ライター

永崎裕麻(ナガサキ ユウマ)フィジー南国校長|約2年間の世界一周を終えて、世界幸福度ランキング1位(2016/2017)のフィジー共和国へ2007年から移住。ライフスタイルをアップデートする英語学校カラーズ校長。RECOMPANY取締役。 南の島のゆるい空気感を日本社会に届けるべく「南国ライフスタイルLABO」というコミュニティーを運営。内閣府国際交流事業「世界青年の船2017」日本ナショナル・リーダー。 2019年からはフィジー・デンマーク・日本の世界3拠点生活(トリプル・ライフ)を開始(現在はコロナで休止中)。 著書に「まんが南の島フィジーの脱力幸福論」「世界でいちばん幸せな国フィジーの世界でいちばん非常識な幸福論」。

日本人はクセがすごい。

世界100カ国を旅してみて、日本の特殊性に気がつきました。「日本の常識は世界の非常識」とよく言われます。これは真実です。

日本の総人口に占める外国人率はたった2%。ほとんどの日本人は日本人と一緒に過ごしています。だから、自分たちの特殊性に気がつきません。

特殊な人たち同士で集まり、出る杭は打たれるからと目立たないように、まわりと同じように振る舞って生活しています。あたかも「自分は普通だ」と信じて。しかし、外国人からみるととんでもなく奇妙で、変人集団にみえていたりします。それを番組化したのが「ここがヘンだよ日本人」です。

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日本人が海外に行くと、必ず感じることがあります。「ガイコクジンはテキトーやな…」です。

アメリカに行こうが、メキシコに行こうが、ニカラグアに行こうが、アルゼンチンに行こうが、オーストラリアに行こうが、赤道ギニアに行こうが、スペインに行こうが、デンマークに行こうが、カザフスタンに行こうが、インドに行こうが、マレーシアに行こうが、どこに行ってもそう感じます。

みんなテキトーです。みんな「ゆるい」のです。日本人ほど「かたい」国民はどこにもいません。特殊なのは日本人のほうです。私たち自身の「偏り」を理解しつつ、世界を眺める視点がとても大切だと思います。

異文化理解の最強ツール

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では、日本人のどの要素が世界の中で特殊(ユニーク)なのかを考えてみましょう。今回は「ホフステードの6次元モデル」を活用します。

オランダの社会心理学者であるホフステード博士が、6つの次元(視点)から各国の文化を数値化したものです。「文化」という比べることが難しいものを比較可能にした本研究結果は非常に興味深いデータだと思います。

さて、その6つの視点とは何か。

1、権力格差:上下関係(上司・部下、教師・生徒、親子など)の厳しさ
2、集団主義/個人主義:自分を集団の一部とみるか否か
3。女性性/男性性:共生的(QOL・多様性)か競争的(達成・成功)か
4、不確実性の回避:不確実なものを受け入れやすいかどうか
5、短期志向/長期志向:物事を短期的か長期的、どちらで考えるか
6、人生の楽しみ方:人生を抑制的に考えるか楽観的に考えるか

この6つの視点を国ごとに数値化(0〜100)しています。日本のスコアの中で、上記の6視点のうち、3つは世界の中で標準的(40〜60)ですが、残りの3つは極端に偏りがあります。どれだと思いますか? ぜひ考えてみてください。

以下の()内の数値が日本のスコアです。

権力格差(54)
集団主義 / 個人主義(46)
女性性 / 男性性(95)
不確実性の回避(92)
短期志向 / 長期志向(88)
人生の楽しみ方(42)

40〜60が標準的なスコアにもかかわらず、太字の項目は標準から乖離しています。つまり、太字の項目が日本文化の特徴だといえます(標準から離れているから優れているとか劣っているとか、そういうことではありません)。

この質問をいろんな日本人に質問していますが、3つとも正解する人は稀です。みなさんはいかがだったでしょうか。以下、日本人の3つの特徴についての解説です。

「男性性」が強い日本人

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日本は非常に「男性性」の強い国です。業績アップや昇進などに関心が強く、「生きるために働く」よりも「働くために生きる」という感覚。

確かに日本は有給休暇の消化率が世界最低です。また、過労死がそのまま「KAROSHI」と英語になってしまうのも、日本の特殊な文化性を翻訳できないということなのでしょう。

逆に、女性性が強い国はオランダやデンマークです。QOL(生活の質)への関心が強かったり、弱者への思いやりも強い傾向があります。

「不確実」を嫌う日本人

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日本人は安全・安心が大好きな国民性。自然災害が多い国なので、なるべくそれ以外の不安要素をミニマイズしておきたいのでしょう。だからこそ不安に敏感です。

そもそも未来は不確実。特にVUCAと呼ばれる現在はそう。私が住むフィジーをはじめ、他の多くの国において信仰は不安を払拭してくれる最高のツールだったりしますが、日本では「宗教=怪しい」というイメージがあり武器になっていません。

正解なき時代に日本人はストレスを感じやすいのかもしれません。逆に、不確実を恐れない国はシンガポールやジャマイカなど。

長期志向の日本人

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長期志向の国の特徴として、教育や健康、貯金など「将来に備える」系に注力する傾向があります。日本人もそのタイプです。

教育熱が高く、健康ブームがすぐに起き、貯金好きの国民性。世界では人気の薄い「死亡保険」が日本だと人気があります。自分の死んだあとのことまで考える視線の長さが特徴的。

将来について思いをめぐらす機会が多いからこそ、いろんな不安が出てくるのかもしれません。逆に短期志向の国にはオーストラリアやメキシコ、アメリカなどがあります。

特徴を理解して活用する

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良し悪しはさておき、上記3つが日本人の大きな特徴です。旅をして異文化に触れる際、私たち自身の偏りを理解しておくことで、よりスムーズに相手を受け入れることができます。

また、元来日本人が持つ文化性をどのように生かしていくかを考えるフレームワークとしても活用できると思います。

旅での海外経験を「主観的に」だけではなく、6次元モデルを用いながら「客観的に」語ることができると、旅人としての引き出しがさらに増えるのではないでしょうか。

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永崎裕麻(ナガサキ ユウマ)フィジー南国校長|約2年間の世界一周を終えて、世界幸福度ランキング1位(2016/2017)のフィジー共和国へ2007年から移住。ライフスタイルをアップデートする英語学校カラーズ校長。RECOMPANY取締役。 南の島のゆるい空気感を日本社会に届けるべく「南国ライフスタイルLABO」というコミュニティーを運営。内閣府国際交流事業「世界青年の船2017」日本ナショナル・リーダー。 2019年からはフィジー・デンマーク・日本の世界3拠点生活(トリプル・ライフ)を開始(現在はコロナで休止中)。 著書に「まんが南の島フィジーの脱力幸福論」「世界でいちばん幸せな国フィジーの世界でいちばん非常識な幸福論」。

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