スペインといえば、陽気な人々と、その国民性を反映したようなクレージーなお祭りを連想する人が多いのではないでしょうか。実際にトマト投げ祭り「トマティーナ」やラ・リオハのワイン祭りなど異彩を放つものも多くありますが、伝統的なお祭りもあります。
数あるお祭りの中でもスペインの3大祭りと言われているのが、バレンシアの火祭り「ファリャス」、パンプローナの「牛追いまつり」そしてセビーリャの「フェリア・デ・アブリル」です。
今回はセビーリャ留学中の筆者が実際に体験したフェリアをレポートします!
そもそも「フェリア・デ・アブリル」って?
「フェリア・デ・アブリル」はスペイン語で「4月の市」という意味。歴史は1847年までさかのぼることができます。当時ナポレオン戦争などで疲弊していたスペインを盛り上げるために、二人のセビリア市議会議員が「17世紀の畜産見本市を復活させよう!」と始めたそうです。
当初は、現在フェリアが開催されているロス・レメディオス地区と異なるより市内中心部で開催されていました。
カセタ(次の段落で詳しく説明)はほとんどなく、スペイン名産のお菓子トゥロン(turrón)を販売する屋台が何軒か出店していただけでした。次第に人気が拡大し、従来の場所では収まりきらなかったため、現在の場所に移動しました。
セビーリャの旧市街からグアダルキビール川を挟んで対岸に位置するのがロス・レメディオス地区であり、市内中心部からはバスやメトロでアクセスが可能です。
フェリア開催中は臨時で直通バスがありますが、長蛇の列ができているため時間に余裕を持ちましょう。
まるで中世みたい!華やかなドレスと馬が彩るフェリア会場
実際にフェリア会場に足を運んでみると、まるでタイムスリップしたかのようでした。女性はみんなはなやかなドレスに身を包み、頭にお花を飾っておめかし。一方男性はみんなジャケットを着ていて程よくかっちりとキマッテル。
馬車が会場中を駆け巡り、馬使いのお兄さんたちもいつもとは違う、中世を思わせる衣装に帽子。カメラをむけるとウィンクしてくれました。
会場は普段は何もない、住宅地の裏にある空き地なのですが、フェリアの期間中だけ、この区画だけ、まるで異世界です。カセタ(caseta)と呼ばれる祭り小屋が1000軒以上並んでいて、中では人々が楽しく飲みながら、久しぶりに会う友人と会話を楽しんだり、音楽に合わせて踊ったりしています。
カセタには大きく分けて2種類、誰もが出入り可能なプブリカ(pública)と、会員制のプリバーダ(privada)があります。
プリバーダはカセタの会員である人に招待されなければ入ることができないので、注意が必要です。筆者は留学中で、現地の友人がいたので幸運なことにカセタ・プリバーダに入ることができました。
カセタの仕組みを聞いてみると、毎年フェリアに参加するため(=カセタに入るため)には約50〜100ユーロ払わなければいけないそうです。毎年参加の可否は選べるで、ある年は仕事で行けないから買わないというのも全然ありです。
一人が会員になれば、会員の家族はもちろん、会員の友人、会員の家族の友人もそのカセタに入ることが可能なので、最終的にはすごくたくさんの人が入れるみたいです。筆者が聞いた友人のカセタは70ユーロで、最初に聞いた時は「高っっっ!」と思いましたが、こんなにもたくさんの人が入れるなら納得。
フェリアに欠かせないのはやっぱりお酒!
カセタごとに異なる装飾が施されていて、眺めながら散歩するだけでも十分楽しいです。でもせっかく来たからには、楽しまなければ損!なので、フェリアの名物料理を紹介します。
各カセタごとに雰囲気も料理も異なりますが、ほとんどはスペインバルの定番タパスやスペイン名産のイベリコ豚の生ハムなどを提供しています。しかし、フェリアにおいて絶対に外して行けないのは、お酒です。
レブヒート(rebujito)というシェリー酒(または白ワイン)とスプライトなどの炭酸飲料を混ぜたお酒がフェリアの代名詞といっても過言ではありません。これをみんなでピッチャーで頼み、文字通りがぶ飲みします。
半分以上がジュースなので、甘くて飲みやすいのですが、これが飲み過ぎにつながります。筆者はそんなにお酒が飲めないのですが、あまりにも美味しいし、お酒の強いスペイン人にどんどんグラスに注がれるので、たくさん飲みました。
アルコールも入って少し楽しくなってきたら、いよいよダンスの時間です。女性が着ているドレスからわかるように、フラメンコの基本(?)であるセビジャーナスをみんなで踊ります。
基本的には男女ペアで踊り、女性はセビーリャ出身であればたいていみんなマスターしています。男性は毎年、女性の見よう見まねで踊っているので、なんとかついていけるという感じでした。(ちなみに筆者は、努力したのですが、君は泳いでるみたいだよ、と散々バカにされました)
カセタで流れている音楽は、フェリアの定番の歌ばかりです。バンドがいて生演奏しているところもチラホラありました。次第に夜が更けて、みんなが酔ってくるとカセタはまるでクラブのようになります。
伝統的なフラメンコミュージックから、現代的なダンスミュージックにいつのまにか切り替わり、みんなでわいわい踊るのがたまらなく楽しいのです。