世界中にある世界遺産の中には、自然による劣化や人為的な理由から失われつつある、あるいは残念ながら失われてしまったものもたくさんあります。
自然によるものであれば仕方のないこともありますが、人為的なものの中には環境破壊が原因のもの、更には戦争やテロ行為などが原因のものもあり、人間がいかに愚かであるかを痛感させられてしまいます。
今回は、世界遺産の中で様々な理由から失われてしまったものを5つピックアップし、それぞれ紹介していきたいと思います。ぜひとも、失われる前の姿に思いをはせてみましょう。
スマトラの熱帯雨林遺産(インドネシア)
インドネシア・スマトラ島の広大な熱帯雨林は、250万ヘクタール(東京ドームおよそ50万個分)という面積を持つ、世界でも有数の熱帯雨林地域となっています。
その面積と貴重な生態系が評価されて世界遺産登録がなされましたが、度重なる密猟や違法伐採によってそれらが破壊されており、世界遺産からの抹消が何度も議論されています。
アラビアオリックスの保護区(オマーン)
アラビアオリックスの保護区は、世界遺産史上初めて抹消されることが正式に決定された世界遺産となっています。
1982年からアラビアオリックスの野生化が始められて順調に数を増やしてきましたが、密猟が激化してアラビアオリックスの数が減ってきていること、更にオマーン政府による保護区の設定区域の90%もの削減が決定されたことから、正式に抹消が決定される事態となりました。
ドレスデン・エルベ渓谷(ドイツ)
ドレスデン・エルベ渓谷は、世界遺産史上二番目に正式に抹消が決定された世界遺産となっています。
エルベ川の上流にあるこの渓谷は、宮殿を中心とした周辺の文化的かつ美しい景観が評価されて世界遺産入りしましたが、景観を破壊する巨大な高架橋が建設されることが決定したことから、正式に抹消が決定されてしまいました。
バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群(アフガニスタン)
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5世紀ごろに建造された、高さ55メートルと38メートルの巨大な二体の大仏が象徴的なバーミヤンの遺跡は、仏教に関する文化的価値の高い寺院や仏像が数多く現代まで残されている遺跡となっています。