ライター

永崎裕麻(ナガサキ ユウマ)フィジー南国校長|約2年間の世界一周を終えて、世界幸福度ランキング1位(2016/2017)のフィジー共和国へ2007年から移住。ライフスタイルをアップデートする英語学校カラーズ校長。RECOMPANY取締役。 南の島のゆるい空気感を日本社会に届けるべく「南国ライフスタイルLABO」というコミュニティーを運営。内閣府国際交流事業「世界青年の船2017」日本ナショナル・リーダー。 2019年からはフィジー・デンマーク・日本の世界3拠点生活(トリプル・ライフ)を開始(現在はコロナで休止中)。 著書に「まんが南の島フィジーの脱力幸福論」「世界でいちばん幸せな国フィジーの世界でいちばん非常識な幸福論」。

以前、『幸せを「標準装備」するフィジーと、幸せを「選択」するフィンランド』という記事にて、ともに幸福先進国であるフィジーとフィンランドを比較してみました。

今回は国民性が似ていると言われる「日本」と「フィンランド」を比較してみようと思います。

国民性が近いにもかかわらず、フィンランドは幸福度ランキング1位(3年連続)、日本は62位(毎年過去最低を更新中)。この違いはどこから生まれるのでしょうか。

前回同様、フィンランド政府観光局(Visit Finland)によるご協力の下、フィンランドで「ハピネスガイド」として活躍されるユホさん(20年間の日本在住経験あり)にインタビューさせていただきました。

ハピネス・ガイド Juho(ユホ)
日本で生まれ育ったメディア関係の起業家。パートタイムでオオムギ農業も行っています。自然の中でテントサウナに入ったり、たき火でコーヒーを作ったりするのが好きです。海でカヌーを漕いだり、フィンランド群島の島でキャンプしたりすることも大好きです。

日本人とフィンランド人の共通点って何だと思いますか?

ユホ

お互いに勤勉だし、ルールを守る国民性。あと、自然が好きなところが似ていると感じています。

フィンランドは「北欧の日本」と呼ばれることがあります。日本同様、第二次世界大戦では敗戦国(対ロシア)となり、貧困にあえぎました。その後、国民一丸となって福祉国家化・IT立国化を進めるなど、頑張りまくって復興した国です。

また、日本と同じように、自殺率も高い(北欧5ヵ国の中でも最も高い)です。フィンランドでは80年代後半から自殺対策をしっかりとやってきているので、かなり減少させることはできています。

ただ、フィンランド人はラテン系のような底抜けに陽気な性格でもなければ、私が住むフィジー(南国系)のような「のんびり」した感じでもありません。

日本人に似て、まじめな努力家タイプなので、思い悩むこともあるのだと思います。

photo by Julia Kivelä/Visit Finland

逆に、日本人とフィンランド人の相違点って何だと思いますか?

ユホ

フィンランド人も相手を思いやる気持ちは強いのですが、日本人はそれ以上に相手のことを考えていると思います。

日本人は集団主義的で、フィンランド人は個人主義的。ひとりで森に遊びに行ったりもします(笑)

私がこれを聞いて感じたのは、フィンランド人は「仕事時間」「家族や友人と過ごす時間」「ひとりの時間」のバランスが非常にいいのではないかということ。

ある調査によれば、フィンランド人は「家族に会う頻度が非常に少ない」と。家族を大切にするフィンランド人なのに意外だと感じましたが、これは「自立」を重んじる社会であり、「ひとり時間」もバランスよく大切にしているということなのではないでしょうか。

photo by Laura Vanzo/Visit Finland

1日の時間があと1時間増えたら、何に使いたいですか?

ユホ

サウナですね。日本のサウナと違って、フィンランドはもっとシンプルです。神聖な場所という感じなので、照明も暗くなっていて、あまり声も出さない雰囲気です。日本のサウナにはテレビが置いてあるところもありますよね。

フィンランドでは、湖畔にサマーコテージを保有している方が多くいます。夏休みを4週間ほど取って、サマーコテージでゆったりと過ごす習慣があります。そこのサウナで体を温めてから湖に飛び込むのが至福の時だそうです。ユホさんはこう言います。

ユホ

日本人をサマーコテージに連れていくと、せわしなく予定や計画を立てようとする。日本人は何もしないことが苦手なのかもしれない。

確かに…。オンとオフを切り替えるスイッチが鈍いのかもしれませんね。

ちなみに、日本人に同じ質問(あと1時間増えたら何に使うか?)をすると、「睡眠」に使いたいという回答が最も多いです。睡眠時間を削って、仕事をしているということでしょうか。

photo by Gilad Radat/Visit Finland

日本では「ワーケーション」を推進する動きが出てきていますが、ワーケーションについてどう思いますか?

ユホ

ワーケーションはフィンランド人のライフスタイルそのものだと思います。コロナ以前からリモートワークの普及率がとても高かったのですが、コロナの影響でさらに進化しています。

サマーコテージでの滞在期間を延ばしながら、湖畔で仕事をすることがトレンドになっていくと思います。

日本ではワーケーションに関して、反対の意見も多数あります。仕事と休暇はきっちり分けておきたいと。

フィンランドではコロナ以前から在宅勤務(週に1回以上)をしている人の割合が約3割とEU諸国の中でも非常に高く、メリハリをつけることを得意としているので、ワーケーションに関して抵抗感は全くないのでしょう。

photo by Michael Matti/Visit Finland

フィンランドのコロナ事情はいかがですか?

ユホ

感染率は他のヨーロッパ諸国と比べて、極めて低い数字になっています。

コロナ対策に成功しているのは、コロナ以前からソーシャルディスタンスをとる国民だし、政府からの指示を国民がしっかりと守っているからです。

隣国のスウェーデンの感染率が非常に高いことも踏まえると、フィンランドはコロナ対策優等生ですね。

コロナ以前から、バス停留所などで並ぶときも距離をとる習慣があるそう。

国土面積は日本とあまり変わらない(日本の約9割)にもかかわらず、人口は550万人程度(兵庫県と同じくらい)なので、人口密度が低く、密になりにくいこともコロナに強い国である理由です。

photo by Asko Kuittinen/Visit Finland

最後に。お決まりの質問ですがフィンランド人の幸福度はなぜ高いのでしょうか?

ユホ

安心感のある国だから。高福祉の国であり、国が守ってくれる信頼があるし、国に何かあっても国民全体でなんとかする自信もあるから。

普段は個人主義的なところがあるけど、緊急時は一丸となって立ち向かうことができるのがフィンランドです。

インタビュー全体を通して、フィンランド人は「個」がしっかりと確立されていて、人生を謳歌しつつ、国民としての義務も果たしている。そんなバランスの良さを感じました。

photo by Aku Pöllänen/Visit Finland

フィンランドを体験しませんか?

現在(2020年10月20日時点)、日本人はフィンランドにレジャー目的で渡航できます。フィンランド入国後の隔離も必要がありません(日本への再入国時は日本国内のルールが適用されます)。

フィンランドに行くのが難しいという方にも、リアルなフィンランドでの夏休みの過ごし方を五感を通して体験できるイベント「Happy Day in Finland」が11/21(土)と11/22(日)に開催されます(事前受付は11/6(金)まで)。

幸福度世界一の国から「シアワセ」を学んでみる絶好の機会だと思いますので、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

詳細はこちら

ライター

永崎裕麻(ナガサキ ユウマ)フィジー南国校長|約2年間の世界一周を終えて、世界幸福度ランキング1位(2016/2017)のフィジー共和国へ2007年から移住。ライフスタイルをアップデートする英語学校カラーズ校長。RECOMPANY取締役。 南の島のゆるい空気感を日本社会に届けるべく「南国ライフスタイルLABO」というコミュニティーを運営。内閣府国際交流事業「世界青年の船2017」日本ナショナル・リーダー。 2019年からはフィジー・デンマーク・日本の世界3拠点生活(トリプル・ライフ)を開始(現在はコロナで休止中)。 著書に「まんが南の島フィジーの脱力幸福論」「世界でいちばん幸せな国フィジーの世界でいちばん非常識な幸福論」。

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