ライター
新田 浩之 フリーライター

国鉄が民営化された1987年生まれ。神戸市出身です。高校の時に読んだある小説の影響で、中央ヨーロッパ、東ヨーロッパ、ロシアに強い関心を持つことに。大学、大学院ではユーゴスラビアのことを勉強していました。2016年3月からライターとして神戸で活動しています。 直近では2015年9月から3ヶ月間、友人を訪ねながら、ヨーロッパ14カ国をめぐる旅を決行。ただ、イギリス、フランス、イタリア、スペインなどの西欧諸国には行ったことがありません。

今回は東ヨーロッパの少し驚くようなお話をします。ベラルーシとウクライナにはそれぞれベラルーシ語とウクライナ語があります。

しかし、場合によっては現地語が両国では通じないかもしれません。一体、どういうことでしょうか。

 

ベラルーシ語が通じなかったベラルーシ

Photo by 新田浩之

2018年5月にベラルーシを訪れたときのエピソードです。とあるガイドブックに世界遺産「ニャースヴィシュ宮殿」の記事がありました。そこで、首都ミンスクにあるバスターミナルで「ニャースヴィシュ」と言って切符を買うことに。

ところが、窓口のおばさんは不思議そうな顔をしながら私を見ます。手は止まったまま、どうも通じていないようでした。そこで、ロシア語で「ニェースヴィシュ」と言ってみました。すると、彼女は得心がいったようで、テキパキとした動きで切符を発券してくれました。

 

宿に戻り、ベラルーシ人に「ニャースヴィシュ」と言っても「どこそれ?」みたいな反応をされます。再び「ニェースヴィシュ」と言うと「ああ、あそこね」みたいな反応が返ってきました。

そこで、ベラルーシ人にロシア語で聞いてみました「あなたはベラルーシ語が話せますか」と。すると「読めるけど、話せないよ!」という衝撃的な答えが返ってきました。

Photo by 新田浩之

別の日、ミンスクで行われた第二次世界大戦勝利の式典に参加しました。冒頭、ベラルーシ大統領のスピーチを聞きましたが、ロシア語でした。

Photo by 新田浩之 こちらはベラルーシ語

しかし、地下鉄やトロリーバスの公共放送はすべてベラルーシ語。新しい道案内の看板はベラルーシ語、英語、中国語で書かれています。「みんなが使っているロシア語で放送すればいいのに……」と思うのは私だけでしょうか。

周りのベラルーシ人は地下鉄でもトロリーバスでも涼しい顔をしていました。

 

首都キエフでもロシア語ばかり?

Photo by 新田浩之 ウクライナ語で「売り場」と書いてある

次はベラルーシの南にあるウクライナです。ウクライナの首都キエフでも、人々の口から聞こえてくるのはロシア語です。店では「スパシーバ(ありがとう)」というロシア語がよく聞こえてきますが、地下鉄や鉄道駅の放送はウクライナ語です。

むしろ、公共の場ではロシア語は英語よりも見かけません。それにもかかわらず、人々は公共の場でもロシア語が使われています。一体、どういうことでしょうか。

 

キエフ在住のウクライナ人の友人によると「キエフに住むウクライナ人の6割~7割はロシア語が母語」とのこと。彼女にとってウクライナ語は「第二言語」になります。もちろん、ウクライナ語もペラペラです。

Photo by 新田浩之

ちなみにウクライナ西部の街、リヴィウではほとんどの人がウクライナ語を使います。もちろん、ロシア語もウクライナ語と同じくらいペラペラです。

ウクライナ東部に住むロシア人はウクライナ語を聞くと嫌な顔をする、とか。彼らはウクライナ語を話せず、ロシア語を使います。どうも、ウクライナのほうがロシア語よりも言語状況は複雑なようですね。

ライター
新田 浩之 フリーライター

国鉄が民営化された1987年生まれ。神戸市出身です。高校の時に読んだある小説の影響で、中央ヨーロッパ、東ヨーロッパ、ロシアに強い関心を持つことに。大学、大学院ではユーゴスラビアのことを勉強していました。2016年3月からライターとして神戸で活動しています。 直近では2015年9月から3ヶ月間、友人を訪ねながら、ヨーロッパ14カ国をめぐる旅を決行。ただ、イギリス、フランス、イタリア、スペインなどの西欧諸国には行ったことがありません。

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