中国地方には起源もはっきりしないような古いお祭りもありますし、戦後、市民の間から出てきた新しいお祭りもあります。生活に根付いたそれらのお祭りの中からぜひ訪ねたいものをご紹介しましょう。
石見夜神楽
石見夜神楽は島根県西部の、石見と呼ばれていた地域に伝わる神楽です。江戸時代には神職によって神様に奉納されていましたが、明治政府によって神職の演舞が禁止されたことで里神楽として土地の人々に受け継がれました。
益田市では4月~8月、12月~3月の土曜日に公演がありますが、演目は古事記や日本書紀をもとにした物語や羅生門の鬼退治など多彩です。石見神楽は荘重で典雅な言葉に方言的表現がないまぜになった独特の詞章は里神楽には珍しいものです。
西大寺会陽
岡山県の西大寺で2月に行われる「会陽」は裸祭りの名で知られています。奈良時代に新年の大祈祷の結願の日に信者に守護札を授けるのに、希望者があまりに多く頭上に投与したところ奪い合いになったことから始まっています。
守護札は宝木に姿を変え、手にした者は福を得ると言われ、まわしだけになった9000人の男たちは水垢離を取って身を清め宝木の争奪戦をします。女たちも白衣に身を包んで水垢離をし、「会陽太鼓」を打って男たちを鼓舞します。
金魚ちょうちん祭り
山口県柳井市ではお盆に帰省する人々を、伝統の民芸品で迎えようと8月13日に金魚ちょうちん祭りを行います。街中を彩る民芸品の金魚ちょうちんは約4000個にもおよび、夜になるとほのかな灯りが街を幻想的な雰囲気にします。
また、白壁の町並み一帯では「金魚ねぶた」が「ラッセラー、ラッセラー」の掛け声とともに練り歩き、金魚ちょうちん踊りが祭りの雰囲気をいっそう盛り上げます。
とうかさん
とうかさんというのは、広島市の円隆寺の総鎮守である稲荷大明神の祭りです。6月初めの週末の3日間、円隆寺の境内は8万人もの人々であふれ、稲荷大明神の御神体もこの3日間だけ御開帳されます。