その他
樋口 佑樹 ディレクター

『周りを幸せにする誰かのやりたいを実現する』という個人理念を掲げて、クリエイティブとコーチングをテーマに活動中。2022年には現在は、原チャリで日本を縦断しながら、地域を盛り上げる人たちに出会う「ひぐの出会い旅」を敢行中。 旅中のトラブルなど、鉄板のエピソードトークがあることに憧れ続けて早7年。好きなものは珈琲と旅とカメラ。

こんにちは、原付で日本全国を巡っているひぐです。今回のひぐの出会い旅は神奈川県からお届けします。

これまでローカルな活動を巡ってきたひぐの出会い旅。「都会ってローカルな取り組みはあんまりやってないんじゃない?」というイメージもあるかと思いますが、地域に根ざした活動をしている場所はたくさんあります。そのひとつが神奈川県・平塚市松風町。

僕も以前住んでいたこの町では、たった500mの通りにスポットライトを当てた活動が生まれています。「松風ストリート」というローカルメディアでは、お店を営む人々を中心に、地域の魅力を発信しています。

今回は、都心から電車で1時間と、小旅行にはもってこいな松風町で精力的に活動する高梨恭子さんにお話を伺ってきました。


photo by Yuki Higuchi

高梨 恭子 (Kyoko Takanashi)
平塚市松風町の道沿いの暮らしやお店の魅力を発信する「松風ストリート」発起人。松風町にワインとお出汁のお店「ぶどう畑のさんぽ道」を2020年にオープン。ゴールデンレトリバーが大好き。ペットOKな空間の中で、愛犬とともにワインやオーガニック野菜を中心とした料理を楽しめる。

主婦が松風ストリートを始めるまで。

今日はありがとうございます。ぜひ松風ストリートの始まりや恭子さんの生き方について聞けたらと思っています。まず最初に、松風ストリートってどんな活動なんですか?

ひぐ

恭子さん

松風ストリートは私が住んでいる平塚市松風町のなかでも、とある一本道を勝手に「松風ストリート」と名付けて、行っている活動です。その通りには私が運営している「ぶどう畑のさんぽ道」もあります。
いまは有志で集まったメンバーが、この通りのまわりにあるお店のインタビューを中心に記事を更新しています。
インタビューを読むと、個性あるお店が多くあるんだなと感じます。

ひぐ


photo by 松風ストリート

photo by 松風ストリート

photo by 松風ストリート

恭子さん

そうですね。根強いファンがいるアンティークショップもあれば、新規ではほぼ予約が取れない美容室や、この秋新しくオープンした茶室など、おもしろいお店が多くあります。そんな素敵なお店や人を知ってほしいと思ってはじめたのが、この松風ストリートなんです。
なるほど。

ひぐ

恭子さん

私はこの町に16年ほど前から住んでいて、3年前から飲食店をはじめました。お店をはじめてみると、色んな人と出会う機会に恵まれるんですね。そうした方と交流するなかで、10年以上住んでいても知らなかった地域の魅力が見えてきて。こうした出会いを加速させたいと思いました。

世界には”70億人”いるという衝撃


photo by Yuki Higuchi

そこで、松風ストリートが生まれるわけですね。

ひぐ

恭子さん

はい、本当に色んな人がいるので。でも、つくりたいと思ったきっかけを遡ると、小学生のころに原体験があるんです。
小学生のころですか?

ひぐ

恭子さん

小学校のときに世界の人口を習うじゃないですか。そのときに世界には70億人もいるのか、という衝撃を受けました。色んな人と話したい!と思っても、70億人もいたら全員と1秒ずつ言葉を交わすだけでも200年くらいかかるんですよね(笑)
それは、途方もない(笑)

ひぐ

恭子さん

そう。だからこそ、同じ空気感が好きな人たちと交流できたらと思って、まずは私が好きな松風町の空気感を発信しようと。そこで、松風ストリートのアイデアをじゅんくん(ご近所の編集部メンバー)に相談して、スタートしていきましたね。

ほどよい距離感がある暮らし


photo by 松風ストリート

恭子さんは松風町のどんなところにそんなに惹かれたのでしょう?

ひぐ

恭子さん

私は小さいときには埼玉県の田舎で育ちました。その後、20代の多くは東京の墨田区でひとり暮らしをしていたこともありますし、平塚市のお隣、茅ヶ崎市に住んでいたこともあります。
住む場所それぞれに良いところはあるのですが、松風町の距離感が1番フィットしました。
距離感というのは町のサイズ感というイメージですか?

ひぐ


photo by Yuki Higuchi

恭子さん

そうですね。田舎に住んでいたとき感じたのは、田舎ならではの閉塞感だったんです。プライベートなんて筒抜けで、それが嫌だったんですね。
その一方、東京はたくさんの人がいるけど、例えば病気で寝込んだときにすぐ駆けつけてくれるご近所さんはいません。そんなことに、あるとき虚しさを感じました。
人との関わりがありつつ、プライベートも確立されている場所が松風町だったんですね。

ひぐ

恭子さん

そうですね、田舎のぬくもりと都会の刺激の良いとこどりができる場所がここでした。
あとはお店の方や編集部のみんなも言うように、開放的な空気感があること、コンパクトなエリアに画家さんや彫金作家などおもしろい人たちがぎゅっと住んでいることも松風町の魅力だと思います。
それはたしかに魅力的です。

ひぐ

恭子さん

そうなんです。あとは犬が大好きなのですが、犬友達もゆるくて寛容な人たちが多くて、それも良いですね。少し歩けば海も山も近くて、自然が豊か。散歩にもぴったりです。


photo by Yuki Higuchi

photo by Yuki Higuchi

バイタリティの源


photo by Yuki Higuchi

色んなところに住んでいたということもありましたが、これまでどんなキャリアを歩んできたんですか?

ひぐ

恭子さん

このお店をやるまでは飲食もアルバイトでしか経験したことがなかったんです。すごいでしょ(笑)
大学卒業後はアパレルの店長をしていたこともありますし、病院の事務をやっていた時期もあります。でも、多くの期間は主婦をしていました。
主婦で未経験の状況から自分でお店を始めるってすごい……

ひぐ

恭子さん

家族が自営業をしていることにも影響を受けて、自分自身も経済的に独立してやっていきたいと。それに、雇われの身だと自分が良いと思う世界観をつくりづらいということがあったので、これはもう自分自身でやるしかないと腹を括りました。

大変なことはありますが、乗り越えられない試練はないと思っているので、なんだって大丈夫です(笑)

本当たくましいです。どうしてそんなエネルギーが出るんですか?

ひぐ

恭子さん

自分がやりたいと思って始めているので、何か難しいことがあっても大丈夫なんです。大事にしていることは困難な状況になっても、どうしたらクリアできるかを考えるようにはしていますね。

これからの展望


photo by Yuki Higuchi

エネルギー溢れる恭子さんですが、これからはどんなことにチャレンジしていきたいと思っていますか?

ひぐ

恭子さん

まだまだ先の話にはなると思いますが、世界中に松風ストリートのような活動が広がっていったらおもしろいなと思います。その上で、姉妹都市のようなものができたらワクワクするなあと。
この町を紹介したいということで松風ストリートをはじめたとお伝えしましたが、じつは行政や国の政治に頼らない地域経済ができたら良いなという部分もありました。
地域経済をつくる。

ひぐ

恭子さん

はい、今って政治もどうなるか分からないじゃないですか。だからこそ、自分が住んでいる地域は、自分たちが良いと思う価値観を分かち合える場所にできたらいいなと思って。

お互いに交流しながら、困ったときに助け合える場所にして、自分たちで自分たちの楽しい暮らしをつくっていけるのが理想です。

人と出会える楽しさを求めて。


photo by Yuki Higuchi
色んな人に会いたいということから自分のお店や松風ストリートを始めた恭子さん。旅もまた、色んな価値観の人に出会う手段だと思います。新しい人と出会うことにより、ひとつの物事を異なる視点から見ることや柔軟に生きていくことができるのが旅の良さ。

恭子さんも「若いうちには、自分が普段は接することがないような場所や人に触れにいく旅をぜひともしてほしい」と言います。まずは小旅行がてら、神奈川県は平塚市の小さな一本道「松風ストリート」を目掛けて、違った生き方に触れる旅をしてみてはいかがでしょうか?

日々の生活を楽しむ恭子さんから、新たな視点を得られるかもしれません。

その他
樋口 佑樹 ディレクター

『周りを幸せにする誰かのやりたいを実現する』という個人理念を掲げて、クリエイティブとコーチングをテーマに活動中。2022年には現在は、原チャリで日本を縦断しながら、地域を盛り上げる人たちに出会う「ひぐの出会い旅」を敢行中。 旅中のトラブルなど、鉄板のエピソードトークがあることに憧れ続けて早7年。好きなものは珈琲と旅とカメラ。

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