ライター

管理栄養士。3千人(1万件)以上の栄養カウンセリングのため日本を駆けめぐってきたが、2017年7月より舞台を世界に拡げ、食と健康の学びの旅へ出発。各国から世界の食をお届けします。

老若男女で楽しむ地元のフードフェスティバル

ガリシア地方では、夏になると毎週のように様々なフェスティバルがあります。今日私たちが参加するのは、「callos カジョス」を食べるお祭り。会場に入ると、人がいっぱい!

屋根付きの会場の一角に大鍋がいくつもあり、そこでカジョスが作られています。この大鍋料理を振る舞う祭りのスタイルは、ガリシア以外の地域ではないそうです。

席取りしている間に会場を見渡すと、小さい子どもから元気なおじいちゃんおばあちゃんもそろって、同じものを食べています。

カジョスとは、牛のモツを生ハムとひよこ豆をトマトベースのスープで煮込んだもの。私自身、モツはあまり食べ慣れていないものでしたが、これはとても食べやすく美味しく頂けました!

ガリシア産の赤ワインと良く合い、みんなで同じものを食べて、飲んで、笑って。昼からほろ酔い良い気分でした!

この祭りは開催25回目を数えます。ガリシア伝統のワインの器とカジョスの器はお持ち帰りできます!フアンの家族は一年目から来て毎年持ち帰ってるそうです!

日本に持って帰る?と聞いてくれましたが、世界一周中の身としてはなかなかお土産をもつことが難しく、今回は諦めました。ただ、地元の人に長年愛されているお祭りに参加できとても光栄な気持ちでいっぱいになりました。

親戚一同勢ぞろいの愉快なパーティー

お祭り後は一息つく間もなく、フアンの家族・親戚が集まっているパーティー会場へ!

今日は山のふもとでサーディンパーティー!次々にニシンが焼かれており、会場に着いた途端、伝統的なトウモロコシ粉のパンに載せられたニシンが私の手元にも配給されました。

きれいに皮を剥いて中身を丁寧に食べるんだよ、と食べ方レクチャーまでしてくれました。

それだけでなく、ホームメイドの絶品料理の数々!

とくに美味しかったのが、ガリシア伝統料理の「エンパナータ」。イカ墨やホタテが入ったものが絶品でした!なかなか日本では味わえない味で、日本に流行らせたいね!とマユミと帰国後の妄想で盛り上がりました。

食べて、飲んで、笑って。話しに夢中になりつつも、誰かメンバーが増えるたびに、乾杯!みんな本当に元気で愉快です。

持ち寄りの品々はデザートだけでも10種類くらい!わんこそば並みに次々と私のお皿に盛られ、全制覇しました…!

締めはスイーツだけでなく、手作りの「licor de cafè(リーコール・デ・カフェ)」。ぶどうの蒸留酒「orujo」にコーヒーと砂糖を混ぜたもので、お酒も甘いもの好きな人にはもってこいの一品。こちらもガリシア独特のものです。

私には強すぎるお酒でしたが、オルハで作った「licor linda(リコールリンダ)」に漬かったさくらんぼは梅酒の梅のように美味しく味わえました。

自給自足のことを「Minifundio(ミニフンディオ)」ともいい、できる限り「自分たちで自分たちの分を作る」そうです。毎年、自分のため、家族のため、自分の周りにいる大切な人のために作るからこそ、愛情こもった美味しくて、身体のためにあったものになっていく。

効率的や最適化が善しといったような考えも目立つ現代において、今でも自給自足の文化を守っている人たちがいることを目の当たりにし、考えさせられるものがありました。

時代の波に乗り遅れないように必死になることもしばしばあるけれど、みんなが向かっているからと同じ波に乗ることが幸せだとは限らない。

ガリシアの人たちの自給自足の精神から、改めて人生を振り返るきっかけとなり、自分の周りの人へ思いを形にしていけたら素敵だなと感じました。

ここまで読んでくださった方も、例えば当たり前だと思っていたなにかを改めて考えてみるきっかけになっていたら嬉しいです。グラシアス!

All photos by 波多江淳子

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管理栄養士。3千人(1万件)以上の栄養カウンセリングのため日本を駆けめぐってきたが、2017年7月より舞台を世界に拡げ、食と健康の学びの旅へ出発。各国から世界の食をお届けします。

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