移動距離を大幅に削減する
まずわかりやすい例として、移動距離を大幅に削減できる点が挙げられます。
たとえば、スタート地点から約50km離れた場所を目的地にすると、往復で約100kmを走ることになりますが、行きに50km走り、帰りに輪行を利用すれば、体力的な負担を大きく軽減できます。
京都から敦賀まで1時間半かけて在来線で電車輪行し、その後越前海岸を走って東尋坊を訪れた日帰り旅がその一例です。
敦賀から東尋坊までの距離は約90kmですが、帰りは輪行を利用できるため、心配せずに北上する旅を楽しむことができました。
越前河野しおかぜラインという日本海沿いの爽快な道を走り、東尋坊に到達した際の感動は今でも忘れられません。体力に余裕があったため、JR武生駅まで戻り、京都まで約2時間半かけて電車で帰路につきました。
この旅では、以下を電車輪行によって削減できていることになります。
※【往復】京都〜敦賀:それぞれ約130km、【帰り】武生〜敦賀:約40km
自分たちオリジナルの旅ができる
次に、自分たちオリジナルの旅ができる点が挙げられます。日本一早い紅葉を楽しむために、9月に北海道の大雪山を訪れた旅が良い事例でしょう。
初日から中部国際空港から新千歳空港まで飛行機、新千歳空港から札幌駅まで電車、札幌駅から富良野駅まではバスという、3つの輪行を駆使して、自転車とともにスタートの地・富良野を訪れました。
その日の朝にフライトで移動し、半日後には美しい夕焼けが広がる富良野のジェットコースターの路や、美瑛の丘を自転車で走っている瞬間は、まさに非日常の体験でした。
そして翌日には、自転車で大雪山旭岳ロープウェイの駅まで移動し、日本一早い紅葉を楽しんだ後、北海道最高峰の旭岳(標高2,291m)に登ることができました。
もし初日に輪行を活用していなければ、北海道入りの翌日にこれほど充実した旅をすることは難しかったでしょう。
北海道では、さまざまな交通機関が整っているため、時にはダイナミックに輪行を利用することで、スケールの大きな旅を満喫することができます。
旅先でのエスケープに有効
最後にご紹介したいのが、旅先でのエスケープに有効である点です。先ほどと同様に、9月に北海道の大雪山を訪れた旅が良い事例です。
日本一早い紅葉を楽しんだ後、3日目が終日雨となったため、移動日として割り切ることにしました。
天気が悪そうな1週間の予報の中で、積丹半島方面は比較的良い予報となっていたので、目的地を変更。美瑛から旭川まで電車、旭川から札幌までバス、札幌から小樽まで電車で輪行することにしました。
移動が主な目的ではありますが、旭川では老舗の旭川ラーメン、小樽ではお寿司や名物のパンロールを味わったり、夜の小樽運河を散策したりと、観光も欠かしません。
最終日は、ニッカウヰスキー工場で知られる余市を巡りました。新千歳空港から直結の場所で旅を楽しむことで、自転車にトラブルが発生した場合でも、帰りの飛行機に間に合わないというリスクを下げることができます。
自転車を最高の冒険ツールに変えてくれる輪行
どんなスタイルの旅であれ、「輪行」は旅の自由度をおおいに高めてくれます。そういう意味で自転車旅において、輪行は不可欠なものです。
「あの景色を見てみたい」「この場所に行ってみたい」そんな憧れを叶えてくれるのはもちろんのこと「こういう風に旅を組めないか?」「こことここを自転車で訪れてみたい!」という欲張りな旅プランを実現してくれる手段でもあります。
ぜひ、自転車を最高の冒険ツールに変えてくれる輪行を活用し、自転車旅を思いっきり楽しんでみてくださいね。
All photos by Yuhei Tonosho