ライター

オーストラリアワーキングホリデー2年(パース/ゴールドコースト)|中央ヨーロッパロードトリップ|宮古島リゾートバイト|北半球地球一周の船旅|など気の向くままに住所不特定生活を約6年間続ける。現在はスイスフランス語圏在住。 好きなことで自分を囲み続ける人生を日々追求中☀️

「豊かな人生」と聞いてどんなことを思い浮かべるだろうか。

大好きな家族や友人との楽しい時間を共有する、時間的余裕のある人生

好きなことに好きにお金を使うことのできる、金銭的余裕のある人生

自分のやりたいと思うことが存分にできる、自由度の高い人生

私にとっての「豊かな人生」の総合的な定義に「いかに心の踊る体験ができるか」がある。

旅はまさにその「心の踊る体験」を叶える絶好の機会を提供してくれるのだ。

そんな旅を通して得られる教訓や気づきは、人生をより充実させるヒントになる。

「旅の予定」が日常を輝かす

19歳でオーストラリアに一年間のワーキングホリデーに行くと決めた私は、なるべく向こうでの生活資金を貯めるべく、高校を卒業した後、朝から晩まで毎日がアルバイト漬けの日々を送った。

昼夜掛け持ちだったため、27連勤や丸二日間睡眠なしという無茶な働き方で体調を崩し、入院費にバイト代が消えたこともあった。

けれどそんな出来事すら今となってはいい思い出だ。そんな生活をしていた当時も「どんな冒険が待っているのだろう」と初めての海外長期滞在に胸躍らせ、しんどいという気持ちはほとんどなかったように思う。

ワーキングホリデーからの帰国後も、自由に動き回ることが難しくなるであろう恐怖から就職はせず、25歳でスイスに移住してくるまでの6年間、アルバイトである程度まとまった資金を作っては心の赴くままに次の目的地へ繰り出し、ある時には、大好きな海のある地へ派遣社員として働きながらその土地の生活そのものを味わってみたり、いつも仕事や日常生活のあれこれを頑張る理由の先には「旅」があった。

宮古島 出勤前に同僚たちとひと泳ぎしていた宮古島生活

普通が普通じゃなくなった時

「行ってみたいけど人生で訪れる機会なんてあるのか」

そう思っていた中南米にあるキューバに、船旅で1日だけ行けることになった。

お金も物資も少ない国であることは事実だが、貧しさや苦しさが感じられないことに驚いた。

それどころか、道端ですれ違うたびに「Hola!」と笑顔で挨拶を交わしてくれ、彼らは気の向くままに音楽を弾いたりダンスをしたり、肌色によく似合うド派手なカラードレスを身に纏ったり、それぞれの日常の瞬間を楽しんでいる。

キューバの人たちは私の知らない人生の愉しみ方みたいなのを知っていて、日本人である私が思い描く「贅沢」や「働き方」は彼らにとっての幸せとは限らないのかもしれないと感じた。

旅に出ると「普通が普通ではなくなる」とよく言うが、今までの当たり前が壊されると同時に、新たな自己発見があったり、あらゆる物事に対して柔軟に、あらゆる人に対して寛容になれたりする。

それらは生きていくなかでとても強い武器になると思う。

ハバナ音楽キューバ首都ハバナで自由に踊り演奏する人たち

旅はいつでも自分へのリマインダー

忙しいこの世界に生きる中で、旅での体験は忘れかけていた大切なことやその時の自分にとって必要なことをリマインドしてくれるように感じる。

壮大な景色を見て、胸が高揚する

まだ味わったことのないローカル料理を頬張って、おいしさに笑顔がこぼれる

歴史や文化を知って、なぜ・どのように、と思考を巡らす

人の温かさを感じ、思わず涙する

サハラキャンプサハラ砂漠キャンプで無音の中砂に寝そべって星空観察

旅先で「非日常」を体験することで、そこに存在するものにマインドフルになれる。

そして「非日常」を体験したからこそ「日常」の些細な幸せやありがたみをより感じられるようになる。

わざと日常から離れる時間を作ることは、強制的に肉体的かつ精神的にリセットされ、純粋な楽しみを感じる瞬間を与えてくれる。

その自由で解放的な感覚が心の踊る体験を生み出し、新たな活力を与え、次の旅までまた頑張ろうと自分を突き動かしてくれるのだ。

−これだから旅はやめられない。

All photos by Saeno

ライター

オーストラリアワーキングホリデー2年(パース/ゴールドコースト)|中央ヨーロッパロードトリップ|宮古島リゾートバイト|北半球地球一周の船旅|など気の向くままに住所不特定生活を約6年間続ける。現在はスイスフランス語圏在住。 好きなことで自分を囲み続ける人生を日々追求中☀️

RELATED

関連記事