ライター
西嶋 結 ライター・編集者

出版社出身のライター・編集者。本の仕事をしています。これまで訪れた国は70か国ほどで、自分を驚かせてくれる街や国が好みです。有給休暇をフル活用して弾丸旅に繰り出すべく、筋トレに励んでいます。

スカイスキャナーの知られざる機能「最寄の空港を追加」

前田:スカイスキャナーの裏ワザ的な使い方ってありますか?「行き先:すべての場所」とか使われます?


「とにかくどこかに行きたい」ときにおすすめな「すべての場所」検索

堀家:使いますね!「どこでもいいから行きたい」気分のときに使えます。チケットが安い順に、さまざまな行き先を提案してくれるんですよね。これがスカイスキャナーの最大の特長だと思いますが、意外とまだまだ知られていませんよね。

あと、前田さんは「最寄の空港を追加」って使ったことありますか?

前田:知らない!何ですか、それ!


「出発地」「到着地」の下に「最寄の空港を追加」のチェックボックスがある

堀家:東京の空港を「最寄の空港」に追加しておくと、近くの空港を使ったもっと安い便を提案してくれるんです。

前田:知らなかった!東京近郊の空港なら、けっこう使えそう。

堀家:意外に使えます。今まで、茨城空港が何度か提案されたかな。

前田:おもしろい!その他、とっておきのルート検索の方法ってありますか?

堀家:ルートを分割することですね。たとえばヨーロッパに行くなら、韓国の仁川(インチョン)空港や台湾桃園(トウエン)空港、マレーシアのクアラルンプールがハブ空港になります。「日本―ハブ空港の便」と「ハブ空港―目的地までの便」をそれぞれ調べてみましょう。片道で2本の便を予約する方法ですね。


東京-ローマ間の便を、仁川経由で検索した例

前田:これはたまに試します!けっこう安くなるし、場合によってはハブ空港の周辺を観光できて楽しいですよね。

 

空港マニアが熱視線を注ぐ「大邱(テグ)国際空港」

前田:堀家さんは空港にもお詳しいと聞いたのですが、最近注目している空港ってありますか?

堀家:韓国の大邱(テグ)国際空港です。大邱空港を経由する便って、べらぼうに安いんですよね!シンプルな地方空港なので、着陸料が安く設定されており、その分運賃が安かったりセールがしやすかったりするんです。福岡―テグ間の往復3000円のチケットを見たことがありますよ。


福岡―大邱便を試しに検索。たしかに安かった!

前田:大邱ですか、初めて聞きました。日本から大邱まで行って、そこからソウルや釜山に出るということですか?

堀家:そうです。大邱から釜山までは、電車やバスで行けます。釜山まで出れば、いろいろな国への便が出てますよ。

そういう意味では、連休などで日本初の便が高騰しているときには、いったん韓国に出るのがおすすめですね。韓国と日本ではカレンダーが異なりますから、韓国発の値段は普段どおりですよ。

前田:なるほど。ひと手間かければぐっと安い便を購入できそうです。

先ほど福岡―大邱便のお話がありましたが、航空会社がセールをしていたとしても、スカイスキャナーの検索結果には表示されないんですよね?

堀家:基本的には表示されません。セールの一番確実な見つけ方は、新路線などの就航セールを逃さないこと。航空会社のSNSをフォローする、アプリをダウンロードしておいてプッシュ通知を受け取る、メールマガジンをチェックするのもいいですよ。

 

空港マニアが教える「初心者にはおすすめできない乗り換え便」

前田:堀家さん、想像以上にマニアックですね……。「これは絶対に知っておいたほうがいい」「避けたほうがいい」という、難易度の高い乗り換えや空港はありますか?

堀家:いろいろあるのですが……今回は、初級・中級・上級に分けてお伝えしますね。

初級は、クアラルンプール空港での乗り換え。ターミナル1からターミナル2がすごく離れていて、シャトルバスは30分~1時間に1本しか出ていません。電車もありますが、運賃が高いんですよ。

前田:本数、少なすぎますね。たとえば、エアアジアからエアアジアだと同じターミナルで乗り換えられますが、それ以外のケースだと注意が必要ですね。難易度中級はどうですか?

堀家:中級は、行き帰りともにベトナム経由でどこかに行く場合。せっかくだからトランジットの時間を長くして、ベトナム観光したいと思いますよね?ここに落とし穴があります。

ベトナムに入国するときは、1回15日間までの滞在ならビザ不要です。でも一度入国すると、その次までは1カ月空ける必要があるんです。だから行きで入国してしまうと、よほど長い旅行でもない限り、帰りにベトナムに入国することはできません。その場でビザを取ってもいいですが、30ドルかかってしまいます。

前田:知らなかった!そのパターンだと、シェンゲン協定についても意外と知られていませんよね。シェンゲン協定加盟国には、180日以内に90日を超えて訪問することができません。いつ行っても入国できるというわけじゃないんですよ。

堀家:シェンゲンはひっかかる人いそうですよね。

中級はもうひとつありまして、北京空港のセキュリティチェックです。北京空港では、バッテリーの取り扱いがびっくりするくらい厳しいんです。アンペア数がはっきりと書かれていないと、セキュリティチェックで没収されてしまいます。

前田:行きのトランジットでモバイルバッテリーを没収されたら……。ぞっとしますね。

堀家:そうなんですよ。あまりに容量が大きいものもNGなので、容量が小さいものを複数持って行くことをおすすめします。北京経由便は安いので、使う人も多いはず。注意してほしいと思います。

前田:さて、上級にはどんなものが待ち受けているのか。

堀家:上海乗り換え便です。上海には、上海浦東(プドン)国際空港と上海虹橋(ホンチャオ)国際空港という2つの空港があります。ややこしいうえ、この2つが成田空港と羽田空港と同じくらい離れているんですよね。タクシーなら1時間以上。しかも、タクシーの運転手にはほとんど英語が通じないと思った方がいいです。

関空発の便に多いんですが、夜中に上海着、もう1つの空港から翌日早朝に上海発、なんてものもあったりします。

ちなみに、前田さんは何かありますか?

前田:ハワイに行ったときに驚いたのが、空港にSIMカードが売っていなかったこと。最寄りのショッピングモールに行くにも、バスやタクシーに乗らないといけません。

堀家さんが勤める留学・語学留学の総合サイト「School With」で、たとえばカナダ留学するなら、どうチケットを取るのがおすすめですか?

堀家:無難かもしれませんが、一度北京あたりに出るのがいいかもしれませんね。意外と安く行けるので、費用が高いからと留学をあきらめないでほしいです。


北京経由バンクーバー行きを検索した例

前田:東に行くのに、一度西に向かうわけですね。これ、知らないとなかなかできない検索方法だと思います。ぜひ、留学を検討している方に知ってほしい情報ですね。

では最後に、マニアな堀家さんならではの「今後スカイスキャナーに実装されてほしい機能」をお聞かせください。

堀家:「乗り換えが多い便」が検索できればいいですね。「直行便のみ探す」ことはできますが、空港マニアな僕としては何度でも乗り換えたくて……。

前田:なんと(笑)。ちなみに今までに変わった乗り換えをしたことはありますか?

堀家:大阪からマカオに行くときに、青島と上海と北京で合計3回乗り換えたことがありますね(笑)。

前田:マカオに行くだけでそんなに乗り換えるの、堀家さんだけですよ(笑)。お話、勉強になりました。ありがとうございました!

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西嶋 結 ライター・編集者

出版社出身のライター・編集者。本の仕事をしています。これまで訪れた国は70か国ほどで、自分を驚かせてくれる街や国が好みです。有給休暇をフル活用して弾丸旅に繰り出すべく、筋トレに励んでいます。

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