レリーフや模型で歴史をたどることも
photo by Tomomi Kita
聖堂内にはノートルダム大聖堂が完成するまでの歴史を辿ったレリーフや、全体像を確認できる模型が展示されていました。大聖堂には珍しくノートルダム大聖堂は写真撮影OKですが、その神聖さを目に焼き付けまいと静観する人も多かったように思います。
photo by Tomomi Kita
ノートルダム大聖堂のはじまりは1163年、今から856年も前に遡ります。国王ルイ7世の時代にローマ教皇のアレクサンデル3世が礎石を据えたことからはじまり、1250年に完成したそうです。以降、何度か改修工事をなされ、美しい姿を保っていました。
祈りを捧げる人の姿が印象的
photo by Tomomi Kita
とくに印象的だったのは、祈りを捧げる人たちの姿でした。きっと日頃から感謝や祈りを捧げる習慣があり、悲しいことや辛いことがあった時も、こうして大聖堂まで足を運ぶことが心の支えだったのだろうなと思います。
photo by Tomomi Kita
長い歴史を経て完成し、ノートルダム大聖堂が古くからパリ市民の心の支えであったことを思うと、鎮火までの間に祈りを捧げる人や、涙をこぼす人がいたのも頷けます。
現在ノートルダム大聖堂は復旧工事の真っ只中です。シートで覆われている部分はあるものの、外観のみなら観に行くことも可能ですので、ぜひ近くへ立ち寄った際には祈りを捧げに行ってみてください。
今すぐ行ってほしい世界の危機遺産
世界遺産は歴史的な建造物などの「文化遺産」と、人工では作ることができない自然の景観を指す「自然遺産」の2つに分かれますが、危機遺産とは、その中で危機にさらされている世界遺産のことを言います。
特に破壊や風化などで遺産の維持がほぼ難しい状態を「決定的危機」、周囲の環境の変化によってこれから状況が悪化するかもしれない状態を「潜在的危機」として認定しているのだとか。
そんな危機遺産リストに認定されているものを今回はピックアップしてご紹介します。
ほかの危機遺産を確認したい方はこちらの危機遺産リストをご確認ください。
エルサレムの旧市街とその城壁群 / エルサレム
photo by pixta
「エルサレムの旧市街とその城壁群」は、1860年代までこの旧市街がエルサレムの全体像でした。宗教面において歴史的で重要な遺跡を多く含んでいます。
エルサレムの帰属問題など、周辺情勢の不安定さにより1982年に危機遺産として登録され、現在でも登録は解除されていません。2019年時点で最も長い期間危機遺産に指定されている世界遺産です。
古都ザビード / イエメン
イエメンの西部フダイダ県に属するザビードは、かつてイエメンのいくつかの王朝の首都が置かれ、宗教や学術の中心として栄えた都市です。しかし16世紀後半以降、街は衰退していき、ザビードは地方の小都市となりました。
都市化によって、以前の伝統的な都市の景観が変化することを危惧し、2000年に危機遺産に登録されています。
アブ・メナ / エジプト
アブ・メナは古代エジプトにおいて、キリスト教巡礼の中心であった都市の遺跡です。1979年に世界遺産に登録されましたが、遺跡はほとんど崩壊してしまっており、確認できるのはバシリカの土台など大建築物の遺構のみです。
地下水位上昇による崩壊危機のため、2001年に危機遺産に登録されています。
ウィーン歴史地区 / オーストリア
photo by pixta
古代ローマ時代から歴史をもつオーストリアの首都ウィーンは、「音楽の都」とも呼ばれ、様々な時代の建築様式によって作られた歴史的な建造物があることから世界遺産に登録されました。
都市開発によって景観が損なわれるのでは?という理由で2017年に危機遺産に登録されています。
スマトラの熱帯雨林遺産 / インドネシア
インドネシアのスマトラ島にあるスマトラの熱帯雨林は、東南アジア独特の種や、ここでしか見られない植物や動物などが生息することから、貴重な自然地域として2004年に世界遺産に登録されました。
しかし密猟や違法伐採などが横行しており、2011年に危機遺産に登録されています。
見たい景色へ、今すぐ旅立とう!
あなたが「いつか見たい」と思っている景色は、永遠に存在するとは限りません。今回のノートルダム大聖堂のように、突然の災難によって消失してしまうかもしれない、以前の景観とは変わってしまうかもしれない。
写真で見るのと実際にその場に行って空気を感じたり、自分の心で感動を感じとるのは全く別物です。一度きりの人生、ぜひ見ておきたい景色は早めに目に焼き付けておきましょうね!