こんにちは、TABIPPO編集部です。2020年10月12日に締め切った、「#私たちは旅をやめられない」コンテスト。たくさんのご応募ありがとうございました!
募集時にクリエイターの方々の作品例を掲載しておりました特集にて、受賞作を順次掲載する形で発表させていただきます。
それぞれの旅への思いが詰まった素晴らしい作品をご紹介していきたいと思います。ぜひご覧ください。
今回はTRAVELERS賞に輝いた、sakuraさんの作品『ひとりでサハラ砂漠に立った日』をご紹介します。
sakuraさんには、イーエフ・エデュケーション・ファーストより「オンライン英会話チケット『EF English Live』3ヶ月分」が贈られます。それでは、作品をお楽しみください。
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砂の海が波打ち、けれどその波は動かない。まるで、時間が止まったようだった。
いつかこの目でサハラを見たい。
そう願うようになったのは、もういつからかわからない。
どこかで見た、圧倒的に美しいサハラ砂漠の映像が、忘れられなかった。本屋で偶然、サハラ砂漠が表紙の雑誌を見かけた。その前を通り過ぎようとしても、動けない自分がいた。
これを興味と呼ぶのか、わからない。けれどもうその頃には、旅をしてきた直感を信じられる自分になっていた。
「ここに行く」
根拠のない確信が、もう芽生えていた。
しばらく仕事が忙しく、長期休みがとれたのは、転職のために仕事を辞めたときだった。実に5年ぶりの海外ひとり旅に選んだのは、初めてのアフリカ大陸、モロッコ。いつかの直感が確信となり、確信は現実になった。
11日間に及ぶ大冒険。
見慣れない文字と服装、世界一の迷路都市と名付けられた職人街。英語さえも通じないタクシー。初めて目にした、イスラム教の繊細で壮観な歴史的建造物。初めて耳にした、街中に大音量で響き渡るコーラン。常に香る複雑な匂いと、40度近い灼熱の太陽。
眼に映るもの、五感で感じるすべてが刺激的で、ずっとドキドキしていた。拭えない大きな不安さえも抱きしめて、わたしは11日間、旅をした。
夢に見続けたサハラ砂漠は、地球と違う惑星に降り立ったかのような異世界で、写真で見たものと、同じだけれど全然違った。
朝日に照らされる砂漠と風紋は、この世の景色とは思えない美しさで、静かすぎる世界には、風の音とラクダが砂を踏む音しか、存在しなかった。
夕日が作りだすシルエットは、世界中の人に見てほしい絵画のようで、夜は人生で間違いなく1番の、果てが見えない星空だった。
雑誌ともちがう。テレビともちがう。この足で訪れなければわからない、熱さと匂いがそこにあった。
もしもう一度、あの場所に立てたなら。
あの圧倒的な異世界を、人はどう感じるのだろう。どんな言葉でその感動を、表現するのだろう。やわらかい一面の砂漠に寝そべったら、どんな感情を抱くのだろう。
あの壮大なアトラス山脈を超える道の先に、何を期待し描くのだろう。
そうだ、次は、大切な人と訪れたい。
同じ旅は存在しないから。ひとりの時とはちがう世界を、あのサハラ砂漠はきっと、見せてくれる。
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「#私たちは旅をやめられない」特集でその他の作品も掲載中!
「#私たちは旅をやめられない」特集では、コンテストの概要、旅を愛するクリエイターの作品、TABIPPOメンバーの作品、そしてコンテストの受賞作を掲載しています。
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