みなさん、今年の年越しはどこでする予定だろうか?
地元に帰省して家族と、友人と飲みながらワイワイ、あるいはカウントダウンイベントや海外で盛大に祝う人もいるだろう。
去年の僕は香港のヴィクトリアハーバーでカウントダウンイベントに参加して年越しをした。香港経済新聞によると約48万人が沿道に集まるほどの規模だ。
ニューイヤーの花火
ちなみに自身の海外での年越しは初めて。なんなら日本国内のカウントダウンイベントにすら行ったことがない。大抵は家族や友人と飲み明かし、年越しの記憶も曖昧なほど。
また、普段から人混みは苦手なので大規模なイベントには行かないほどのイベント初心者で、もちろん下調べも場所と時間程度。そんな人間が実際に経験した模様を紹介したい。
見出し
明るいうちから想像以上の人混み
当初の予定では昼に香港に到着し、宿に荷物を預けてから食事や観光を済ませてから場所取りに行こうというものだった。しかし中心地に足を運んだ瞬間にそんな悠長に過ごしている場合じゃないと悟る。
人で溢れる尖沙咀の交差点
交差点には歩行者を誘導する警官が立ち、歩道は簡単に進めないほどの人で溢れかえっている。とても満足に観光ができる状態ではなく、どこへ行っても人だかり。なんせ約48万人が集まるため、香港在住の人はもちろん世界各地から来た人たちがいるのだ。
ショッピングモールへ入るも人だらけ。色々カウントダウンを過ごす場所の候補を下見していたが、夕方の時点で場所を確保しないと危ういと感じた。時間にすると午後6時前で、下調べでは午後9時ごろからエリアの規制があると見込んでいたため、まだ準備もできていない状態でここからカウントダウンまでの長い道のりが始まる。
午後5時前ですでに動けないほどの人だかり
諦めたら、譲ったら……そこで終了な待ち時間
今回の場所取りの場所は、九龍側のヴィクトリアハーバーが目の前のクルーズ船乗り場近く。他にもカウントダウンの花火を見られるスポットはいくつかあるが、人混みのせいで移動ができず、これ以上探すと更に場所がなくなりそうだったので、心を決めざるを得ない状況だった。
なお、この時点でこのエリア一体に人数の規制がかけられていたため、後ほど合流する予定だった友人との年越しができないことが確定した。31日はどこか郊外へ観光するにしても、夕方前には戻ってくることを強く勧めたい。
ちなみに場所取りの時点では最後列にいたが、時間が経つにつれて、どこから湧いたか、後ろにはものすごい人が座っていた。スペースとしては新聞紙一枚程度で、体育座りか胡座をかくのが精一杯なほど。
たまたま現地で知り合った日本人と2人で見ることになったが、1人よりも複数人でいる方が何かと心強い。というのも姿勢を変えたり立ち上がると靴一足分くらいのスペースに他の人の足やカバンが割り込んでくる。その時に誰かいるとその分のスペースを確保したまま若干姿勢を変えられるので、とても助かる。
クルーズ船乗り場前に場所取り
ちなみにこの時の荷物は財布やパスポートの貴重品とスマートフォンの充電器のみ。明らかな準備不足かもしれないが、周りではトイレの我慢に限界が来てその場を立ち去る人も。ここでは一度立ち去ってしまうと場所を確保できる保証はないので、かえって飲食物を何も持ち込まなかったのが不幸中の幸いだ。食べたり飲んだりしていたらきっとトイレに行きたくなっていただろう。
まさに我慢くらべである。
「ここは戦場で諦めたら終わり、そして隙間を見つけたら前進するのみ!」と、誰かが抜けたりしたスペースになりふり構わず自身の足を一歩ずつ前に進めていく。おそらく1時間に1メートル進んでいるかどうか、それでも徐々に見える景色が広がってくる。
なお時折有名人と思われる人が、クルーズ船から降りてきて周りがざわつく場面も。もちろんそれが誰かは微塵も知らないが、ちょっとした楽しみのひとつにしてもよいだろう。
ついに残り1時間、しかしここから更なる戦いが
午後11時を迎えると、そこから15分おきに小さな花火高層ビルが打ち上げられ、音楽が流れ始め、ムードが高まってくる。先ほどまで座って待機していた人たちもほとんど立ち上がり、我こそはと前に詰めてくる。
人々が立ち上がり、さらに密度が増す
前方でシートを貼り場所を確保していた人のシートも踏まれ揉め合いが起きたり、我慢に耐えきれなかった子どもが泣き始めたり、多言語の押すな踏むなの声がどこからも聞こえてくる。しまいにはスリに遭ってしまう人までも。
なぜ人は数時間の忍耐が終わりを迎えそうな頃に、争いを始めてしまうのか、あと数十分の辛抱だというのに……。
混沌を極めつつある空間でも次第にカウントダウンへ向けてどんどん盛り上がってくる。そうだ、みんなで楽しく年を越そうじゃないか。
15分ごとに打ち上がる小さな花火
ついに来たその瞬間、盛大な12分間の大花火
カウントダウンとともに、どんどんと増える打ち上げ花火の数。そして遂に待ちに待った瞬間が!
カウントダウンと共に花火は勢いを増してくる
大歓声と共に遂に年越し、ここから12分間の花火と音楽のニューイヤーショーが始まる。ここまで6時間近く待った甲斐が報われる瞬間。疲れや喉の渇きなんか関係なしに自然に声が溢れ出る。
ここまで6時間で最初の位置から5メートルほどは前進できた成果もあってか、屋根で若干は隠れながらも美しい花火を目に焼き付けた。
年越し後のせいかマンションも明るい
12分のショーも終わり、ここから帰路につくのだが、なんせ48万人の大移動が始まるため、すぐに宿やお店に向かえるわけがない。当初合流する予定だった友人と宿で新年の乾杯をする頃には、午前1時半ごろになる頃だった。飲み食いもせずほぼ座りっぱなしで疲れ切った身体には、少々アルコールが強すぎたが……
今年も素晴らしい年越しを!
今回のように忍耐を強いられるような年越しではなくても、香港だとホテルやレストラン、あるいはクルーズ船から優雅にのんびりと年越しする方法もある。けれども、何か乗り越えた先の年越しもまた格別であり、その瞬間を友人や恋人と共有できるのならそれ以上のことはないだろう。
花火終了後のヴィクトリアハーバー
もし今年の年越しを香港のヴィクトリアハーバーで迎える場合、特に人気スポットを狙うのなら、
☑︎6時間以上座り込む覚悟とそれに見合った準備(各々必要な物など)
☑︎盗難対策と少しばかりの攻めの姿勢
☑︎複数人なら事前に待ち合わせの時間や場所は明確に
の4つを心がけておくことをおすすめしたい。いずれにせよ大規模なイベントはほとんど行かないので、これ以外にも必要なことはあるかもしれない。
とにかく今年もみなさんが笑顔で年越しができますように!
All photos by Suzuki Ei