ライター

大学生時代から自立を目標にフランス(リヨン)へ留学し、バックパッカーになる。旅では銃と遭難で2回ほど死にかけたが、「死ぬこと以外かすり傷」と実感し、出会うものすべてに魅了される。社会人になってからの目標は日本一周。途中駅で下車し、その日見つけた宿に泊まるぶらり旅が好き。

一目惚れをした経験はありますか?

一目惚れでなくとも、思わぬ運命的な出会いを経験したことがある方もいるのでは?

人は運命の人に出会ったとき、直感で「この人と結婚するんだ」と思うような衝撃が走るといいます。

人は運命のモノに出会ったとき、人生が大きく変わることがあります。かの有名な作家村上春樹氏は、明治神宮球場でプロ野球の試合を見ていたときに「小説を書こう」と、ふと思い立ち小説を書くようになった結果、球場でビールを飲んで生涯を終えると思っていた人生が大きく方向転換したと言います。

そんな何かしらとの、人生を変えるような出会い、経験したことはありますか?

あなたにとっての一目惚れ、唐突な出会いや瞬間は?

私にとっての運命的な出会いはテーブルクロスでした。

いまではテーブルクロスを含む布のハンドメイド作品に目がないです。出会った瞬間、稲妻が走った……とまではいかなくともお気に入りの作品と出会ったときには、それをテーブルに広げ家族でパーティを開く様子がありありと思い浮かんだりします。

留学先のフランス・リヨンでは「絹が有名でとても美しい」と耳にしてから、なんとなくどこへ行くにもアンテナが立つようになり、見かける機会が増えました。散歩しているときに見かけるとつい立ち止まったり、素敵なスカーフをしているマダムを見つけると「どちらで購入されたんですか?とっても素敵ですね」と声をかけてみたり。ついには見ているだけでは物足りなくなってしまい、休日に絹専門店や美術館に赴くようになりました。

よく本屋や図書館に行く方は本を探しに来ただけでなく、本に囲まれる空間自体に癒され、自分と同じ本好きがいる空間に安心感を覚えるといいます。

私の場合は織物に囲まれた空間やハンドメイドを見る人たちの真剣さに魅了されました。


なかでもお気に入りは「リヨン織物装飾芸術博物館」。大人でもたった€5(学生:€3.5)で織物の歴史を学ぶことができ、フランスの絹織物に限らずスペイン、イタリア、イギリス、ドイツなど世界各国、さらには18-19世紀の日本の着物も展示されています。まるで織物関係の世界旅行をした気分になれる場所です。初めて訪れて以来、週に1回以上足を運んでいた癒しの空間です。

■詳細情報
・名称:リヨン織物装飾芸術博物館(Musées des Tissus et des Arts Décoratifs de Lyon)
・住所:34 Rue de la Charité, 69002 Lyon, フランス
・地図:
・公式サイトURL:https://www.museedestissus.fr/

一目惚れを逃さないマイルール

「リヨン織物装飾芸術博物館」は博物館なので、お気に入りの作品がなくならないという安心感があります。一方で、マーケットでお気に入りと出会ったとき、即購入できず、ついつい買い逃してしまう……ということも。

「今すぐほしい、買おう!」と思う一方で「このサイズだと、どうやってスーツケースに入れて持ち帰ろう」「荷物検査で引っかからないかな?」「もう一周してこれよりいいものがないか探してから買おう」そんな風に先々のことに悩み、一目惚れしたモノを逃してしまうことがあります。

出会いは一期一会。いまではマーケットに限らず、一目惚れの直感をなにより大切にするためのマイルールを持つようになりました。

☑欲しいと思ったら悩まない
☑持ち帰れるかどうかは一旦気にしない
☑「ほしい!」と思った直感に素直になる

じつは絹製品やクロスに興味を持ったのは、陶器を一時帰国で持ち帰る際に割ってしまったことも影響しています。

スーツケースの中にプチプチを大量に詰めて祈るように移動していましたが、帰国後スーツケースを開いたときには粉々に。思い出が粉々になったようでかなりショックだったこともあります。

”形が残る、割れて壊れないもの”を求めるようになったのは、壊れてしまったショックを二度と味わいたくないから。なかには陶器のように「壊れやすい」からこそ、より一層大切に思う方や、その儚さに魅力を感じる方がいることも確かですが、私はまだその域に至れていないようです。

一目惚れをしたテーブルクロス

一目惚れを信じて即購入したテーブルクロスはこちら。


クリスマスがより一層楽しくなるような色合いと、ツルツルの手触り、そして雪のような純白。細やかな赤と緑の刺繍。ほつれも見当たらない繊細なレース…褒めるところ以外見つからないようなまさに「恋は盲目」状態に陥った一品です。

コロナ禍で緊急帰国を余儀なくされ、急いで荷物を断捨離しスーツケースに入るものしか持ち帰れない状態でも「このテーブルクロスを汚さない、型崩れさせない」を大前提に詰めるものを選びました。

最後に海外に限らず日本で一目ぼれした景色

一目惚れ、これはモノに限らずありとあらゆる事象に起こりえます。

もちろん景色にも。

静岡県「法多山(はったさん)尊永寺」ここに行くと紫陽花や傘が雨を愉しませてくれます。

景色や瞬間は持ち帰ることができません。そんな時はカメラを抱えて、シャッターを押し、何とかこの景色を見た時の感情を形として残しておけないか、誰かに共有できないかと必死になることも。


法多山の見どころは雨の日以外にもあります。風鈴祭では音で癒しを与えてくれます。

風鈴祭は5月~9月の長い期間に行われるお祭り。私のおすすめは7月ごろです。風鈴、傘、紫陽花すべてを堪能することができます。


風鈴の美しい音色は、ただ癒しを与えるだけではなく、魔除けの意味と美しい音色自体が仏様に対する「おそなえ」の一つを意味すると言います。その時、その瞬間の音色は持ち帰ることはできませんが、その日は風鈴を購入し清らかな音を自宅で堪能できるようになりました。

■詳細情報
・名称:法多山尊永寺
・住所:〒437-0032 静岡県袋井市豊沢2777
・地図:
・営業時間:8:30~16:30(閉館時間に近づくほど人が少なく写真撮影や観光にもおススメです)
・オススメの時期:6月~7月
・公式Instagram:https://www.instagram.com/hattasan_soneiji

一目惚れは一期一会。素直に心にしたがって

普段生きていると「これって家に欲しいかな?」「最近断捨離したばかりだし新しいものを迎えるには気がひける」「家族はなんていうだろう」「今買ったら持ち帰るの大変かな?」様々な思いが絡まって自分の”一目惚れ”に素直になれない時があります。

現地で出会った日本人の友人にあることを教わりました。何かを迎え入れる際、一度今家にあるものを見直して、不要なものは整理しておくこと。

この世界には素敵なものがたくさんありますが、すべて迎え入れると「あれ、これは本当にほしかったっけ?」「いざ家に置いてみるとなんかしっくりこない」「家の雰囲気に合わない気がする」と感じることがあります。お出かけ前は整理整頓を習慣にしておくと、迎え入れたときの満足度、飾ったときの満足度も上がります。

この記事を見て「一旦難しいことや複雑なことは置いといて、欲しいものは欲しいと素直になってみよう」と割り切れる方が少しでも増えますように。

Bon Voyage!

ライター

大学生時代から自立を目標にフランス(リヨン)へ留学し、バックパッカーになる。旅では銃と遭難で2回ほど死にかけたが、「死ぬこと以外かすり傷」と実感し、出会うものすべてに魅了される。社会人になってからの目標は日本一周。途中駅で下車し、その日見つけた宿に泊まるぶらり旅が好き。

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