ライター

オーストラリアワーキングホリデー2年(パース/ゴールドコースト)|中央ヨーロッパロードトリップ|宮古島リゾートバイト|北半球地球一周の船旅|など気の向くままに住所不特定生活を約6年間続ける。現在はスイスフランス語圏在住。 好きなことで自分を囲み続ける人生を日々追求中☀️

Burghotel Auf Schoenburgホテルのパーキングからの城の眺め
ドイツには数百年の歴史を誇る名城・古城が多く、数十から数百もの古城ホテルが点在すると言われている。

かつて王侯貴族が住んでいたお城を改装した古城ホテルへの宿泊は、ドイツ旅行ならではの体験だ。

しかし城として機能していたことから、そのロケーションは決してアクセスがいいところばかりではない。

そんな中でも今回ご紹介したいのは、比較的アクセスがしやすく、1000年以上の歴史を誇る壮大な古城ホテル「ブルクホテル アウフ シェーンブルク(Burghotel Auf Schoenburg)」

ドイツのオーバーヴェーゼルという町にあり、歴史ある石造りの城壁、ライン川を見渡せる景観、そして中世ヨーロッパのラグジュアリーな内装に囲まれた空間は「非日常」という言葉を超え、まるでタイムスリップでもしたかのような感覚になる。

歴史と背景

ブルクホテル アウフ シェーンブルクホテルの壁にかけられた絵のひとつ。丘の上に佇むのがシェーンブルク城

シェーンブルク城が建てられたのは10世紀ごろ。

神聖ローマ帝国ライン川流域を守る要塞の一つとして高台にそびえ立ち、交易ルートを監視する役割を担っていた。しかし、17世紀の三十年戦争(1618–1648)では幾度も攻撃を受け、大きな被害を受けた。そして1689年のプファルツ継承戦争の際に、フランス軍の侵攻によって城は完全に破壊され、以降約200年間にわたり廃墟となった。

その後長らく廃墟として眠りについていたが、19世紀末に再建され、20世紀中頃には宿泊施設として運営がはじまった。

現在のブルクホテルは、歴史を尊重した修復と現代的な快適さの融合によって唯一無二の魅力を放つ。

たくさんの魅力が詰まったこのホテルの滞在では、休息目的だけでなく、まるで中世の貴族にでもなったかのような高揚感に浸ることのできる「非日常体験」を丸一日かけて存分に楽しみたい。

古城ホテルの魅力6選

1.独自性のある客室



ブルクホテルでは全客室が、それぞれ異なるテーマをもとにデザインされている。

24室のみの客室は当時のままの間取りが取り入れられており、アンティーク家具や中世風の装飾が施された部屋は、それぞれが小さな歴史博物館のよう。中世の貴族が過ごしたような生活を彷彿とさせる。

今回宿泊したのは、決して大きくはないけれど天窓付きのベッドや窓からの景色が素敵な一部屋。

ブルクホテル アウフ シェーンブルク
各部屋には無料のミニバーやウェルカムドリンクのシェリー酒が用意されている。部屋に着いてすぐに窓際でまず一杯。

兵士モチーフの鍵や、宝の地図のように記された敷地マップ、ライン川の景色を独占できるプライベートバルコニーや本棚が隠し扉になったバスルーム付きと、部屋の中だけでも冒険心をくすぐられる。

荷物をすぐに置いてそそくさと外に出るのが惜しいくらい特別な空間が個々の部屋に広がっているのだ。

2.豊かな自然に囲まれた高台からの景観

ブルクホテル アウフ シェーンブルク
ブルクホテルでは敷地内の至る所から眼下に広がる景色を一望できる。

花が咲き乱れる春、緑の生い茂る夏、紅葉の秋、白一面の冬

季節ごとに表情を変える景色は、通年して訪れる旅行者を魅了し続ける理由のひとつである。

3.静けさと癒しの庭園散策

ブルクホテル アウフ シェーンブルク
ホテル周辺には、手入れの行き届いた庭園がある。城内だけでなく庭園までも歴史的な雰囲気を壊さないように工夫され、まるで絵本に入り込んだかのようなロマンティックな気分にさせてくれる。

ホテル滞在者のみがこの庭園を自由に楽しめるため、プライベート感があるのも嬉しいポイント。事前にホテルへ相談すればピクニックやティータイムも楽しめるようだ。

とても静かで、鳥のさえずりや風の音だけが聞こえる穏やかな空間。

携帯電話なんて全くなかった時代。そんな時代のようにベンチやガゼボ(西洋風の東屋)で読書や瞑想をしたり、喧騒から逃れた自然の静寂が味わえるのがこの庭園の最大の魅力だ。

4.地元の旬の食材をいただく

贅沢な景色と旬の地元食材を使ったサンセットディナー

ブルクホテル アウフ シェーンブルク
城周辺の散歩をしてお腹を空かせたら向かうのは城内にあるホテルのレストラン。ホテルへ到着してからディナーの案内があるので、その場での予約も可能。

ライン川を横目に、テラス席で地元ライン地方の旬の食材を活かしたコース料理を楽しことができる。

食前酒から始まり、おしゃべりと料理を堪能しながらゆっくり時間をかけて食事をするのはヨーロッパならでは。

特に夕暮れ時の川面に反射するオレンジの光と、緑豊かな谷のコントラストが美しく、美味しい食事時間をいっそう忘れられないものにする。

優雅な朝食の時間

ブルクホテル アウフ シェーンブルク, 朝食
朝食でも地元の食材を使ったフレッシュなメニューが揃う。鳥のさえずりや川のせせらぎを聞きながら優雅な時間が過ごすことができる。

案の定、私は寝坊をしてしまい急いで朝食をいただいたが、本来ならば、朝のウォーキング後、コーヒーとオレンジジュースを飲んで、胃が起きてきた頃に朝食を食べるーーなんて優雅な時間を過ごしたかったものである。

ぜひとも普段より早起きをして静かな朝のゆっくりとした時間を過ごすことをお勧めしたい。

普段とは異なる行動パターンは、旅行をより記憶に残る体験にしてくれるはず。

ブルクホテル アウフ シェーンブルク

5.こだわりの詰まった内装

ブルクホテル アウフ シェーンブルク暖炉のあるロビー
シェーンブルク城の魅力は、城内にいるだけでも十分に伝わってくる。

中世の要塞をそのまま残した石壁、歴史的な雰囲気をかもす回廊、中世の空気をそのまま息づかせるアンテークな内装、そして静寂の中で感じる時間の流れ。その一つひとつが非日常な空間をつくり出している。

ホテルが主催する城内ツアーでは、シェーンブルク城の歴史をガイドから直接聞くことができ、展示されている中世の鎧や武具、家具を通して、中世ヨーロッパの生活をより深く知ることができる。

貴族たちが生きた時代に思いを馳せる時間が広がる。

ブルクホテル アウフ シェーンブルク, 中庭ホテルの中庭
ただ城内をのんびり歩き回ったり、夏はライトアップされたロマンティックなテラス、冬には暖かい暖炉の前で地元ワインをいただき読書をする、なんて楽しみ方もおすすめ。

城の隅から隅までがフォトジェニックで、中世の魅力的な背景で写真を撮り旅の思い出を形にするのもこの内装だからこそできる楽しみ方の一つ。

6.周辺地域の散策

ブルクホテル アウフ シェーンブルク
ホテル全体を楽しんだら今度は周辺地域の散策へ。

ユネスコ世界遺産にも登録されているライン渓谷の中心に位置するブルクホテルは、ホテルを拠点に、ライン渓谷でのハイキングやライン川クルーズで川沿いの点在する他の古城や村々、ワイナリーを訪れたりと、自然と歴史が調和した景観を楽しみながら、中世ヨーロッパの歴史と風景を肌で感じられる体験ができる。

ホテルから最寄りのクルーズ乗り場であるオーバーヴァーゼルの桟橋までは徒歩5分とアクセスも良好で、クルーズ料金は区間や所要時間にもよるが、10-20ユーロほど。

この土地での宿泊を最大限に楽しむためには滞在時間や日数に余裕をもつことをおすすめしたい。

■詳細情報
・名称:Burghotel Auf Schönburg Oberwesel
・住所:Auf Schönburg, 55430 Oberwesel, Germany
・地図:
・アクセス:車→フランクフルトから約1時間半(約70km) 鉄道→オーバーヴェーゼル駅からタクシーまたは徒歩約20分
・電話番号:+49 6744 93930
・オススメの時期:春〜初夏
・公式サイトURL:hotel-schoenburg.com

自分だけの物語を紡ぐ旅

ブルクホテル アウフ シェーンブルクは、単なる宿泊施設ではない。

中世ヨーロッパの生活や文化を体感できる「生きた博物館」であり、「時間と空間を超えた旅」の経験ができる。

中世の貴族が過ごした時間に思いを馳せる時間

ドイツの自然と歴史に浸るひととき

誰かと共に紡ぐ物語の場所

考え事や物思いにふける贅沢な孤独の時間

観光地を駆け足で巡る消費的な旅ではなく、過ごし方によって個性の出る楽しみ方ができるこのホテルの宿泊体験は、まさに自分だけの物語が紡がれる旅体験になるだろう。

ドイツへ行くことがあればぜひ足を運んでほしい私の偏愛ホテルだ。

All photos by saeno okuyama

ライター

オーストラリアワーキングホリデー2年(パース/ゴールドコースト)|中央ヨーロッパロードトリップ|宮古島リゾートバイト|北半球地球一周の船旅|など気の向くままに住所不特定生活を約6年間続ける。現在はスイスフランス語圏在住。 好きなことで自分を囲み続ける人生を日々追求中☀️

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