ライター

2000年生まれ、長崎県出身。生涯旅人を目指す24歳。旅が好きで、現在はパートナーとド派手シエンタで日本一周中。「その人らしさ」を引き出すインタビューと、「臨場感と地域の魅力」を伝える執筆を得意とする。旅と人と世界遺産が好き。「正しい道ではなく、楽しい道を選ぶ」ことをモットーにしている。

あなたが旅に出るときに、求めているものはなんですか?

photo by Haruka Nakamura
息を呑むほど美しい、絶景の景色。

その地でしか味わえない、絶品ご当地グルメ。

伝統文化や、その地の魅力を知ることができるお祭りなど。

景色やグルメ、行事ごとももちろん旅の醍醐味のひとつです。

さらに、そこに人との出会いが合わさることで、1人だと知ることができなかった知識や経験を味わい、より豊かな旅の時間を過ごすことができます。

実際に5年前、広島県宮島にあるゲストハウスを訪れたときに忘れられない出会いがありました。

宮島旅で人生初めてのゲストハウスへ

夏が過ぎ、少し冷えた夜風を心地よく感じるようになった大学1年生の秋。

ちょうど1ヶ月前に人生初の海外旅をして、その余韻から抜けられなかった私は、次の旅の計画をたてていました。

当時、山口県にある大学に通っていたので、選んだ旅先は身近な隣の広島県。旅好きの友だちを誘っての、広島県宮島への1泊2日の旅が幕をあけました。

もみじ饅頭宮島で購入した揚げもみじ
photo by Haruka Nakamura

宿泊先に選んだのはゲストハウス。どうしてホテルに泊まらなかったのか、今となってはその理由を覚えていませんが、当時の私は旅人らしい経験を積みたかったのかもしれません。

旅好きの友だちといることと、学生でお金があまりないことなどの条件も重なり、コスパがよく旅人との交流を楽しめるゲストハウスを予約しました。

いざ訪れると、普段行くようなホテルとは違う、こぢんまりとしたコンクリート建築の建物が目の前に広がっていました。

少し怖気付きながらも、旅人らしくリュック1つで乗り込んでいきます。

中に足を踏み入れると、外観からは想像できない温かい木製のインテリアと、日本らしい畳のロビーが広がっていました。

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驚いたことに、そのゲストハウスの宿泊者は海外からのゲストばかりでした。新しく入ってきた私たちをその場にいた全員が温かく迎えてくれたのですが、精一杯のつくり笑顔ででてきた言葉は、「ハ……ハ〜イ(超小声)」となんとも頼りない一声のみ。

「英語が得意なわけでもないし、話すのはハードルが高すぎる!そんなキャパはない!」そう感じた私たちは、そそくさと逃げるように自室へと向かって行きました。

折り鶴のタトゥーが教えてくれたもの

「うちは、ゲスト同士の交流をメインにしているから、夕飯のときはおいでよ!みんなで食べよう!」

自室のベットに寝転がりながら、ぼんやりとその言葉を思い出した私は、「せっかくここまできたんだし……」と友だちに声をかけ、ロビーへと足を運びました。

まさかその夕食会で、忘れられない出会いがあるとは思いもせずに……。

行ってみるとそこには、スペイン、フランス、イタリア、いろいろな国籍の人たちが会話に花を咲かせ、大盛り上がり。日本にいるのに、海外のゲストに囲まれている非日常的な空間に、高揚する気持ちを抑えながら夕食会に参加しました。

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拙い英語で他の人と話している最中、日本に最近よく来るというフランス人の方が声をかけてくれました。

お互いの国や文化、いまの仕事、家族のこと。普段友だちとはしないような深い話まで。

そして、広島県にいるということと、私の出身地が長崎県であることから話の方向は戦争・世界平和の話へと広がっていきました。

するとその方は、「僕の腕には、折り鶴のタトゥーを入れているんだ!70年前の悲惨なできごとが2度と起こらないように願いながら彫ってもらってね。これこそが、平和の象徴さ!」と見せてくれたのです。

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そのとき、日本の文化が遠い異国の地まで伝わっている嬉しさと同時に、違う国の人が日本の平和を願ってその証を残してくれていることに感動する気持ちが込み上げてきました。

ただただ、「ありがとう」の言葉しかでてきませんでしたが、改めて平和や戦争について考えて、向き合うきっかけになったできごとでした。

そして、このゲストハウスでの出会いをきっかけに、私の旅のスタイルはただ知らないの一言で終わることがないように「自分も同じように、いろいろな国の文化を知って寄り添いたい!」と人との交流がメインになっていきました。

ゲストハウスに泊まる意義とは

ゲストハウスは、通常のホテルと比べて、暮らすように生活できる環境が整っていたり、多くのゲストの方と交流できるような場が設けられているところに違いがあります。

ゲストハウス 滞在宮島ゲストハウスで宿泊したとき
photo by Haruka Nakamura

そんな“非日常的な空間や経験と、人とのつながり”を得ることができるのが、ゲストハウスの良さだと私は思います。

つながった人が、自分のやりたかったことに対してヒントをくれるかもしれない。そのつながりが、新たなつながりを生むかもしれない。

新しい分野に興味が湧き、趣味が見つかるかもしれない。

スタッフの方と仲良くなると、地元の人ならではのオススメの観光地や、地域の魅力について教えてくれるかもしれない。

自分の可能性や価値観を広げてくれる、細かく散りばめられた未知の世界への切符が転がった、そんな場所なのです。

人との関わりが旅をさらに面白くする

photo by Unsplash
行きたい場所が増えたり、世の中の広さに気づいたり。

人との出会いは、旅の思い出をより色濃いものにしてくれ、新しい価値観へと引き合わせてくれます。

人が一生の中で、出会う人数は30,000人程度だと言われています。

出会える確率は0.025%。この広い世界で誰かと出会うということは、それだけ尊く、奇跡なことなのです。

旅中に刺激が欲しくなったときは、ゲストハウスでも、地域のスーパーでも人と交流できるような場所に足を運んでみてください。

新しい出会いは、きっとあなたの旅を面白くする、スパイスになってくれるはずですから。

ライター

2000年生まれ、長崎県出身。生涯旅人を目指す24歳。旅が好きで、現在はパートナーとド派手シエンタで日本一周中。「その人らしさ」を引き出すインタビューと、「臨場感と地域の魅力」を伝える執筆を得意とする。旅と人と世界遺産が好き。「正しい道ではなく、楽しい道を選ぶ」ことをモットーにしている。

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