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さとみん 憧れの男性はロバート・ラングドン教授

歴女の旅好き。レオナルド・ダ・ヴィンチの追っかけ。 幼少時ドイツに住んでいた際に、両親の影響で旅×歴史に夢中に。古代オリエント史と美術史が好き。いつか古代オリエントの舞台を一気に回るのが夢。憧れの男性はダン・ブラウンが生み出した、ロバート・ラングドン教授。

二つの心に一つの魂 / ロベルト&クララ・シューマン夫妻(ドイツ・デュッセルドルフ)

photo by Shutterstock

欧州統一通貨・ユーロになる以前の、ドイツの通貨の呼び名を覚えておりますでしょうか。ユーロになる以前のドイツの通貨は「マルク」。そしてその100マルク札には美しい女性が描かれていました。

彼女の名前はクララ・シューマン。19世紀に活躍した、ドイツ出身の世界で初めて「ビアニスト」を職業とした女性です。

 

クララは1819年ドイツのライプツィヒで生まれ、ピアノ教師の父親のもと5歳でピアノを始めます。12歳の頃には演奏旅行をする腕前となり、聴衆のみならず各国の著名人、音楽家、時の皇帝を虜にします。

同時代を生きたピアノの詩人・ショパンも、自分の練習曲を弾ける唯一のドイツ人女性と絶賛しました。ピアノ教師の父親の生徒の中には彼女の未来の夫、ロベルト・シューマンもいました。

 

当時彼は法律を勉強する学生でしたが、ピアニストになるために猛練習をしていました。しかし厳しい練習のおかげで指を痛めてしまい、ピアニストの夢は諦め作曲家になることを決意します。

皆さんは宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」を覚えていますか?彼が一生懸命練習をしていた「トロイメライ」、その曲はこのロベルト・シューマンの作品です。

photo by pixta

クララが16歳になった時に、25歳のロベルトと恋人同士になりプロポーズ。しかし、この交際と結婚にクララの父親は猛反対します。確かに彼もロベルトの音楽の才能は認めておりましたが、収入が不安定な事と、精神が不安定で傷つきやすい性格を懸念したのです。

クララの父は二人を引き離し会えないようにしますが、一度燃え上がってしまった恋の炎は誰にも消すことかできません…!クララはピアニストとして励む中で、演奏会ではロベルトが作曲した曲を演奏し、またロベルトも作曲に打ち込み続けます。

二人は交際を認めない父親に対して、ついに裁判を起こします。1840年、一年に及ぶ裁判でついに勝利し、ロベルトは30歳、クララは20歳でついに結婚します。

 

夫妻はドイツ国内を演奏旅行などで転々と移り住みますが、1850年にロベルトがデュッセルドルフの市民音楽団の音楽監督となったことにより、デュッセルドルフに移り住みます。

この時には二人とも音楽家としての名声を集め、彼らの住まいにはフランツ・リストなど数多くの音楽家や他分野の芸術家が集まりました。

 

8人(!)の子供にも恵まれて幸せの絶頂の中、父が恐れていたことが現実となります。作曲家として認められてきたものの、少しずつロベルトは精神を病み始め、幻聴やひっきりなしの震えに襲われます。1846年には幻聴や耳鳴りのため、作曲すらできなくなってしまいます。

ロベルトは精神病院に自ら入院することを選びますが、入院前に自らデュッセルドルフの自宅から雨の中歩き、ライン川に飛び込み、入水自殺を図ります。

photo by robert.linden

無事命は取り留めたものの結局ロベルトは精神病院へ入院し、クララは「患者が興奮状態に陥る可能性がある」と面会は許されず、ようやく面会が叶ったのはロベルトが亡くなる2日前のことでした。

クララは36歳で未亡人となりましたが、精力的に演奏会を開き、必ずロベルトの作品を一曲は演奏していました。彼女はひたむきに夫を愛し、一人の名もなき青年だったロベルト・シューマンを後世に語り継がれる作曲家として送り出しました。

クララは76歳でこの世を去りますが、「二つの心に一つの魂」と呼ばれた二人は同じお墓に入り、40年の時を超えて再び一緒になることができました。デュッセルドルフのBilkerstrasse(ビルカーシュトラーセ)には二人が暮らしたアパートがまだほぼ完全な状態で残っています。

 

そして、デュッセルドルフで育った私個人としては、今では高級店が立ち並ぶショッピング街ですが、二人が2番目に暮らした家があったKonighsalley(ケーニヒスアレー)を是非歩いて欲しいなと思います。

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通りの間を流れる川と、周りを彩る木々の緑が街の中心部であることを忘れてしまいます。(有名なバウムクーヘンのお店・Heinemannもこの通りにあります。)

そして二人も並んで歩いたであろうライン川。

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ロベルトは「交響曲ライン」と名付けた力強く、美しい曲を作り上げました。まさにアルプスから北海に注ぐ雄大なラインの流れを想起させる曲だと思います。

クララにはロベルトが、ロベルトにはクララがいたからこそ、素晴らしい芸術が生れ、そしてどんなに辛いことがあっても、幼い頃からたった一人の人を愛し続けた二人の姿は今でもドイツ国民に愛され続けています。

 

名曲に秘められた数々のドラマ

素晴らしい音楽には数々のドラマが隠れています。どの曲にも作曲家達の苦悩、涙、そして愛に溢れています。だからこそ何百年経っても世界中の人々の心を揺さぶり続けているのでしょう。

彼らの思いを感じ取りながら、是非町歩きを楽しんでみてください。

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さとみん 憧れの男性はロバート・ラングドン教授

歴女の旅好き。レオナルド・ダ・ヴィンチの追っかけ。 幼少時ドイツに住んでいた際に、両親の影響で旅×歴史に夢中に。古代オリエント史と美術史が好き。いつか古代オリエントの舞台を一気に回るのが夢。憧れの男性はダン・ブラウンが生み出した、ロバート・ラングドン教授。

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