent György tér, 1014
・地図:
・アクセス:地下鉄2番Batthyány tér(バッチャーニ広場)」駅から徒歩15分 または バス系統 16,16A,116番「Disz ter(ディース・テール)」から徒歩5分
・営業時間:施設により異なる
・定休日:施設により異なる
・公式サイトURL:https://budavar.hu/budai-var/
マーチャーシュ教会
オレンジ色を基調としたモザイク屋根がとても綺麗なマーチャーシュ教会。私が行った日は晴れていたので青空によく映えていて何枚も写真を撮ってしまった。内部にはフレスコ画が描かれていて、ステンドグラスから光が差し込む様子が印象に残っている。
柱から天井まで装飾がびっしり
・名称:マーチャーシュ教会
・住所:1014 Budapest, Szentháromság tér 2.
・地図:
・アクセス:地下鉄2番Batthyány tér(バッチャーニ広場)」駅から徒歩15分 または バス系統 16,16A,116番「Disz ter(ディース・テール)」から徒歩5分
・営業時間:09:00~17:00(月-金)、09:00-13:00(土)、13:00-17:00(日)
・定休日:不定休
・料金:1500HUF
・公式サイトURL:https://matyas-templom.hu/en/
漁夫の砦
漁夫の砦は、歴史的な城壁を利用した眺望スポットだ。かつて城壁を守ったのが漁師だったことからその名前が付いたらしい。
登ってみるとブダペストの街が一望できていつまでも見ていたくなる。ちなみに数段高いところに有料エリアもあり「せっかくなら」と思って行ってみたが、無料エリアでも充分美しい景色を楽しめると感じたので、ご参考までに。
ドナウ川とペスト地区が一望できる
・名称:漁夫の砦
・住所:1014 Budapest, Szentharomsag ter, Budapest
・地図:
・アクセス:地下鉄2番Batthyány tér(バッチャーニ広場)」駅から徒歩15分 または バス系統 16,16A,116番「Disz ter(ディース・テール)」から徒歩5分
・営業時間:09:00~19:00(3月16日-4月30日)、09:00~20:00(5月1日-10月15日)
・定休日:不定休
・公式サイトURL:https://budavar.hu/halaszbastya/
【ペスト地区】国会議事堂
ペスト地区でぜひ見てほしいのは国会議事堂。ハンガリーの歩みを象徴すべく、クラシック、ゴシック、ルネサンス、バロックなどさまざまな様式を組み込んだ独特な雰囲気を醸し出している。
外観が美しいのはもちろんだが、ガイドツアーに参加して内部を見学したところ、「ほんとにここが国会議事堂なの?!」と驚くばかりの豪華な品々や、ハンガリーの歴史を表した装飾など見ごたえたっぶりだった。内部はガイドツアーでないと見ることができないので、ぜひ参加してみては。
ちなみに私は国会議事堂の外観に魅了され過ぎてブダペストに滞在していた3日間毎日行ってしまった。ライトアップされた姿もとてもきれいなので、夜もおすすめ。
・名称:国会議事堂
・住所:1055 Budapest, Kossuth Lajos ter 1-3
・地図:
・アクセス:地下鉄2番(M2)「kossuth lajos tér(コシュート・ラヨシュ広場)」駅から徒歩2分
・営業時間:08:00~18:00(4月-10月)、08:00~16:00(11月-3月)
・定休日:不定休
・料金:13000HUF
・公式サイトURL:http://parlament.hu/web/visitors
【ペスト地区】聖イシュトバーン大聖堂~ヴァーツィ通り
聖イシュトバーン大聖堂は、キリスト教を国教に定めたハンガリー初代国王のイシュトバーンを祭っている。
こちらにはなんと聖イシュトバーンの右手のミイラも展示されていて、ガイドツアーに参加すれば見ることができる。私は怖くて参加を見送ったのだが、興味のある人はぜひその目で確かめてみてほしい。
・名称:イシュトバーン大聖堂
・住所:Budapest, Szent István tér 1, 1051
・地図:
・アクセス:地下鉄1番(M1)「Bajcsy-Zsilinszky(バイチ・ジリンスキ)」駅から徒歩5分
・営業時間:09:00~19:00(月-土)、07:45~19:00(日)
・定休日:不定休
・公式サイトURL:https://bazilikabudapest.hu/
聖イシュトバーン大聖堂の目の前にあるのがヴァーツィ通り。ここはブダペスト一の繁華街で、レストランやカフェなど色々なお店が並んでいる。建物の建築様式もさまざまで歩いているだけで楽しい。夜になるとレストランのテラス席で食事やお酒を楽しむ人たちであふれ、いっそう賑やかになる。
夕暮れ空にオレンジ色の光が灯るとグッとロマンチックな雰囲気に
かといって歩けないほどの混雑になることもないので、ぶらぶして気になったお店に入ってみる、というのも楽しい。
【ペスト地区】ハンガリー国立歌劇場(オペラハウス)
1884年に造られたネオ・ルネッサンス様式の建物。オペラハウスというと、じつのところウィーンの方が有名で、確かにウィーンのオペラハウスもとてもきれいなのだがブダペストも負けていない。
天井まで豪華絢爛
私はガイドツアーに参加して内部も見学したのだが、天井の装飾やホール内の音の響き方など色々知ることができ、最後にミニオペラも観劇できて大満足だった。オペラを見るのはちょっと敷居が高いかも……と思う人には、ガイドツアーをおすすめしたい。
・名称:ハンガリー国立歌劇場(オペラハウス)
・住所:Budapest, Andrássy út 22, 1061
・地図:
・アクセス:地下鉄1番(M1)「Opera(オペラ)」駅からすぐ
・営業時間:日によって異なるため施設にご確認ください
・公式サイトURL:https://www.opera.hu/hu/
次の旅先候補に、ぜひブダペストを!
ブダペストは街並みがとにかくきれいで、歩いているだけでまるで絵画の中に入り込んだような気持ちになる、素晴らしい場所だった。
また、紹介した以外にも、温泉やトカイワイン、パプリカがふんだんに使われたハンガリー料理など、魅力がたくさんある。私は3泊したけれど飽きることはなく、むしろ「もっとここにいたい!」と思ったほどだった。そんなブダペスト、次の旅先候補にぜひ加えてみてはいかがだろうか。
All photos by Misato Sakaguchi