世界には国の領土の中に別の国の領土がある、いわゆる「飛び地」と呼ばれるところが多数存在しています。
多くの場合は水場を挟んでの飛び地や、元々領土であったところがそのまま残されて飛び地になっているということが多いのですが、それだけでは説明がつかない奇想天外な飛び地が世界にはいくつも存在しています。
今回は、そんな「どうしてこんなところにこの国が?」という場所を5つ紹介し、知られざる飛び地の魅力に触れてみることにしましょう。
1.ジブラルタル(イギリスの飛び地)
ジブラルタル海峡という名前もあり、世界でも有名な飛び地のひとつだと思われるジブラルタル。地図上で見ると完全にスペイン国内にあるのですが、実はこの場所はイギリスの領土なのです。
歴史上ジブラルタルは「地中海の鍵」として政治上、軍事上で大変重要な場所となっていました。1713年のユトレヒト条約でこの場所がイギリス領となってから、ジブラルタルはイギリスが死守し続けています。
2.カリーニングラード州(ロシアの飛び地)
世界地図を見ることが好きだった方の中には、バルト三国のすぐ近くに小さく「ロシア」と書かれていてびっくりした経験のある方も居るかと思います。
元々この場所は東プロイセンの北側に位置していた場所でした。第二次世界大戦後に東プロイセンは分割され、北側が旧ソ連に割譲されたことで、この飛び地が誕生したのです。
ロシア国内における琥珀の重要な産地であることから、ソ連崩壊後もその重要性は揺らぐことがありません。
3.マダ(オマーンの飛び地)、ナワ(UAEの飛び地)
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オマーンとアラブ首長国連邦の間には、世にも珍しい二重飛び地と呼ばれる飛び地が存在しています。
UAEの東側にあるムサンダム半島の先端はオマーンの飛び地となっていますが、その飛び地とUAE領土の間にまず、マダというオマーン領の飛び地があります。そしてマダの内部には、これまたUAEの飛び地であるナワという場所が存在するのです。
文章だけではさっぱり意味が分からないという方は、是非とも地図で確認してみてください。
4.インド・バングラデシュ国境の飛地群
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インドとバングラデシュの国境地帯には、非常に複雑に入り組んだ飛び地地帯がありました。インド領内にバングラデシュ領の飛び地が95ヶ所、バングラデシュ領内にインド領の飛び地が129ヶ所も存在するというわけが分からない事態になっていたのです。
飛び地の内24ヶ所は飛び地の中の飛び地であり、更に「飛び地の中の飛び地の中の飛び地」という、とんでもない場所まで現れていました。
残念なことに、この飛び地地帯は2015年の国境改定によってすべて解消されてしまいましたが、世界でも最も迷路のような場所であったことは確かですね。
5.北山村(日本の飛び地)
日本には海外に日本領土があるような飛び地は存在しませんが、日本国内で県境を飛び越えての飛び地は存在します。それがこの和歌山県北山村です。
和歌山県でありながらも奈良県と三重県の県境にあるこの村は、日本で唯一の県を飛び越えたところにある飛び地です。
2008年までは郵便番号に三重県のものが使われていたり、村内でFM三重を受信することが出来るなど、地理的な特色が存分に生かされた場所となっています。
まとめ
このほかにも、世界には様々な飛び地が存在しています。海外の全く関係ない場所に他の国の領土があるという状態は、傍目から見ればロマンに満ち溢れていますね。
しかしながらそこに住む人にとってはなかなか生活しづらい部分もありますから、一長一短と言ったところでしょうか。