ライター

2001年、北海道生まれ。書道・茶道・よさこい等を通して日本の魅力を伝えるフリーランス日本語教師。人との出会いやその土地の歴史・美術作品に触れる時間を大切にし、世界中のまだ見ぬ景色を求めて国内外を旅しています。

安曇野で出会う美術の世界

こころ温まる、安曇野ちひろ美術館

日本人なら子供の頃、多くの人が目にしてきたであろう、いわさきちひろさんの可愛らしい作品。


信州出身の両親をもつ彼女が幼少期の多くを過ごし心のふるさととされている安曇野には、彼女の生涯や作品に触れることのできる世界初の絵本美術館がある。


雄大な自然とあたたかい空気に包まれた木造建築は、まるで彼女の作品に込められた子どもの幸せと平和への願いを象徴しているかのようだった。

美術館のある安曇野ちひろ公園からは壮大な北アルプスの山々を背景に、彼女の見た同じ景色を感じることができる。また、黒柳徹子さんの著書『窓ぎわのトットちゃん』に登場するトモエ学園の精神を未来へつなぐ願いを込め、当時を再現した電車の教室と図書館も大きな見どころ。


この電車はとても可愛らしく中に入って写真を撮ったり本に関する資料を読んだり、実際の体験を通して歴史に触れることができる。この美術館に訪れる際はぜひ、窓ぎわのトットちゃんの作品にも事前に触れてみてほしい。

同じ教室で学生生活を送っていた友人らと懐かしい机と椅子に向かい絵を描いた時間は、なんだか数年前にタイムスリップしたかのようで不思議な気持ちになった。卒業後それぞれの道を歩みそれぞれの場所で生活する私たちは、今でもあの頃と変わらず約束を重ね、新たな思い出をつくっている。そんな友人がいることは決して当たり前のことではなく、なんて幸せなことなのだろうかと何度も実感した旅だった。

■詳細情報
・名称:安曇野ちひろ美術館
・住所:〒399-8501 長野県北安曇郡松川村西原3358-24安曇野ちひろ公園敷地内
・地図:
・アクセス:車で長野自動車道安曇野インターより約30分/JR大糸線信濃松川駅より約2.5km
・営業時間:10:00~17:00
・定休日:水曜日
・電話番号:0261-62-0772
・料金:大人1200円・18歳以下・高校生以下無料(団体,福祉,リピート割引あり)
・所要時間:1時間~2時間
・公式サイトURL:https://chihiro.jp/azumino/

力強い彫刻の世界、碌山美術館

安曇野での美術館巡り、私たちがもうひとつ訪れたのは禄山美術館。


荻原守衛さん、芸術家として碌山(ろくざん)という名を持つ彼は、長野県安曇野市の農家の息子として生まれた。日本近代彫刻の先駆者であり、若くして海外で学びを続けさまざまな影響を受けたのち独自の表現を追求していった彫刻家。


彫刻に詳しくない私でも、美術の教科書で何度か目にした作品を間近で見ることができ、ハッとした瞬間があった。31年と言う短い生涯とわずかな作品数ながら、日本彫刻の新しい道を切り開いた偉大な人物の美術館、のどかで落ち着いた場内にはいくつものベンチがあり、彫刻の歴史をゆっくりと堪能することができる。

■詳細情報
・名称:碌山美術館
・住所:〒399-8303 長野県安曇野市穂高5095-1
・地図:
・アクセス:車で長野自動車道安曇野インターより約15分(無料駐車場あり)/電車でJR大糸線穂高駅より徒歩約7分
・営業時間:9:00~16:10(11~2月)9:00~17:10(3~10月)
・定休日:なし
・電話番号:0263-82-2094
・料金:大人900円・高校生300円・小中学生150円(団体,福祉割引あり)
・所要時間:約1時間
・公式サイトURL:http://rokuzan.jp/

上高地でたどる長野の歴史

数年前からずっと行ってみたいと思っていた地、上高知にも足を運んだ。


上高地は100年以上前から自然を大切に守ってきた場所である。多くの植物や動物は保護され、現在では日本の美しい場所に与えられる称号、特別名勝や特別天然記念物にも指定されている。

日本屈指の山岳景勝地として昔から手付かずの自然が残っていた場所であり、1916年頃から周辺の山の登山道が整備され始め、やがて山岳リゾート地としてホテルやキャンプ場がつくられ現在に至っている。


明治時代、日本の近代化のため来日したイギリスのウィリアム・ガウランドさんは1877年槍ヶ岳に登頂した際、「Japan Alps」という呼び名を広め、この地が日本アルプスと呼ばれる語源となった。

私たちは途中の駐車場に車を停め、そこからタクシーに乗りかっぱ橋へと向かった。かっぱ橋は中心的な観光スポットであり、お土産屋さんやレストラン、ホテルが並び、それぞれの目的にそって楽しむことができる。


歩き疲れた体に透き通る上高地の水は絶品。ぜひマイボトルを持ってここで水をくんでみて欲しい。

旅を日常に

小学生の頃、大好きな夢の国に行くと言われた私は出発日の3ヶ月も前からスーツケースを引っ張り出し荷物の準備を始めていた。ハンカチやティッシュ、カチューシャも全てお気に入りのキャラクターを選び出発の日を心待ちにしていた。

今や前日、ひどい時は当日にバックパックを取り出し必要なものを詰め込み、時間に追われながら出発する。子供の頃に感じていた何にも変え難い胸躍らせる瞬間を、同じように感じることはできなくなってしまった。

少し寂しい気もするが、旅が自分にとって限りなく日常に近づいてきた証拠でもあるように思える。これから先、どんな旅が待っているのだろうか。


まだ見ぬ景色を求めて、日本中そして世界中を飛び回っていきたい。

All photos by Tsumugi Azumaya

ライター

2001年、北海道生まれ。書道・茶道・よさこい等を通して日本の魅力を伝えるフリーランス日本語教師。人との出会いやその土地の歴史・美術作品に触れる時間を大切にし、世界中のまだ見ぬ景色を求めて国内外を旅しています。

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